# 第四十一話 # 「恋人になって初めての写真」
# 第四十一話
# 「恋人になって初めての写真」
翌週の日曜日。
フィアナは朝からそわそわしていた。
机の前。
鏡の前。
また机の前。
そしてまた鏡の前。
ルミネリアが呆れた顔をする。
「五回目です」
フィアナが振り向く。
「変じゃないですか?」
「六回目の質問です」
「大事なんです!」
真剣だった。
今日は。
修と写真を撮る日。
恋人になってから、
初めてのツーショットだった。
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待ち合わせ。
商店街。
修が来る。
フィアナは少し緊張していた。
でも。
修の顔を見た瞬間。
自然と笑顔になる。
「おはようございます」
「おはよう」
それだけで嬉しい。
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商店街では、
ちょうど小さなイベントをやっていた。
屋台。
風船。
子供たち。
平和な休日。
二人はのんびり歩く。
たこ焼きを食べたり。
クレープを分けたり。
射的に挑戦したり。
フィアナは大はしゃぎだった。
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そして。
広場の中央。
大きな花壇の前。
写真スポットがあった。
フィアナが立ち止まる。
修も止まる。
二人とも。
少しだけ緊張する。
「撮りますか?」
フィアナが聞く。
「撮るか」
修が答える。
でも。
問題があった。
誰が撮るのか。
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近くを歩いていたおばあさんが笑った。
「撮りましょうか?」
救世主だった。
二人は頭を下げる。
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スマホを渡す。
並ぶ。
そして。
固まる。
距離。
どうする。
近い?
遠い?
恋人の正解がわからない。
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フィアナがちらっと見る。
修もちらっと見る。
目が合う。
二人とも赤くなる。
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おばあさんが笑う。
「もっと近くていいのよ?」
即死。
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フィアナの頭から湯気が出そうだった。
修もかなり危ない。
でも。
少しだけ勇気を出して。
肩が触れるくらい近づいた。
フィアナの心臓が跳ねる。
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「はい、撮りますよー」
パシャ。
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その瞬間。
フィアナは自然に笑った。
修も笑った。
作った笑顔じゃない。
本当に楽しい時の顔だった。
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帰り道。
二人で写真を見る。
そして。
同時に言った。
「いい写真だな」
「いい写真ですね」
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写っていたのは。
王女でもない。
世界を救った英雄でもない。
ただ。
普通に笑う二人だった。
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夜。
六畳一間。
フィアナは写真を見ながら幸せそうにしていた。
修も隣で見る。
ルミネリアも覗き込む。
「良い写真ですね」
「ですよね!」
フィアナは嬉しそうだった。
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その後。
フィアナは写真を印刷して。
小さな写真立てに入れた。
そして。
六畳一間の棚へ置く。
修が少し照れる。
「飾るのか」
「飾ります」
即答。
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写真立てには。
夕日の中で笑う二人。
その隣には。
小さな青い星のキーホルダー。
フィアナからの初任給プレゼント。
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フィアナは写真を見て微笑む。
「増やしたいですね」
「何を?」
「思い出です」
修も笑った。
「そうだな」
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六畳一間には。
少しずつ。
二人の宝物が増えていく。
それはきっと。
どんな魔法よりも。
温かいものだった。
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# 次回
## 第四十二話
### 「フィアナ、初めてのお弁当」
朝五時起床。
恋人のためにお弁当を作ろうとするフィアナ。
しかし台所から聞こえてくるのは――
「姉様!!卵焼きが黒いです!!」
「それはもう炭です」
六畳一間の朝は今日も賑やかだった。




