41話 大浴場
その日は帝都、しかも王城であるアルカザール城に宿泊する事となった。
王城の来賓用の大浴場は混浴の風呂だ。
来賓に男湯だ女湯だ分けて作っても無駄だという判断もある。
さすがに帝国の城、客は我々だけではなく他の国の国賓すら居る
という訳で警備の問題もありシャムロック騎士団全員と、マスカート子爵が同時に風呂に入る事となる。
大きな風呂というだけならクロスロードの共同浴場も大きい。
だが大理石を潤沢に使い、ミスリルともまた違う魔力を含む石材が各所にちりばめられ壁や床が煌めいている風呂は初めてだ。
ヒレンが齧らない様に注意しなくては。
「この世界に来て、こんなお風呂なんかもう諦めていたよー。こんなイイお風呂にゆっくり入れるなんて凄いよねえ」とネメシスが湯舟につかり幸せそうに言う。
クロスロードの公衆浴場には入っていたがゆっくりとは程遠い日程であの人数が入る公衆浴場だしな、ソレと比べれば確かに天国だ。
「吾もあな幸ひの身よ」とワカヒメが湯の中で浮かんで伸びている
彼女も豊かな胸が頭より大きいんじゃないかな勢だと改めて認識させられる。
マスカート子爵が彼女を傾国の美女と呼ぶのも納得だ。
クチナワとフジは湯舟で酒を飲みながら極楽、極楽、と温まっている。
この二人も胸が湯に浮かんでいる。やはり凄い。
なんでも備え付けの設備としてワインや日本酒まであるらしい。
「ここの酒はイイ酒なんだよな」とマスカート卿が手慣れた様子で色々持って来た。
騎士団の皆が頭にタオル乗せたりしているのは彼女の教えだ。
だがその当人は隠す気もない真っ裸でモデル体型を堂々と晒している。
せめてタオルでも撒けばまだしも・・・と思ったが張りのある乳房とくびれた腰がタオルで引き立てられるだけかもしれない。
「どうだ?ウィル殿も飲むか?前はよく飲んでいたのだろ?」と勧めてくる。
折角なのでこの世界の酒も楽しんでみるか、とお勧めをもらう。
辛口の日本酒だ。大吟醸という奴か?
この世界、米もあったし過去の転生者が日本酒の製法も持ち込んでいたのだろう。
確かに良い酒だ。コレは酔いが回りそうだ。
ネメシスとワカヒメにもマスカート卿が薦めて飲ませている。
なんだかんだで我が騎士団、飲みに関しては強そうだ。
いつの間にか酒盛りである。
私やネメシスがまだ日本に居た頃、既に風呂でのアルコールはタブーになっていたが、マスカート卿の頃はまだ健康だとか言ってた頃だったかな、と疑問に思ったが、正直どうでもイイ話だな、と首を振ってまたちびちびと飲む。
確かに旨い。異世界でこれほどの日本酒を飲めるのは正直驚く。
そして周囲の美女達が本当に隠す気が無く、どこを向いても困る。誰も大きな山脈を持っているのだ。
ネメシスやクチナワは最初はキャーキャー言ってたと思うんだが、どうしてここまで堂々とし始めたのだろう。一応は湯舟から出る時はタオルで隠しては居る、ソレだけじゃないか。
アレか、家族になったらノーカンで平気で裸でビール飲みながら歩きまわるタイプか。
下半身に血が集中するのを感じ風呂から下手に上がれないな、と酒を飲んで火照った体を外で冷やしたいと思いつつもしっかり沈む。
ヒレンと違い、あまり私に直接触る様なスキンシップを求めてこないのでまだ理性が勝つが。
そのヒレンの姿が見えていない事に気付く。
最近は常に私の周囲に居たと思うので正直失念していた。
この風呂の調度品などを食べてしまうと色々問題になる、どこだ?と少し慌てて周囲を見渡す。
私の目の前の水面に何かが浮かんでいるのが目に入る。
黒い・・・髪だ。頭が沈んでいる。
ヒレンだ
酒を飲みつつ湯に浸かり湯舟の枠にもたれかかっている私の正面のお湯の中に居る。
呼吸は?何をしている?慌ててお湯の中から引き起こす。
「どうした?息しているか?」と慌てている私に
顔を真っ赤にしてお湯の中から引き起こされたヒレンは恍惚の表情で何かもごもご言っている。
「ご立派でございます」
視線はうっとりと私の腰辺りに釘づけで。
そういえば私は酒を飲んでる間も足を閉じる様な事はしていないな。
ヒレンを突き飛ばして再び風呂に戻す
「ああん、お父様御無体でございまごばごぼ」
しばらく完全に沈めておこう




