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瑞華国白家奇譚〜理系令嬢は恋より発明がしたいのに、王弟殿下に執着されています〜  作者: ぶるどっく
第二章 知恵の芽吹きと絡繰の塔

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プロローグ



 美しい月の光が窓から差し込む。


 室内の小さな蝋燭の火が揺れる。


 その明かりに照らされた白い女の顔。


「……円塔の隅から隅まで調べてもらったけど……一番気になるのは……"隠し扉"と"地下室"かしら……?」


 女の側で、小さな影が暗闇の中で蠢く。


「……しかも……この円塔は、外壁と内壁の二重構造になっていたのね」


 集まった情報を纏め上げ、女は……明葵は微笑む。


「小鬼さんたち、ありがとう……!」


 明葵が微笑みを向けた先。


「うにぃっ!ひーさま!」


 まん丸でもちっとした桃色の一本角。


「ぴいっ〜がんばったのぉ」


 モコモコとした黄色の毛に二本角。


「しゅ〜……ねがい!おわり?」


 尻尾の生えたツルリとした体に水色の三本角。


 それ以外にもわらわら、と。


 たくさんの小鬼達が嬉しそうに笑っている。

 

「本当に、ありがとう。

 霊山なら渡すものに困らないんだけど……うー……あ!」


 お礼として渡すものに困っていた明葵だったが、思いついたように手を叩く。


「明日の私の朝ご飯を……」


「駄目です!」


 明葵の言葉に反応して、寝台の上で丸まっていた華乃が瞬時に反応する。


「だーめ!」「め〜なのぉ」「むりっ」


「「「(おさ)しゃまがおこる!」」」


 小鬼たちの大合唱。


「小鬼たちの言う通りです!

 明葵さまはちゃんと食べてくださいっ!」


「ご、ごめんね……華乃ちゃん……」


 猫の姿のまま怒る華乃に、明葵が申し訳なさそうに謝る。


「うにゃっ?!

 明葵さまっ!怒っているんじゃないんです!

 私は、明葵さまがご飯が足りなくて倒れるんじゃないかと心配で……!」


「うん……わかっているわ。

 いつも心配してくれてありがとう、華乃ちゃん。

 ……一応ね、霊山にいた頃よりはお昼ご飯を忘れたりしなくなったし……」


「……この円塔を改造するんですよね?

 私は、また食べるのを忘れて作業に没頭しないか心配ですぅ……」


 猫の姿で器用にため息を付く華乃。


「ふふ……!

 やりたいことは山積みなのっ!

 華乃ちゃんに心配を掛けない程度に始めちゃうわっ!」


 心の底から楽しそうにウキウキとした笑顔の明葵。


「まずは!

 脱出経路の確保と防犯装置から始めましょうっっ!」


「…………とりあえず……桐峻に連絡を取って、明葵さまの口に放り込めるオヤツの確保から始めとこっかな……」


 しばらくは作業に没頭して暴走しそうな明葵に、華乃は猫の姿のまま肩を落とすのだった。



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