# 第四十五話 # 「フィアナ、初めて嫉妬する」
# 第四十五話
# 「フィアナ、初めて嫉妬する」
平日の午後。
フィアナは買い物帰りだった。
スーパーの袋を抱えて、
駅前を歩いている。
今日は修の好きな唐揚げを作る予定。
機嫌はかなり良かった。
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その時だった。
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「あっ」
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向こう側に。
修がいた。
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仕事中らしい。
スーツ姿。
かっこいい。
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フィアナは思わず笑顔になる。
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「修さ――」
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呼ぼうとして。
止まった。
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修の隣に。
女性がいた。
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同じ会社の人だろう。
年齢は二十代後半くらい。
綺麗な人だった。
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二人は普通に話している。
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笑っている。
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楽しそう。
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フィアナは物陰へ隠れた。
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「……」
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胸が変だった。
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別に。
何も悪くない。
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仕事だし。
同僚だし。
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頭ではわかる。
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でも。
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なんだろう。
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この気持ち。
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胸が少し苦しい。
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そのまま。
フィアナは帰宅した。
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六畳一間。
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ルミネリアが気づく。
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「どうしました?」
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フィアナが座り込む。
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「姉様」
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「はい」
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「胸が変です」
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ルミネリア。
一瞬で理解。
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「なるほど」
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フィアナが困った顔をする。
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「修さんが女性と話してました」
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「はい」
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「仲良さそうでした」
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「はい」
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「なんか嫌でした」
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ルミネリア。
コーヒーを飲む。
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「嫉妬ですね」
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フィアナ。
停止。
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「……え?」
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「嫉妬です」
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「嫉妬!?」
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顔が真っ赤になる。
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「わたくしが!?」
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「はい」
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「修さんを!?」
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「はい」
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「むぅぅぅぅ……」
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フィアナは机へ突っ伏した。
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夕方。
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修帰宅。
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「ただいまー」
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いつもなら。
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「お帰りなさい!」
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と飛んでくる。
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しかし。
今日は来ない。
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修が首を傾げる。
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「フィアナ?」
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フィアナはソファに座っている。
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なんか静か。
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「どうした?」
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「別に」
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別にじゃない。
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修にもわかった。
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絶対何かある。
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夕飯中。
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静か。
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かなり静か。
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修は悩む。
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何した?
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本当にわからない。
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そして。
夕飯後。
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フィアナが小さく聞いた。
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「今日」
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「ん?」
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「女の人といましたよね」
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修。
理解。
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「ああ」
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会社の先輩だった。
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仕事の相談をしていただけ。
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修が説明する。
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フィアナは黙って聞く。
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そして。
ぽつり。
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「仲良さそうでした」
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修が固まる。
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フィアナは恥ずかしそうだった。
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「その……」
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「なんか」
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「嫌でした」
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顔真っ赤。
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耳まで赤い。
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修は数秒黙る。
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そして。
優しく笑った。
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「そっか」
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フィアナは下を向く。
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「ごめんなさい」
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「なんで謝るんだ」
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修は隣へ座る。
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そして。
そっと手を握った。
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フィアナが驚く。
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修は照れながら言う。
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「俺はフィアナが好きだから」
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「……」
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「だから心配しなくていい」
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フィアナの目が潤む。
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「本当ですか」
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「本当」
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フィアナは少し笑った。
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安心した。
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胸のモヤモヤも。
少しずつ消えていく。
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その様子を見ていたルミネリア。
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静かに呟く。
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「青春ですね」
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二人。
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「姉様は黙っててください!」
「ルミネリアさんは黙っててください!」
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初めて息が合った。
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ルミネリアは少し笑う。
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六畳一間の夜は。
今日も温かかった。
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### 次回
# 第四十六話
## 「フィアナの誕生日」
修が初めて本気でサプライズを計画する日。
でも当の本人は、なぜか全部気付いていて――。




