# 第四十七話 # 「初めての旅行」
# 第四十七話
# 「初めての旅行」
フィアナは眠れなかった。
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午後十時。
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眠れない。
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午後十一時。
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眠れない。
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午前零時。
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まだ眠れない。
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理由。
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明日。
旅行。
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海。
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修と。
旅行。
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フィアナは布団の中で転がる。
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ごろごろ。
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ごろごろ。
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「眠れません……」
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隣の部屋。
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ルミネリアが答える。
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「寝なさい」
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「無理です」
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「なぜ」
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「旅行です」
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「知っています」
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「旅行です」
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「二回言いましたね」
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フィアナは枕を抱きしめた。
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遠足前の小学生だった。
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結局。
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寝たのは午前二時。
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そして。
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午前五時。
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起床。
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「おはようございます!!」
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元気。
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ルミネリアが呆れる。
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「三時間しか寝てません」
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「旅行ですから!」
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理由になっていない。
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駅。
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修が待っていた。
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フィアナを見る。
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「あれ?」
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「はい?」
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「寝てない?」
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即バレ。
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フィアナが目を逸らす。
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修。
ため息。
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「帰りの電車で寝るなよ?」
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「大丈夫です!」
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フラグだった。
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電車出発。
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窓の外。
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青空。
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海へ向かう景色。
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フィアナはずっと窓を見ている。
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「わぁ……」
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「綺麗です」
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修も笑う。
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その顔を見るのが好きだった。
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数時間後。
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海。
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到着。
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フィアナ。
停止。
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目の前。
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どこまでも続く青。
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波の音。
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潮風。
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キラキラ光る海。
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フィアナの瞳も輝いた。
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「海です……」
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「海だな」
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「本物です……」
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「写真じゃないぞ」
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「知ってます!」
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そして。
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走り出した。
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砂浜へ。
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修も追いかける。
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「転ぶなよ!」
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「大丈夫――」
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ズテッ。
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転んだ。
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「大丈夫じゃない!」
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フィアナは砂まみれ。
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でも。
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笑っていた。
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楽しそうに。
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本当に。
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楽しそうに。
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昼。
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海辺のカフェ。
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二人でランチ。
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窓から海が見える。
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フィアナが言う。
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「夢みたいです」
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「そんなに?」
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「はい」
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少し照れながら続ける。
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「修さんと来られたので」
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修。
黙る。
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最近。
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フィアナは時々こういうことを言う。
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心臓に悪い。
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夕方。
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海辺を歩く。
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波が足元を洗う。
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風が気持ちいい。
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フィアナは隣を歩く。
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自然に。
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手を繋いでいた。
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もう。
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前みたいに緊張しない。
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でも。
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嬉しい。
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フィアナが空を見る。
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夕焼け。
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オレンジ色の海。
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その景色を見ながら。
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小さく言った。
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「また来たいです」
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「うん」
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「来年来ましょう」
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修は笑う。
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「来年か」
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「再来年も」
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「おう」
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「その次も」
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修は少し驚く。
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フィアナは。
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真っ直ぐ前を見ていた。
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未来の話をしていた。
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自然に。
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当たり前みたいに。
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修も少し笑った。
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「じゃあ、その次もだな」
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フィアナが笑顔になる。
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とても。
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嬉しそうな笑顔だった。
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海の向こうで。
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夕日がゆっくり沈んでいく。
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二人の思い出が。
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また一つ増えた。
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### 次回
# 第四十八話
## 「旅館の夜と、眠れない二人」
旅行一日目の夜。
同じ旅館。
静かな時間。
そして少しだけ特別な夜――。




