# 第三十八話 # 「初めての給料日とフィアナの大暴走」
# 第三十八話
# 「初めての給料日とフィアナの大暴走」
「給料日です!!」
朝六時。
六畳一間に、
元気な声が響いた。
修は布団の中で目を開ける。
「……早い」
「給料日です!!」
「聞こえてる」
フィアナは、
満面の笑みだった。
今日は、
フィアナがアルバイトを始めて初めての給料日。
朝からずっとテンションが高い。
ルミネリアがコーヒーを飲みながら言う。
「フィアナ」
「はい!」
「落ち着きなさい」
「無理です!」
即答だった。
---
夕方。
アルバイト先。
フィアナは人生初の給料袋を受け取った。
「お疲れさま」
店長が笑う。
フィアナは、
両手で大事そうに受け取った。
「ありがとうございます!」
その顔は、
まるで宝物を貰った子供みたいだった。
---
帰り道。
フィアナは何度も給料袋を見る。
にやにや。
また見る。
にやにや。
通行人が少し避けていた。
---
「姉様!!」
帰宅するなり叫ぶ。
ルミネリアが振り向く。
「どうしました」
フィアナは給料袋を掲げた。
「働いて稼ぎました!!」
「知っています」
「すごくないですか!?」
「すごいです」
フィアナが嬉しそうに回る。
修は思わず笑った。
---
その夜。
フィアナは悩んでいた。
机に向かい。
うーん。
うーん。
ずっと悩んでいる。
修が聞いた。
「どうした?」
フィアナは慌てて隠す。
「な、なんでもありません!」
怪しい。
めちゃくちゃ怪しい。
---
実は。
フィアナには計画があった。
初めてのお給料。
何か使いたい。
誰かのために。
そして。
思い浮かんだのは。
修だった。
(お世話になってますし……)
(助けてもらいましたし……)
(恋人ですし……)
顔が赤くなる。
プレゼントを買おう。
決意した。
---
翌日。
フィアナとルミネリア。
二人でショッピングモールへ。
「修さんへのプレゼントです」
ルミネリアが頷く。
「なるほど」
フィアナは真剣だった。
しかし。
問題がある。
何を買えばいいかわからない。
---
「ネクタイ?」
「仕事用ですね」
「財布?」
「悪くないです」
「ゲーム機?」
「予算」
「なるほど」
---
二時間後。
まだ決まらない。
フィアナはベンチで悩む。
「あああああ」
ルミネリアが苦笑する。
「そんなに悩みますか」
フィアナは真顔だった。
「修さんが喜ぶ顔を見たいんです」
ルミネリアは少し黙る。
そして優しく笑った。
「そうですね」
「修さんは幸せ者です」
フィアナの顔が真っ赤になる。
---
その時。
フィアナはある店で足を止めた。
小さな雑貨屋。
そこにあったのは。
シンプルなキーホルダー。
青い星が付いている。
派手じゃない。
高価でもない。
でも。
綺麗だった。
フィアナは思った。
(修さんっぽい)
---
夜。
六畳一間。
修が帰宅する。
「ただいまー」
フィアナが飛び出してくる。
「お帰りなさい!」
なんか様子がおかしい。
緊張している。
修が首を傾げる。
「どうした?」
フィアナは、
小さな箱を差し出した。
「これ」
「え?」
「初任給で買いました」
修が固まる。
フィアナは恥ずかしそうに言う。
「その……」
「いつもありがとうございます」
修は箱を開けた。
青い星のキーホルダー。
修は少し黙る。
そして。
優しく笑った。
「ありがとう」
フィアナの顔が、
ぱっと明るくなった。
その笑顔が見たかった。
ただそれだけだった。
---
その夜。
布団に入ったフィアナは。
枕に顔を埋めていた。
「喜んでくれました……」
幸せそうだった。
隣の部屋から。
ルミネリアの声が聞こえる。
「よかったですね」
フィアナは小さく笑った。
「はい」
世界を救った後の。
とても小さな幸せだった。
---
次回
# 第三十九話
## 「初めてのデート計画会議」
フィアナが「恋人らしいことがしたいです!」と言い出し、ルミネリアまで参加して大騒ぎに――。




