68 それとなく監視せよ
「シェルタへ通じる通路って?」
「エリアREFのゴミ焼き場の下の道。シェルタだけに通じてるわけじゃないけど」
プリブが住んでいた部屋の更に下層部。
古い古い居住エリア。
当時も使われていなかったし、現在は再び廃墟となっている。
しかも今、ライラの住んでいたサキュバスの庭と呼ばれるエリアから北部、水路沿いの通路やその先の三差路、ゴミ焼却場の下部や元市長の部屋があった辺りは、一帯が立ち入り禁止になっている。
通行するにはレイチェルの許可がいる。
もちろん、人々の健康を守るため。
エリアREFとその周辺に広がる地域は、このユーペリオンエリアより地表に近い。
地上ほどではないが、太陽フレアがもたらすものによって汚染されてしまったのだ。
それに、地上を徘徊する殺傷マシンは、地下に潜り込む地点で遮断されているものの、万一紛れ込まないとも限らない。
そしてもう一つの理由。
レイチェルは、人々を、できるだけ狭い空間に纏めておきたかったのである。
限りある資源、無尽蔵ではないエネルギー。
これらを最大限効率的に使うために、集約して住む必要があったからだった。
だが、思ったことがある。
シェルタには、レイチェルにとって人に見られたくないものがあるのではないか。
レイチェルにとって、なのかもしれないし、キャリーにとって、なのかもしれないが。
想像を逞しくすれば、思いつくことはいくらでもある。
レイチェル、すなわちキャリーの秘密。
「理由は? トゥルワドゥルーがそこに行く理由」と、ンドペキ。
「わからない」
「なにか、不穏なものを感じるな」
ンドペキにとっても、あの場所は思い出深い場所。
「しかし、監視するとは言っても」
シルバックやジルの話を聞いて、攻撃隊の隊長としてスジーウォンが出した結論は、サキュバスの庭をそれとなく監視せよ、というものだった。




