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エルフの王女にフラれたので、辺境の荒れ地を最強の要塞都市にしてみる 〜日本刀と行政チートで始める他種族スローライフ〜  作者: 神楽坂 響


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第31話:十歳から十二歳へ、旅の軌跡と「完璧な紳士」への悶絶ダイジェスト

『エルフの王女にフラれたので、辺境の荒れ地を最強の要塞都市にしてみる 〜日本刀和行政チートで始める他種族スローライフ〜』第31話をお届けします!

10歳での高難度ダンジョン「死者の回廊」攻略を成し遂げたアランは、ガロウと共にさらなる広い世界へと漕ぎ出します。今回は、10歳から12歳を迎えるまでの「二年間の旅の軌跡」の中に、モフモフを前にした悶絶の紳士修行や行政サポートのエピソードをたっぷり詰め込んだダイジェスト回です!

優雅で華麗なロードトリップの裏側で繰り広げられるアランの壮絶な精神的攻防と笑いに満ちた日々をお楽しみください!

【年齢:10歳〜12歳(少年期・ロードトリップ&悶絶ダイジェスト編)】

高難度ダンジョン「死者の回廊」の最奥にて、主である『レヴナント・ロード』を新奥義『八重羅刹・無間』で完璧に粉砕し、莫大なレア素材と資金を手に入れた日から、私たちの旅はさらに加速度を増していった。

王国街道を外れ、私たちは人間の国家圏と他種族の居住区が交差するボーダーライン周辺の街や村をいくつも巡った。

旅の目的は明確である。一つは、我がクロフォード男爵家の崩壊した財政を根本から救済するための強固な経済基盤と換金資産の確実な確保。もう一つは、将来的にすべての他種族が共存し、笑顔で暮らせる理想郷を創り上げるための「インフラと行政システムの現地調査」である。そして最後は、剣士としての技量と、過去のトラウマ(エルフの王女様からの「変態」コール)を二度と繰り返さないための「いかなる場においても動じない、完璧な紳士としての教養と精神性」の極限までの深化であった。

しかし、この最後の目的こそが、私にとって想像を絶する過酷な修羅の道であった。

旅の道中で目にした光景は、前世の公務員としての私の脳裏に、数々の重要なインフラデータを刻み込むと同時に、私の精神を常に極限状態へと追い込んだ。

例えば、旅の序盤。

とある豊かな街道を歩いていた時のことだ。私たちのすぐ脇を、ふさふさとした極上の尻尾を揺らしながら歩いていたフェネック系の亜人少女の商隊が通り過ぎていった。

あのモフモフとした耳の質感、太陽の光を浴びて黄金色に輝く毛並み、そして何より荷車の上で無邪気に跳ねる小動物的なシルエット……!

私の脳内ネットワークは一瞬にしてマッハの速度で「尊い……! あの尻尾をモフりたい! 行政の力で全保護して毎日ブラッシングしたい!」という狂おしいオタク的絶叫に満たされ、危うく全身の水分が沸騰するところだったのだ。

それを必死のボディコントロールと、元・公務員としての鋼の精神力(理性の仮面)によってどうにか表面化させずに押し留めたものの、顔の微小な痙攣が収まるまでに数分を要した。

「おい、アランよ。見た目の姿勢や歩き方は王都の貴族息女もうっとりするレベルの完璧さだがね……お前のその、目の奥のギラついた光と、口元を必死に引きつらせて抑え込んでいる微小な震えをどうにかしろ」

ガロウ師匠から容赦ないダメ出しを受け、私は内心でぐっと歯を食いしばりながら、表情筋のデフラグとプレッシャーコントロールの再構築に追われることになったのだった。

またある時は、人間と他の種族が共存する中規模の商業都市に滞在していた時のことだ。

宿の食堂で朝食をとっていると、隣のテーブルに座っていた犬系亜人の旅商人グループが、商談のうまくいかなかった愚痴を言い合っていた。

「くそっ、今回の交易品は関税の計算が複雑すぎて、仲買人どもにいいように中間マージンを抜かれちまったぜ……」

「まったく、お上の役人どもはこれだから融通が利かないのさ。書類仕事なんて俺たちにはチンプンカンプンだ」

それを聞いた瞬間、私のなかの「元・地方公務員魂」と「モフモフを守りたい行政オタク魂」が激しく疼いた。

――ふむ。現在の王国の地方行政システムは、中間流通の構造が縦割りすぎることが諸悪の根源だ。このままでは、せっかくの真面目な亜人たちの商いまでが不当な搾取の対象になってしまう。私の将来の理想郷では、ワンストップの電子申請ならぬ魔導申請プラットフォームを導入し、課税の透明性とコスト削減を徹底しなければ……!

脳内では一瞬にして数百行に及ぶ行政改革の基本方針案がスライドショーのように展開され、私は思わず席から立ち上がりかけ――ハッと我に返った。

いかん、ここで一般の商人に突然行政改革の論文を叩きつけては、ただの「頭のネジが外れた謎の子供」になってしまう。それは紳士の美徳に反する。

私はスッと目を閉じ、精神を落ち着かせるための深呼吸をした。

(――冷静になりなさい、アラン。今必要なのは、彼らに説教をすることではない。さりげなく、しかしスマートに、彼らが抱えている税務書類の不備を『個人の才覚による親切なアドバイス』の形に偽装して解決してあげることだ)

私は表情筋を完全にコントロールし、完璧な貴族の微笑みを湛えながら、彼らのテーブルへと優雅に歩み寄った。

「失礼いたします。お隣の席で、少々お困りの声が聞こえましたので……もしよろしければ、その複雑な税務の計算と書類の整理、私が少しお手伝いしてもよろしいでしょうか?」

突然声をかけられた犬系亜人の商人たちは驚いたが、私が懐から取り出した特製の万年筆を鮮やかに走らせ、コンマ数秒の暗算と高速筆記で書類の修正案を完璧に書き上げて見せると、言葉を失って固まった。

「な……なんだこれ……!? さっきまであんなに難解だった計算と申請書が、嘘みたいにスッキリ分かりやすくなってる……!」

「お見事です。これで不当な中間マージンに悩まされることもなくなるはずです。それでは、私はこれで失礼いたします。良き商売の旅路を」

私は帽子を軽く持ち上げるスマートな会釈を決め、感嘆の声に包まれながら自分の席へと優雅に戻っていった。実家へ帰る前に一般市民(亜人含む)に対する行政サポートの実績も積め、何より困っているモフモフ系商人の役に立てたという事実が、私の心の健康とモチベーションを最高潮に高めてくれた。

しかし、すべての特訓がこれほどうまくいくわけではなかった。

旅の中盤、野営の焚き火を囲みながら、ガロウ師匠から厳しい実践形式の「気迫コントロール」の特訓を受けていた時のことである。

「アラン、そこだ! 自分の感情が昂ったときほど、気配を完全に殺して無色透明になれ! お前のその『他種族を見つけたときの嬉しそうなオーラ』がダダ漏れだぞ!」

ガロウの鋭い叱咤と共に放たれた闘気を受け流そうとしたその瞬間、野営地のすぐ近くの茂みがガサリと音を立てた。

ひょっこりと顔を出したのは、夜行性のふさふさとした尻尾を持つ、愛らしい小動物系の亜人の子供だった。

そのあまりの尊さと可愛らしさに、私の脳内のオタク回路が瞬間的にショートを起こした。

(――っ……! なんだあの生き物は……! あんな小さな体にあのフサフサの尻尾のボリュームは反則だろう……! 今すぐ駆け寄って頭をナデナデしたい衝動が、私の全リソースの98%を占拠している……!)

理性とオタク衝動の激しい内部抗争の結果、私のボディコントロールは致命的なエラーを起こし、「ふ、ふふふ……尊い……」と声にならない呟きが漏れかけ、顔面が完全に気が抜けた変質者のようなニヤケ顔へと変貌してしまったのだ。

「――そこだぁっ!!」

ガロウの重い木刀の柄が、私の脳天にパーフェクトなタイミングで直撃した。

「ぐふっ……!?」

「ボケがぁ! 修行中に何をとろけた顔をしてやがる! 相手の気迫の圧力を受け流すどころか、自分の欲望に押し流されてどうする!」

私は地面にうずくまりながら涙をこらえ、必死に自分の頬を両手で叩いて表情筋を再起動させたのだった。

もちろん、戦闘面や武者修行においても、私たちの旅は妥協なき進化を続けた。

ある深い森の中では、旅人の商隊を狙う大型の魔獣『ギガント・ベア』の群れが私たちの進路を塞いだ。

「おい、アラン。数が多いな。どう出る?」

ガロウ師匠が低い声で問う。

私は慌てることなく、背筋をスッと伸ばして『霊刀・虚空』の柄に左手を添えた。

「ご心配には及びません、師匠。動的リソース配分の出力テストを兼ねて、速やかに環境の治安維持を遂行しましょう」

シュン、と。

風の音すら置き去りにする神速の踏み込み。全属性同時圧縮エンチャントを纏った『霊刀・虚空』の刀身が、一瞬の静寂ののちに幾重もの軌跡を描き出す。それは周囲の生態系や樹木の美観を一切傷つけることなく、巨大な魔獣たちの急所だけをミリ単位の精度で捉えた『八重羅刹・無間』の洗練された連撃であった。

音もなく崩れ落ちる魔獣の残骸を背に、私は衣服の裾を軽く払い、何事もなかったかのように優雅に息を整えた。

「――これで一件落着です。素材の回収はガロウ師匠、お願いできますか」

「お前なぁ……相変わらず戦い方が美しすぎて、こっちはツッコミを入れる気力も起きねぇよ」

ガロウは呆れたように頭を掻きながらも、その琥珀色の瞳には確かな信頼と誇らしい光が宿っていた。

このようにして、過酷なサバイバルと悶絶の紳士修行、そして知性と武力の両面における最高度の充実を得られたロードトリップは、季節を二度跨ぎ、私たちの年齢と実績を確実に積み上げていった。

10歳だった私は、数々の修羅場と行政的考察、そしてガロウとの濃密な修練の日々を経て、着実に肉体の成長と精神の熟成を重ねてきた。

そして、気づけば私の年齢は「12歳」の節目に到達していた。

旅の最終地点。王国南方の境界線付近に見えてきたのは、かつて私を冷徹に、しかし温かく送り出してくれた故郷――クロフォード男爵領へと続く懐かしい街道の景色であった。

ふふ、と私は心の中で小さく息を吐いた。

かつては借金まみれで、キャッシュが完全に底をつき、一家離散の危機に瀕していた我が実家。兄アルフレッドが毎日のように山積みの書類と取り合い、胃に穴をあけそうになりながら苦悩していたあのボロボロの男爵家。

だが、今の私には、あの時の絶望を覆すだけの圧倒的な財力、最高級のレア素材、そして何より国家予算の動的配分すら余裕でこなせる「行政チートの脳内知見」と「一国を揺るがしかねない神速の剣技」がすべて揃っている。

「――さて、師匠」

私はしっかりと腰に納められた『霊刀・虚空』の感触を確かめながら、隣を歩くガロウに声をかけた。

声のトーンは低く、落ち着き払った、まさに「気高き貴族の紳士」そのもののものであった。

「いよいよ我がクロフォード男爵家へ凱旋するときが来ました。かつて私を送り出してくれた家族たちに、この二年間で磨き上げた完璧な成長の姿と、借金を根底から消し去る『完璧な解決策』を見せに行くとしましょう」

私の言葉に、ガロウは不敵な笑みを浮かべて頷いた。

「おっと、そうだな。その真面目すぎる兄貴分の男が、お前の圧倒的な成果を目の当たりにしてどんな顔をするか……今から楽しみでならないぜ」

遠くに見える男爵領の石造りの門を見据えながら、私は未来の理想郷へと繋がる最も重要で、最も劇的な第一幕の扉を開けるべく、優雅で揺るぎない足取りで故郷への道を歩み始めたのだった。

第31話をお読みいただき、ありがとうございます!

10歳から12歳を迎えるまでの二年間、アランがガロウと共に歩んだロードトリップの軌跡の中に、モフモフを前にした悶絶の紳士修行や商業都市での行政サポート、そして華麗な魔獣討伐のエピソードをたっぷり詰め込んだダイジェスト回をお届けしました。

数々のコミカルな特習と精神的攻防を乗り越え、いよいよ万全の準備を整えて12歳となったアランの姿を楽しんでいただけたなら幸いです。

次話(第32話)からは、いよいよ「12歳の節目・感動の実家凱旋 & 兄アルフレッドの盛大な胃痛と借金全額完済編」が幕を開けます!

圧倒的な財宝と完璧な紳士の物腰を携えて帰ってきたアランに、家族たちはどう反応するのか……そして荒れ地の開拓の第一歩にご期待ください!

引き続き、アランの勘違いと最強へのロードマップをどうぞよろしくお願いいたします!

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