71 ごめんね、偉そうなこと言って
「しかしやな。パリサイドがレイチェルを自分達の本当のリーダーとみなしてると思うか? パリサイドを悪く言ってるんじゃないぜ。彼らには彼らの社会があったんだから、そんなにうまく切り替えれるかな」
ンドペキが異議を唱えたが、チョットマはにこりともせずに言った。
「ンドペキ、分ってないのね」
イコマはハッとした。
大好きなンドペキにチョットマがこういう口をきくのを初めて聞いた。
「じゃ、ンドペキ。聞くけど、マトやメルキトは全員が一人残らずレイチェルの信奉者だって、言える?」
「ん」
「パリサイドの誰も例外なくレイチェルではなく、今だにアイーナに戻って来て欲しいと思ってる、なんて言える?」
「うーむ」
もちろん言えやしない。
「だからね、本当はもうどうでもいいの。そんな区別は。そんなんで人を十羽一絡げに見てたら、見間違うんじゃない、ってこと。それに、そんな世界に本当の友情なんて、信頼なんて生まれない。違う?」
「う」
「ごめんね、ンドペキ。偉そうなこと言って」
「いや」
完全にチョットマの言う通りだった。
イコマもンドペキも、誰もが目を覚まされた気分だった。
唯一、アヤだけが、チョットマを見て目を輝かせていた。
そしてユウが優しく微笑んでいた。
「おまえの言う通りだ」と、ンドペキが笑った。
「さっき俺が言った無責任感想は、すべて撤回する」
「だよね! さあてと!」
チョットマが勢いよく立ち上がり、そして明るい声をあげた。
「そんならちょっくら、見に行ってくるか! 寝るのはやめ。サキュバスの庭へ!」
「よし、俺も行くか!」
「ダメ!」
「え、なんで?」
「だって、二人で行っても、ちっとも効率的じゃないじゃない。見に行くだけなんだから」
「それもそうだな……」
「今夜行くなら、私が帰ってくる頃に交代に来てよ」
「……了解だ」
スゥが笑った。
「下剋上ね」
「下剋上って?」
「主君を配下が成敗すること。まるでチョットマはンドペキの上官みたい」
「あ、だからごめんって。ンドペキ、怒らないでね。じゃ行ってくる」
チョットマが扉を開けると、そこに大きな影があった。
「あ、ボニボニ署長」




