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# 第三十七話 # 「プリン戦争勃発」

# 第三十七話


# 「プリン戦争勃発」


六畳一間。


世界を救った英雄たち。


その現状。


---


「返してください」


「嫌です」


「返してください」


「嫌です」


---


修は頭を抱えていた。


目の前では。


フィアナとルミネリアが、

冷蔵庫の前で睨み合っている。


原因。


プリン。


たった一個のプリン。


修は思った。


深淵より平和だな。


ルミネリアが腕を組む。


「フィアナ」


「人の物を勝手に食べるのは泥棒です」


フィアナも負けない。


「三日も置いてあったんです!」


「熟成期間です」


「そんな高級チーズみたいな!」


修が吹き出す。


ルミネリアが振り向いた。


「修さん」


「はい」


「どちらが正しいと思いますか?」


嫌なパスが来た。


修は固まる。


目の前には、

真剣な姉妹。


世界の命運より重い。


間違いなく。


今の六畳一間で一番危険な質問だった。


修は慎重に答える。


「……半分ずつ?」


沈黙。


二人が同時に見る。


「「それはもう食べました」」


修。


即死。


---


数分後。


結局。


近所のコンビニへ行くことになった。


夜。


三人で歩く。


フィアナは修の右側。


ルミネリアは左側。


修は気づいていた。


二人とも。


さりげなく近い。


近い。


距離が近い。


なんか挟まれている。


修が困っていると。


フィアナが聞く。


「修さん」


「ん?」


「退院祝いです」


「好きなアイス選んでください」


ルミネリアも頷く。


「今日はわたしが払います」


修が驚く。


「いいの?」


ルミネリアは少し笑う。


「命を救われましたから」


フィアナも嬉しそうだった。


修はその顔を見て安心する。


深淵の時みたいな悲しい顔じゃない。


普通の笑顔。


それが嬉しかった。


---


コンビニ到着。


フィアナ。


アイスコーナー直行。


「わあああ!」


子供みたいだった。


修が笑う。


ルミネリアも笑う。


フィアナは真剣な顔で悩み始める。


「チョコ……」


「抹茶……」


「バニラ……」


「期間限定……」


五分経過。


まだ悩んでいる。


修が言う。


「全部買えば?」


フィアナが固まる。


天才を見る目になった。


「修さん」


「ん?」


「頭いいですね」


「アイスで評価されるの初めてだよ」


---


その時。


ルミネリアが小さく笑った。


本当に小さく。


でも。


心から笑った顔だった。


フィアナも気づく。


「姉様」


「?」


「笑いましたね」


ルミネリアは少し照れる。


「……笑いますよ」


フィアナが嬉しそうに抱きついた。


「よかった」


ルミネリアは少し驚く。


でも。


優しく妹の頭を撫でた。


修はその光景を見ていた。


そして思う。


世界を救ったことより。


こっちの方が大事だったのかもしれない。


三人でアイスを抱えて帰る夜道。


それは。


どんな奇跡よりも、

温かかった。


---


次回


# 第三十八話


## 「初めての給料日とフィアナの大暴走」


フィアナがアルバイト代をもらい、

修へのプレゼント選びで大騒動が始まる――。


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