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# 第四十六話 # 「フィアナの誕生日」

# 第四十六話


# 「フィアナの誕生日」


六月某日。


修は一人で悩んでいた。


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机の前。


メモ帳。


スマホ。


財布。


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真剣。


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フィアナの誕生日が、

三日後だった。


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修は腕を組む。


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「何あげよう……」


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人生最大級に悩んでいた。


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フィアナは物欲が少ない。


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高価な物より。


気持ちを喜ぶタイプ。


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だから難しい。


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その時。


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ルミネリア登場。


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「悩んでいますね」


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「うわっ」


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修が飛び上がる。


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「ノックしてください」


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「しました」


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「聞こえなかった」


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それくらい悩んでいた。


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ルミネリアが座る。


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「誕生日ですか」


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「バレてる?」


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「顔に書いてあります」


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修はため息。


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「何がいいと思う?」


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ルミネリアは少し考える。


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そして微笑んだ。


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「高価な物ではなく」


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「はい」


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「思い出ですね」


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修はその言葉に納得した。


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確かに。


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フィアナは。


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写真。


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キーホルダー。


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お弁当。


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そういうものを大事にする。


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修は決めた。


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「よし」


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「決まりましたか」


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「決まった」


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ルミネリアが少し嬉しそうに笑った。


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誕生日当日。


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朝。


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フィアナ起床。


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すると。


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机の上。


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一枚の紙。


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『今日は一日予定を空けてください』


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フィアナ。


固まる。


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「修さん!?」


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隣を見る。


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いない。


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さらに裏面。


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『第一目的地、公園』


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フィアナ。


大混乱。


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「姉様!」


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「はい」


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「誘拐です!」


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「違います」


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「修さんが消えました!」


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「予定通りです」


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「姉様も知ってるんですか!?」


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ルミネリア。


笑顔。


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「知っています」


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フィアナ。


落ち着かない。


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そして。


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公園到着。


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そこには。


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修。


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少し照れくさそうに立っていた。


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「誕生日おめでとう」


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フィアナの顔が明るくなる。


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「ありがとうございます!」


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そして始まった。


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修のサプライズデート。


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最初は。


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二人が初めて手を繋いだ公園。


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次は。


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初デートした映画館。


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その次は。


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初めて写真を撮った広場。


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思い出の場所巡りだった。


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フィアナは気づく。


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全部。


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二人の思い出。


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それだけだった。


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夕方。


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最後の目的地。


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川沿い。


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夕日が綺麗だった。


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修が立ち止まる。


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「フィアナ」


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「はい」


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修は少し緊張していた。


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かなり緊張していた。


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そして。


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小さな箱を渡す。


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フィアナが開く。


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中には。


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銀色のペンダント。


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小さな青い星。


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初任給で貰ったキーホルダーと同じデザインだった。


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フィアナの目が潤む。


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「覚えてたんですか」


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「もちろん」


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修が笑う。


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「大事なプレゼントだったから」


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フィアナ。


涙がぽろぽろ落ちる。


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嬉しかった。


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本当に。


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嬉しかった。


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修が慌てる。


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「えっ!?」


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「泣くほど!?」


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フィアナは笑いながら泣く。


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「嬉しいんです!」


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「そうなの!?」


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「そうなんです!」


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夕日の中。


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二人は笑った。


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その日の夜。


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六畳一間。


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フィアナはペンダントを胸に抱いていた。


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そして。


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小さく呟く。


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「今までで」


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「一番幸せな誕生日でした」


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修は照れて顔を逸らした。


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ルミネリアは優しく微笑む。


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写真立て。


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青い星のキーホルダー。


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新しいペンダント。


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そして。


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増えていく思い出。


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六畳一間は。


今日も温かかった。




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### 次回


# 第四十七話


## 「初めての旅行」


フィアナがずっと行きたかった海へ。


でも旅行前日の夜、興奮しすぎて眠れなくなり――。

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