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5話 眷属

魔法は魔力があればそれでいいのではなく、適正がまた別枠のハードルとして存在してると。


そんなの聞いていない。


この世界の住人、百人程に一人くらいの割合で魔力を自分の中に「自然に浸透している魔力以上に」蓄える能力を持つ。


それを十人集めて一人くらいがその魔力を元に他の魔力へ干渉し、事象を起こす能力、火を燃やしたり風を巻き起こす能力を持つ。


ここで各種「属性の適正」のハードル。


つまり「魔法使い」は千人程の人数の中に一人くらい居るレベルだと。


ただし、多少は遺伝するらしく、先祖が魔法で活躍した貴族や騎士の人間は比率としては別枠で結構高いらしい。

なので貴族階級を作り、魔法使いを囲い込むシステムになっている、と。


先祖帰り的な発現もあるし、遺伝する関係で平民でも「多い地域」が存在する。そこでも「魔法使い」は数百人集めても一人程度か。

その上で、戦争等で活躍する程の規模の事象を発現出来る「魔法使い」はさらにそこから百人程の中に一人か。

戦況を左右する魔法使いは居る、だが本当に国レベルでも数名だと。


で、私はどうだろう。

あの時は魔法と言えば火だと、火に拘っていたかもしれない。

水や風に適正があるかもしれない。



◇◇


駄目だったよ。


話を聞いてから基礎的な訓練を旅の中で見てもらったが、

少なくとも基礎的な地水火風の発現は何をやっても出来なかった、各種適正は無い、と判断できるそうだ。


魔力についてはネム嬢が「今まで見た中で断トツの魔物」だと。

そりゃ神様のプレゼントだからな。


例の襲撃時、魔法を扱う基礎として魔力を見る事が出来るネム嬢には、街道の馬車の中からですら、森の中の魔力の塊、というかダダ洩れっぷりが目立っていたらしい。


だからコッチをずっと見ていたのか。

むしろ

「何かヤバい魔物が出て来た」と警戒していたそうだ。


そのくらいに異質だったと。

まあ神様のギフトだし。


今居る護衛達はコレが見える訳ではなく、気付いては居なかったらしい。

それなりの腕前でも魔法は別という訳だ。


普段は魔法も対応出来る護衛が居るのだが、今回ここに限って抜けた状態だと、

いや、だからソコを狙われたんだろうけど。


強い魔法使いになれる人間は孤児院からでも引き抜かれるらしく、

だから我々も「囲い込む」事にしたといったところか。


悪意ある者に見つからずにネム嬢に見られたのは運が良かったのだろう。


ダダ洩れを知らずにそのまま町に出ていたらどうなっていたことやら。

ネム嬢の方がなんとなく怖い気もしないでもないが、今すぐどうという事は無さそうだし。


それと

この世界には天使や悪魔も存在するらしい。

神も「存在」する。


まあ私がここに居る事で証明にはなるが、そうではなく「干渉」してくる存在として、居るそうだ。


神が直接干渉すると文字通りの天変地異になるらしく、代理人としてそれより影響の小さい天使や悪魔が干渉してくる。

神の天変地異は千年レベルで起きていないが天使悪魔の干渉は数年程度で起きるし規模も様々だそうだ。

私も大きなカテゴリーではソコに入るのか、そういう事なら他にも転生者も存在していそうだ。



そして魔物も存在する、と。

一般的な獣とは別に世界に広がる魔力が淀み溜まった結果、体内の魔力の濃度が上がる。

一定以上の魔力が溜まる事で、獣や虫が高い魔力を持つ様になったのが「魔物」だと。


で、眷属(ヒレン)だが。


ネズミや小鳥サイズでは国の中枢に居るレベルの魔法使いが眷属を持つ事はあるらしいが、膨大な魔力を必要としそうそう作れないので、人のサイズの眷属など、書物でも見ないそうだ。

「こんなハツカネズミの眷属は見た事あるけどね、基本的に眷属を作っても国の軍事機密にされる物だからね」

と掌をひらひらさせていたが。

今、国の軍事機密レベルを見たとか言った気がするけど黙っておこう。


魔法使いが、核になる生物に魔力を与え続け、その生物の持つ魔力を「魔力を与える魔法使いの固有の魔力で塗りつぶす」事で眷属になる、と。

眷属の持つ固有の能力、フクロウなら暗視とかを主も「共有」出来る事例がある、と。


ああ、再生能力はココからか。

ゴキブリ並みの生命力という事だな。


魔力を過剰に注ぎ込めばあるいは存在の根幹に干渉し、姿かたちを変化させる場合もあり、翼を持つハツカネズミとかが記録に残っているらしい。


ソレで人型か。


この時、創造主のセンスが出るらしい。


ソレで美女か。流石は私。


・・・年齢が中途半端に高いのは中の人のが倫理観が原因なんだろうなあ。

こういう時、普通は少年少女だよなあ。


「人のサイズの眷属なんか記録でも見たことないけどね」


はい、人のサイズどころか、この馬車何台か分の大きさが核になってますね。


そして眷属化するほどの魔力が無い場合、一時的な期間限定で「接続」が出来るくらいの限定的な「使い魔」という存在もあるらしいがこれはまた別の話。


ダダ洩れ魔力を抑える訓練は始めたが、そうそう出来る訳もなく、今はそのままなので隠せない内は冒険者登録云々は出来そうになく、残念だが。


魔力の操作が出来る様になれば、属性の適正が無くても様々な使い道はあるだろうし、コレはコレで後々活きてきそうだから、しばらくは修行編だな。


修行編と言えば、ヒレンだが。

彼女は私の配下、というか家に使える者とすることに落ち着いた。

会話はまだ古代魔法語になるが共通語も簡単な単語を覚えており、そのうち他の者ともコミュニケーションをとれるだろう。

知識の簡単な共有があるのでおそらく言葉の壁はすぐ超えられそうだ。


私が転生者なのも理解しているし主従の意味もわかっている。


そして武器の方も使ってみた様だが、護衛の者が悲鳴を上げていた。振ると壊れる。

怪力に耐えられる武器が無い。

先の山賊風の連中の武器をいくつか回収していたらしく、

最初はソレを壊した。


質の悪い武器だったね、と護衛の武器を借りて

壊した。


鉄の槍や剣がまるで木の枝の様にポッキリ行く。

もう素手が一番強いんじゃなかろうか。


魔力はあるそうなので魔法も基礎的な訓練で様子を見たが

私と同じでまだ適正は見えないそうだ。


ちょっとだけ安堵したのは内緒にしておくが。


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