77 いらないわ
小さな穴倉。
光を投げかけると、普通の小部屋と何ら変わりはない。
それとも、これは見せかけ?
なにかの罠が仕掛けられている?
チョットマは、意を決して穴の入り口に近づいた。
奥行きのない小さな穴。私の寝室よりまだ狭い。
変わったことはないようね……。
穴に向かってそう呟いてみたが、何も変化はない。
金貨が落ちていた。
あれがあんなものを見せたのね……。
そうか……。
金銀財宝……。
こういうものに魅せられてしまう人がいるのね。
まともな宝石なんて見たことないけど、人の心を惹きつけてやまない、と聞いたことがある。
人殺しの動機にもなりえるし、戦争の原因だったりもするという。
人を狂わせる。
ここに落ちていたことは偶然だろう。
それを私が見つけたことも偶然。
しかしその偶然によって、私の心が一瞬ではあれ、もっと欲しいという気持ちになった。
知らず知らずのうちに、欲望が芽生えてしまったのね。
財宝とはそういうものなのね。
冗談じゃない。
いらないわ。
金貨はそのままにしておこうと背を向けた。
待てよ。
これって、殺人の動機になるんだったら、レイミの事件の重要な証拠かもしれない。
そして、もうひとつ、気づいた。
このシェルタって、こういう財宝の隠し場所だったりして。
だからレイチェルは近寄るなと……。




