76 名探偵のイコマさんに相談しろと
実際、レイチェルからこの仕事を仰せつかった時に、彼女からこう言われている。
私達人類はもう滅びるかもしれません。
その時に、私たちが遺せるものって、何でしょう。
進化はしたけど過ちばかり繰り返してきた人類。後の時代、その生きた証をもし誰かが見つけた時、人が人らしく生きてきたという物語を残しておきたいのです、と。
ユウに優柔不断と言われるのは慣れていたし、その通りだと思ってもいた。
しかし、アヤやチョットマに白い目で見られたことは辛かった。
アヤはかつての僕を知っている。軽く溜息をついただけだったが、チョットマは僕とスミソの顔を少し驚いたように、見比べていた。
「チョットマ、今の僕の意見はなかったことにしてくれ。確かにユーペリオンの一員。正々堂々、僕は賛成だ」
でも、と付け加えた。
「街の真上が圧倒的に便利だと思う。でも、北の荒野や西の砂漠、旧市街、つまりキーツの街にという案もあると思う。ユーペリオンからは遠くなるけど」
「うーん。どうかな。市民が簡単に徒歩で行けない。中途半端」
と、ユウに切り捨てられた。
「それはそうと、昨夜のボニボニの話、どう思う?」
少し離れて座ったンドペキがスゥと話していた。
「どうって、協力してあげたら?」
「あいつはイコマに協力してくれって言ってたけどな」
「同じことだって。イコマとあなたは一心同体だったんだから。というか、みんなで協力するべきね」
「協力できるものならしてやりたい。けど、あいつ、具体的に何を期待してるんや?」
「何も期待してないかも。レイチェルの指示だからって、何度も言ってたから」
「ほらな」
レイチェルの指示。
昨夜、ボニボニはその言葉を何度も口にしながら、訪問の用件を話したのだった。
「名探偵のイコマさんに相談しろと」
「名探偵?」
「すごい! パパ」
このときばかりはチョットマも声のトーンを上げていた。




