91 光を反射したもの
照らし出された岩肌は黒々として荒々しい表情を見せている。
岩に含まれる小さな鉱物が光を浴びてチカリと光る他は、何の変化もない。
床や天井も同じこと。
濡れているわけでもなく、足跡が遺されているわけでもない。
気のせいかな……。
そう思い始めた時、遠くに光を反射する何かがあることに気づいた。
近づいてみると、大きな硬貨が落ちていた。
見たことのない模様と数字らしきものが描かれ、女性の横顔が刻まれている。
金色に鈍く光っている。
屈みこんでひとしきり眺めてから、それを拾い上げた。
埃が舞い上がった。
床には硬貨の形に、ぽっかりと埃の穴ができた。
冷たさが指に伝わってくる。その価値を物語るようにずっしり重い。
裏側には薔薇と剣と帆船の絵柄。
相当、古いもののようだ。
金の硬貨。
縁は滑らかで、強く指を押し当てたら怪我をするくらいに尖っていた。
もちろん初めて目にするもの。
これが金貨というものなんだ。
チョットマは、もっとないかと辺りを彷徨った。
そしてまた一枚、見つけた。
同じもの。
手の平に並べ、光を当てて、その輝きを見つめた。
と、何か気配を感じて、目を上げた。
あっ。
どういうこと?
暗闇だったはずが、十メートルほど先、岩壁に明るい穴が開いている。
なんなのよ。
穴の向こうには、光が満ちている。
まぶしい。
目が慣れてくるに従って、穴の向こうに広がる世界が見えてきた。
どこかの街だ。
チョットマは近づいていった。




