84 そんな気持ちだからダメなのよ
「いずれにしろ、探し出すしかありません」
シェルタの内部を、数人の警察官が捜索しているらしいが、そもそも警察官はユーペリオンに二十人ほどしかいない。
全員をここに投入するわけにもいかない。
とても探しきれるものではない。
「我々も加わりましょう」
返事も待たずにンドペキが先頭に立って、シェルタ内部に入った。
懐かしい場所。
景観は依然と全く変わっていない。
天井の高いホールのような空間に大小様々な岩が突き出し、または転がっている。
その周りには無数ともいえる空間、つまり空洞や通路が迷路のように連なっている。
チョットマが演説した大岩もあのときのままの姿で鎮座している。
真っ暗なことに変わりはないが、どことなく侘しい感じがするのはなぜだろう。
政府建物に侵攻を開始したときのような高揚感はないし、人影もない。
淀んだ空気が静かに溜まっているだけで、地面に落ちたメモ一枚のゴミさえも、まるで遺跡の一部になったかのように、うっすらと埃を被っている。
ンドペキがてきぱきと持ち場を決めた。
このシャルタの内部構成を知り尽くしているとは言えないが、警官達よりまし。
警官達は民間人のンドペキに指示を出されて、顔を見合わせたが、結局は肩をすくめただけでおとなしく従った。
見つからないと思うけどな、という呟きと共に捜索に向かおうとする警官の背に向けて、チョットマがアカンベーをしてみせた。
「見つからない? ふん! そんな気持ちだからダメなのよ」
ポンポンと大岩を飛び越えて、チョットマは暗闇に消えた。
「用心するんだ! 相手が何者か、分からんぞ!」
ンドペキの呼びかけに、闇の中から弾んだ声が返ってきた。
「了解! 隊長!」




