83 無難な回答を口にするやつ
数日前、不審人物が二人、シャルタに通じる小道で巡回中の警察官に目撃されている。
ただ、その報告には二通りある。
パイサイドだったという報告と、そうではなかったという報告。
今日また、姿を見かけたのだという。
「今日は一人だけのようでしたが、逃げ足の速い奴で」
「現在捜索中ですか」
「ええ。しかし、水中に逃げられては手も足も出ないので」
「確かにパリサイドだったのですか?」
「ええ、まあ。その辺りは曖昧なんですが」
先日の目撃情報も、今日のそれも、一瞬、姿を見たというもの。
それに、この暗さ。パリサイドなのかどうか、言い切れるものではないだろう。
今まだパリサイドの身体を有している者がいるとすれば、どういうことになるのか。
ロームスが滅んで、あるいは力が弱まって、宇宙船に乗っていたパリサイドは全員が人の姿に戻った。
元々パリサイドだった者も、アギからパリサイドになった者も。
地球に残されたパリサイドは、そのままその姿を保持しているのだろうか。
あるいは、別系統のパリサイドがいるのだろうか。
「逃げた、んですか?」
「我々の姿を認めたのでしょう。さっと姿を消したようです」
パリサイドであれば、人の能力をはるかに超える視力を持っているはずだし、動きも敏捷だ。
空を飛ぶこともできるし海中深く潜ることもできる。
まして殺傷能力は言うに及ばず。
己の姿を自在に変えることさえできるのだ。
眼前から姿を消すことなど容易いこと。
「パリサイドではない、という可能性は?」
「ううむ」
腕を組んで「五分五分でしょうな」と、無難な回答を口にするやつ。




