58 出血多量によるもの これは明白
オップラーガーデンのグロット、フェアリーリングの中ほど。
さっきと同じ場所で、ボニボニが待っていた。
地下水系が激しく渦を巻き、途切れることのない轟音がグロットを満たしている。
この街の命綱。地下水系。
これがあるおかげで、ユーペリオンは氷点下になることはない。
豊かな水量を有し、時として激流となって、幾度となく枝分かれては出会い、地上に姿を現すことなく、海へ注ぎ込んでいく。
以前は、そのルートを通って、ニューキーツと海をパリサイドが行き来した。今は宇宙船スミヨシと結んでいる。
上流は、かつてンドペキ達が立て籠もったスゥの洞窟にも繋がっている。
ボニボニは警察署から持ち出したらしい椅子に座って、濡れた地面を見つめていた。
少し離れた位置に公園の石製ベンチ。
そこにはチョットマが腰かけていた。
「お呼びだてしてすみません」「いえ」といった言葉を交わし、チョットマの隣に腰掛けると、ボニボニが追加の簡単な説明をしてくれた。
レイミの死体が発見されたのは、今日の午後八時十分前後。
発見者であるカップルの証言である。
ちなみにそのカップルに、怪しむべき点はないという。
「死因は出血多量によるもの。これは明白です」
「この場所で殺されたと」
「断定はできませんが、倒れていた場所、そこが犯行現場ではないかと考えています」
と、自分の椅子の前の地面を指さした。
「先ほども申し上げましたが、死体はすでに警察署に運んであります。血が流れていましたが、川の水飛沫で地面が濡れているせいで、実際にはどこで刺されたのか、明確ではありません」
ボニボニが、さて、と姿勢を正した。
「これからお聞きすることに、お気を悪くしないでください」
「もちろんです」




