↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフの王女にフラれたので、辺境の荒れ地を最強の要塞都市にしてみる 〜日本刀と行政チートで始める他種族スローライフ〜  作者: 神楽坂 響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/45

第32話:十二歳児、圧倒的財力と紳士オーラを携えて感動の実家凱旋を果たす

『エルフの王女にフラれたので、辺境の荒れ地を最強の要塞都市にしてみる 〜日本刀と行政チートで始める他種族スローライフ〜』第32話をお届けします!

10歳から12歳までの過酷な修行とロードトリップを経て、ついに圧倒的な富と完璧な紳士の物腰を手に入れたアランが、師匠ガロウと共に男爵家の実家へと帰還します!相変わらず山積みの借金と書類で胃を痛めていた兄アルフレッドの盛大なパニックと、家族との温かい再生活劇、そして運命の荒れ地の命名を描く実家凱旋編の幕開けをお楽しみください!

【年齢:12歳(少年期・実家凱旋編)】

王国南方の境界線付近に位置する、クロフォード男爵領。

かつて私が「食い扶持を稼いでこい」という名目で実質的な勘当・旅立ちを言い渡されたあの懐かしい石造りの門の前に、私はガロウ師匠と共に静かに立ち返っていた。

「ほう……ここが、お前の生まれ故郷の男爵領か。遠目に見ても、門の蝶番がすり減り、石壁のあちこちに補修の跡が見て取れるな。見事にすり減ったインフラってやつだぜ」

隣で門構えを眺めたガロウが面白そうに髭を揺らした。

たしかに、ガロウの言う通りだった。王国街道から男爵領へ入るまでの道筋も、整備が行き届いているとは言い難く、物流のボトルネックがそのまま領地の貧しさにつながっていることが一目でわかる。だが、それも今日までのことだ。

私は深呼吸を一つし、自分の身体を覆うペルソナの調整を行った。

背筋をピンと張り、重心の軸を完璧なボディコントロールで微調整する。顔には、一切の隙や歪みのない、気高くも涼やかな「完璧な貴族の美少年紳士」としての微笑みを湛えさせる。

(――よし。内面のモフモフ愛と行政改革への狂気的情熱は、完全に理性の金庫の奥底へロック完了。今の私は、数々の修羅場を乗り越えて洗練された気高き紳士そのものだ)

私は腰にしっかりと収められた新相棒――漆黒の日本刀『霊刀・虚空』の柄にそっと手を添え、堂々とした足取りで領地の門をくぐり抜けた。

屋敷の玄関に到着し、私が優雅にノックの音を響かせると、ほどなくして古びた木製の扉がガチャリと音を立てて開いた。

そこに立っていたのは――数年前と変わらず、しかし以前よりもやつれ、目の下にクマをこさえた、真面目な兄アルフレッドの姿だった。

「……はい、どちら様で……?」

疲労の色が濃い顔でそう問いかけたアルフレッドは、目の前に立っている人物を見て、一瞬で言葉を失った。

そこには、ボロボロの旅装束の子供などではなく、王都の貴族すら凌駕するほど洗練された気品と圧倒的なオーラを纏い、涼やかな微笑みを浮かべた比類なき美少年が立っていたからだ。

「お久しぶりです、兄上。……ただいま戻りました」

その声を聞いた瞬間、アルフレッドの脳内回路が盛大なショートを起こした。

「……は? あ、アラン……? お前……あの、数年前に旅に出た、あの我が家のアランなのか……!?」

アルフレッドは驚愕のあまり両目を見張り、開いた口が塞がらないといった様子で私の全身を二度見、三度見した。その手には、いかにも頭を悩ませていたであろう大量の税務書類と未払いの督促状が握りしめられており、あまりの衝撃に書類がハラハラと足元へ滑り落ちていく。

「驚かれるのも無理はありません。ですが、外の話はのちのちゆっくりと。まずは、山積している我が男爵家の債務と、喫緊の行政的課題について整理いたしましょう。お通しいただけますか?」

私が流れるような動作で手を差し出し、紳士的なエスコートのポーズをとると、アルフレッドはまるで操り人形のようにガチガチに体を硬直させながら「あ、ああ……こ、こちらへ……」と私を応接室へと導いた。

応接室のソファに腰掛けた私は、待たせることなく、専用の収納ポーチから次々と「解決策」を取り出し始めた。

「まず、商会からの借入金および未納の領内税についてですが……こちらをご覧ください」

私はザァッ、とテーブルの上に積み上げた。

そこから出てきたのは、王都の第一銀行が発行する無記名の高額金貨束と、最高純度のレイヤーメタルのインゴット、そして「死者の回廊」の最奥で回収した希少な魔導核の数々であった。その総額は、クロフォード男爵家が数十年かけても返済できないほどの莫大な資産価値を誇るものだった。

「なっ……こ、これは……!? 一体、どこでこんな莫大な資金と高価な素材を……!?」

「道中で少しばかり、ダンジョンを華麗に攻略して参りましてね。当面の負債を完済するには、これでも少しお釣りがくる程度には十分なはずです。さらに、こちらの書類をご覧ください。従来の複雑な中間マージンをすべて排除し、セレス川の水運ルートと直結させた新しい課税・物流システムの最適化プランです。これに基づけば、来年度からの領内財政は完全に黒字化します」

私が高速筆記で作成した『男爵領財政再建および行政インフラ改革最終プラン』の仕様書を突きつけると、アルフレッドはそれを両手で震えながら受け取り、わずか数行を読んだところで、完全に白目をむいて意識を遠ざけかけた。

「あ、頭が……私の長年の胃痛の元凶だった借金と書類の山が……一瞬で、完璧に……! あぁ、私はついに幻覚を見るほど疲れてしまったのか……それとも天国に……」

「しっかりしてください、兄上! まだ気絶している場合ではありませんよ!」

そこに、騒ぎを聞きつけた父レイモンドと母ソフィア、そして大きく成長した妹ノエルが慌てて部屋に飛び込んできた。

「一体どうしたんだ、アルフレッド……って、え……?」

父レイモンドが絶句し、母ソフィアが「あなた……?」と目を見開く。

そして、その視線の先――上品な紳士の佇まいで微笑んでいる私を見つけた瞬間、母ソフィアは「アラン……なの……!?」と声を震わせ、一目散に駆け寄ってきた。

「お母様」

私が優しく微笑む間もなく、ソフィアは私の体をぎゅっと力強く抱きしめ、あふれる涙を抑えきれずにポロポロと泣き出した。

「よかった……! 本当によかった……! 無事に帰ってきてくれたのね……こんなに立派になって……!」

「お帰りなさい、アラン! 兄さんから話を聞いたよ、お前、一体どうやって……いや、無事で何よりだ!」

父レイモンドも、私の肩をガシッと掴みながら目から大粒の涙をこぼして男泣きした。

さらに、その後ろから顔を出した妹のノエル――すっかりお姉ちゃんらしい落ち着きをまといつつも、昔の面影を残した愛らしい少女が、潤んだ瞳で私の服の裾をキュッと掴んだ。

「お兄ちゃん……おかえりなさい。ずっと、帰ってきてくれるって信じてたよ……!」

そのあまりの健気さと可愛らしさに、私の脳内ネットワークは一瞬にして「尊い……! 天使がここにいる……! 全力で頭をナデナデして美味しいお菓子を貢ぎたい!」という他種族オタクならぬ「妹愛好家オタク」としての狂喜乱舞がマッハの速度で駆け巡った。

しかし、外面のペルソナは微塵も崩れていない。

私は完璧なまでに優しく、気高い兄の微笑みを浮かべながら、ノエルの頭をふわりと優しく撫で上げた。

「ただいま、ノエル。心配をかけたね。これからは、もう誰も悲しませないし、我がクロフォード家には永遠の平穏と繁栄が約束される。安心しなさい」

そのスマートで包容力のある仕草に、ノエルは顔を真っ赤にしてさらに甘えてくる。内心でガッツポーズを連打しつつ、私の紳士としての威厳は完璧に保たれていた。

――だが、ここで忘れてはならない人物がもう一人いる。

部屋の隅にドンと腕を組んで佇んでいた狼の獣人の老戦士、ガロウである。

「おいおい、アランよ。家族との感動の再会に水を差すようで悪いがな……すっかり忘れているようだが、この屋敷のもう一人の立役者であるこの俺の紹介をすっかり忘れてやしないか?」

ガロウの低い声に、父レイモンドや兄アルフレッド、そして母ソフィアが一斉にびくりと体を震わせ、その異様な迫力を放つ獣人の姿を見て再び腰を抜かしそうになった。

「ひっ……! 狼の獣人……!? なぜ、そんな危険な猛者が我が家に……!」

アルフレッドが青ざめながら叫ぶ。

私は涼やかな顔で立ち上がり、ガロウに向かって美しく一礼した。

「失礼いたしました。ご紹介しましょう。この方こそ、私が辺境の森で出会い、私の剣の腕と精神性を極限まで叩き込んでくださった恩師にして、最高の相棒――ガロウ師匠です。今回の帰還にも、私の理想郷の行く末を見届けるべく、こうして同行してくださいました」

私の紹介を聞いたガロウは、豪快に牙を剥いて笑った。

「ははは! 挨拶が遅れたな。俺はこの生意気で優秀な野郎の師匠をやっているガロウだ。まぁ、安心しなせぇ。今日からこの男爵家の借金は片付き、おまけにこれからこの一帯はとんでもない面白さに包まれることになるんだからよ」

ガロウの豪快な一言と、私の持ち帰った圧倒的な富、そして見違えるほど成長した私の姿。

それらすべてが組み合わさり、クロフォード男爵家はこれまでの絶望的な暗闇から、一気に明るい未来へと引き上げられたのだった。

だが、物語はここで終わらない。

男爵家の債務を完璧にクリアし、家族との温かい時間を過ごした私には、次なる重大なステップが残されている。

それは、実家から譲り受けたあの「誰も見向きもしないボロボロの荒れ地」の受領と、そこをすべての他種族のための楽園へと変貌させるための国家プロジェクトの始動であった。

私は家族やガロウを従え、地図の上に記されたその荒れ地にそっと視線を落とした。

かつては絶望の象徴だったその場所は、今や私の行政チートと、すべての他種族への愛、そして『霊刀・虚空』の輝きによって、世界を揺るがす最強の要塞都市へと生まれ変わる運命にあった。

私は心の中で静かに微笑み、次なる開拓の舞台へと向けて、新たな一歩を踏み出すのだった。

第32話をお読みいただき、ありがとうございます!

圧倒的な財宝と完璧な紳士オーラを纏ったアランが、ついにクロフォード男爵家の実家へと凱旋する回をお届けしました!

山積みの借金と書類に追われていた兄アルフレッドが盛大にパニックを起こす姿や、母や父、そして妹ノエルとの温かい再生活劇、さらにガロウの豪快な参戦を楽しんでいただけたなら幸いです。

次話からは、いよいよ荒れ地を我が手にする「荒れ地開拓・最強要塞都市化プロジェクトの始動 & 王立学園編への突入」が幕を開けます!

次々と登場する魅力的なヒロインたちとのドラマチックな展開に、ぜひご期待ください!

引き続き、アランの勘違いと最強へのロードマップをどうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。