表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/45

33話 阻止作戦

騎士団の戦力を考えると討伐など簡単な任務のハズだった。

正直、功績としても大したものでもなく、ソレをどう大げさに評価してやろうかとすら考えていた。


なのに帰って来てみれば、転生者を一人拾って来るという、想定外の結果で帰って来た。


問題は転生者なだけに公表できず、コレもまた功績に数えられなくなったという事だ。


なんでアイツは想定外の事ばかり繰り返すんだ、とネムフェラーリ=ドーラックは頭を抱えた。

どれもこれも公開出来ない癖に他に類を見ない功績なのだ。


特に勇者の魅了の件は国家の屋台骨を揺るがす程だが絶対的な極秘事項だ。


彼女をここまで悩ませる者は帝国中でも皇帝その人以外では、おそらく他に居ないだろう。


◇◇


いつもの貴族達の中庭のお茶会に、いつもの様に招かれた形での報告。


この場での口頭での報告とは別に親衛隊経由での報告書がネム陛下の手元にある。


「のう、ネメシスとやら、軍隊があの山を越えて攻める事が出来ると思うか?」陛下が書類を見ながら問う。


「す、すみません、軍隊がどうなのかとかぜっんぜんわかんないんです。」と平伏する竜人。

魂が日本人なのだ、本人は強くとも権力には弱い。


「そうか、まあ其方の国は平和だったらしいからのう、致し方ない話だのう」とマスカート卿を見ながら言う陛下。


「仕方ありませんよ、陛下、以前も申し上げた様に我らの国はほとんどの者が産まれて死ぬまで戦争も知らず、人を殺す事も殺される事も、また殺された死体すら見た事も無い者が大半です」とマスカート卿。


「うーむ、理想的過ぎてまったくピンと来ぬのう」と腕組みしつつ首を傾げる陛下。


「して、ネメシスとやら、其方の見た壁がどういったモノでその周囲の道の様子など説明できるか?」と紅茶を飲みながら改めて問う。


「あ、ハイ、そういう事でしたら」と顔だけ上げて平伏したまま答えるネメシス。


広げた地図を指し示しながら説明するネメシスへ何度か質問していたマスカート卿が

「おそらく、山越えでの迂回作戦を準備していたのだろうが、ソコにネメシスが現れて、停滞していた様だな。そこまで作ったんだから勿体なくて、本気のドラゴン討伐が来る直前だったかもしれんな」


あのまま山に居たら隣国からの本気討伐隊が来ていたと理解したネメシスが青くなっている。


「少年が迎えに来てくれてお姉さん嬉しいよ」と言ってるがヒレンがめっちゃ睨んでいる。

迎えに行った訳でもないし私は中身はアラフィフだしそもそも外見も青年だと思う。


どちらにせよ、詳しい情報収集だ。山活動の出来る腕の良い密偵を見繕って送れ。と陛下が指示を出し、ペタン公、マスカート子爵がさっそく打ち合わせしている。

「ドラゴンが居なくなったと知れば必ず動く」と難しい顔をしている。


その時、フジがそっと手を上げる。


陛下が「どうした?申せ」と促す。


「むしろ蓋をしていたドラゴンが居なくなったのを確認される前に、こちらから建設中のところを叩くのはどうでしょう」と提案するフジ。


「国軍を動かさず、少数での破壊活動なら秘密裡の建設な手前、正式な抗議も出せないのではないでしょうか」


フジ、意外と戦略や外交を考えてる。さすが哺乳類。

おっぱいに脳みそ詰まってる。


聞いた陛下は腕を組んで目を閉じて考え込む。

マスカート卿もペタン公も地図の上で距離や道をたどり、考え込んでいる。


「ドラゴンが数日戻らない程度ではまだ様子を見るモノよな」と陛下


「あの時俺達が討伐したヤツも、一か月程度は間隔空けて帰って来たな」と懐かしそうにマスカート卿


「フジとやら、その話乗った、近こう寄れ、仔細を詰めるぞ」と悪い顔をして陛下が仰った。


◇◇


捕縛された場合、言い訳出来なくなる、という事もあって我がシャムロック騎士団のみの単独行動となった。

それと案内のネメシスを加えた5人での襲撃計画だ。


道中で斥候として先行した密偵との情報受け渡しを終え、ネメシスの見た拠点を山の上から見下ろしているのだが、想定していた以上の規模だった。


ただの開拓村の規模ではない。


軍隊の数千人規模となると食料も寝所もトイレも相応の準備が必要になる。


その規模を建設中だった様だ。つまりソレだけの建築資材と工員の移動、森を切り開いて搬入する道を作るだけでもかなりの規模だ。


巡回が甘かったとはペタン公も陛下に頭を下げていたが、実際に目にすると、気付かなかったでは済まされないというのは理解出来る。


まだ建設途中でドラゴンの縄張りに蓋をされた形で工員が退避して一時放置されたというのは間違いなさそうだ。


放置された資材、工具や宿舎を今のうちに破壊してしまえばドラゴンが居なくなったと確認出来てから戻ろうにも準備はイチからだし、こちらからの破壊工作だとわかっても、

つまり極秘ではなくなり奇襲効果が無くなった、とあちら側が判断すれば、奇襲出来ない作戦に再び資金使ってまで再開するよりは、廃案になる可能性が高い。


お互い建前と本音を使い分ける外交的解決という奴だがソレを目指す一手が我々だ。


そして出発前にネム陛下が「まーた喧伝出来ぬ功績じゃのう」と頭を抱えていたが、当然秘密作戦である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ