80 あいつ、なかなか一癖ある
「あいつ、なかなか一癖あるみたいやな」
ンドペキが言う。
シャトル・メダカシップは行程の半分ほどまで来ている。
「というより、嫌々感丸出しやったね」
そうと言い合う間も、イコマはチョットマを見ていた。
昨夜、あれから何をしていたのだろう。
ボニボニと一緒だったという考えが確信に変わっていた。
ンドペキによれば、サキュバスの庭に交代に行ったものの、チョットマの姿はなかったらしい。
それを聞き出せないでいたが、このタイミングで聞いてみよう。
「チョットマ、あれからボニボニとどんな話をしたんだい?」
どんな言葉が返って来るか、少し危惧していたが、意外にもチョットマは澄ましてこう言った。
「レイミに会ってきた」
「あ、そうなのか」
「だって、誰も見守っててあげないなんて、可哀そうでしょ。昔はお葬式って儀式もあったそうじゃない」
「そうだね」
人は死んでも数日もすれば再生される。そんな時代を長く経たことで、死を悼む気持ちがあったとしても、それを行動に結び付けることは思いもよらなかった。
「うん。それはよかった」
スミソがチョットマを見つめていた。
この男は、見知らぬ女の肉体を持つことになったが、今でもチョットマを愛しているし、自称親衛隊であり続けている。
以前ほどチョットマの背後にスミソ在りという状態ではないが、昨夜スミソがいれば、きっとチョットマに同道していたはずだ。
それきり誰も口をきかなかったが、我慢ができなくなったかのように、スミソがぽつりと言った。
元々、ぶっきらぼうで口数の極端に少ない男。
「で?」
何が?
しかし、スミソと長く付き合ったチョットマは質問の意味を理解した。
「かなりげっそりしてるみたいだった。別人みたい。死んだからそう見えただけかもしれないけど」
スミソがうんうん、というように頷いた。




