81 そんなレイチェルを気遣って
会議の結果、宇宙船はニューキーツの街、あるいはその周辺の位置に移動することになった。
キョー・マチボリーの判断によれば、早ければ七日後には船側の準備は完了できるという。
ただ、着船位置の調査は必要だ。
ニューキーツの街にとなれば、街から持ち出すものは多量にある。持ち出す前に選別もしなくてはいけない。除染もしなくてはいけないかもしれない。
結局、移動の時期は一月後に状況を見て判断、ということになった。
そんな結論より、イコマはレイチェルの様子が気にかかった。
表情から、その激務がありありと見てとれる。
以前のように、冗談を言ったりすることもない。笑顔さえ、ほとんど見せることがなかった。
攻撃隊の面々は、そんなレイチェルを気遣って、会議の後、自分達ができることはもっとないのか、とレイチェルに話しかけた。
少し考えた末に、レイチェルは、
「ありがとう、みんな。私の力が足りないから、心配ばかりかけて」と、目を伏せた。
「違う。レイチェルだからこそ、こうやってみんな纏まってるんじゃないか」
「暴動も起きないし、略奪も起きない。未来に希望さえ持っている。レイチェルだからこそ、じゃないか」
口々に言われて、レイチェルは一筋の涙を流したのだった。
メダカシップから降りて、自分達の仕事場に向かおうとしたときだった。
事件が起きた。
警察官と出くわした。
慌てている。顔には緊迫感が漲っている。
訳を聞くと、レイチェルのシェルタに潜り込んだ者がいる、ということだった。
「行こう!」
ンドペキが警察官を追って駆けだした。
警察官は後ろから数人の者が追ってくることを知っても、止めはしなかった。
中に、警察官であるスミソが含まれていたからかもしれないし、ボニボニに協力していることを知っているのかもしれない。




