# 第四十四話 # 「修、風邪をひく」
# 第四十四話
# 「修、風邪をひく」
「……寒い」
翌朝。
修は布団の中で目を覚ました。
頭が重い。
身体がだるい。
喉も痛い。
嫌な予感がする。
熱を測る。
---
38.4℃
---
修。
静かに天井を見る。
---
「終わった……」
---
完全に風邪だった。
---
原因は明白。
昨日の雨。
フィアナを傘に入れ続けた結果。
自分の肩がびしょ濡れだった。
---
その時。
フィアナが部屋へ入ってくる。
---
「おはようございます!」
---
元気。
めちゃくちゃ元気。
---
修が答える。
---
「おはよう……」
---
声が変だった。
---
フィアナが固まる。
---
「修さん?」
---
額に触れる。
---
熱い。
---
三秒後。
---
「姉様ぁぁぁぁ!!」
---
六畳一間に緊急警報が鳴り響いた。
---
十分後。
---
修。
布団。
---
フィアナ。
氷枕準備。
---
ルミネリア。
おかゆ作成。
---
なぜか本格的。
---
フィアナが真剣な顔で言う。
---
「看病します」
---
ルミネリアも頷く。
---
「看病します」
---
修。
嫌な予感。
---
そして。
---
「どちらが一番上手に看病できるか勝負です」
---
始まった。
---
「勝負しなくていいから!」
---
誰も聞いていない。
---
フィアナ第一ラウンド。
---
冷えたタオル。
---
「どうですか!」
---
「気持ちいい」
---
フィアナ。
ガッツポーズ。
---
ルミネリア第二ラウンド。
---
おかゆ。
---
修が一口食べる。
---
「うまい」
---
ルミネリア。
少し得意顔。
---
フィアナ。
悔しい。
---
第三ラウンド。
---
「りんご剥きます!」
---
結果。
---
謎の生き物完成。
---
修。
爆笑。
---
フィアナ。
しょんぼり。
---
ルミネリア。
---
「芸術ですね」
---
「慰めになってません!」
---
夕方。
熱は少し下がった。
---
修は目を開ける。
---
隣には。
フィアナ。
---
椅子に座ったまま。
眠っていた。
---
ずっと看病していたらしい。
---
その向こう。
---
ルミネリアも。
本を持ったまま寝ていた。
---
静かな部屋。
---
修は少し笑う。
---
「心配しすぎだろ」
---
その声で。
フィアナが目を覚ます。
---
「修さん!?」
---
勢いで立ち上がる。
---
「熱は!?」
---
「下がった」
---
フィアナの目に涙が浮かぶ。
---
「よかった……」
---
本当に安心した顔だった。
---
修は少し照れながら言う。
---
「ありがとう」
---
フィアナが笑う。
---
「当然です」
---
「恋人ですから」
---
その一言で。
修の熱が少し上がった気がした。
---
それを見ていたルミネリア。
---
一言。
---
「まだ38度ありますね」
---
「台無しだよ!」
---
六畳一間に笑い声が響く。
---
風邪は大変だった。
でも。
少しだけ幸せな一日だった。
---
### 次回
# 第四十五話
## 「フィアナ、初めて嫉妬する」
会社の女性社員と話す修。
それを偶然見てしまったフィアナ。
胸の中に初めて生まれたモヤモヤの正体とは――。




