59 ごく薄い上唇を指で撫でて
会議が終わってから、どこで何をしていたか。
会議はご存知の通り、今日も分科会形式で行われました。
それぞれの分科会は隣室というわけではないが、そう遠くない部屋で行われています。
会議の前後に主だった者が集まって、成果を報告しあったりしていますのでね。
ボニボニが頷く。
会議終了は七時四十分ごろ。
局長会に出ていたユウや他の分科会に出ていたンドペキやスゥ、アヤやチョットマを待ちました。
局長会は長引いたようで、ユウが出てきてようやく、皆で帰りました。
アヤとチョットマは、誰かと話すことがあるらしく、私たちだけで先に帰ることにしました。
出たのは結局八時半を過ぎていたと思います。
途中でアヤとチョットマが追いついてきて、慌ててここへ戻ってきたというわけです。
「なるほど、一連の会議が行われた場所からこのグロットまで、普通に歩いて十分程度でしょうか」
「そうですね。したがって、彼女が殺された時、私はまだ、会議場の付近にいたのでしょう」
自分の無実を伝えたかったわけではない。
時間の概念が希薄になりがちな真っ暗闇の世界で、時刻はできるだけ正確に伝えねばならない。
「端的なご説明をありがとうございます。では次に」
ボニボニは探偵よろしく、ごく薄い上唇を小指で撫でながら、次の質問に取り掛かった。
会議後、レイミを見かけたか。
「いいえ」
異様に、あるいは不自然に感じたことはあるか。
「ありません。というか、このガーデンの傍を通った時に、いつもより人が多いと感じたことくらいです。きっとそれはあなた方なのでしょう」
念のために、とその時刻を聞かれたが、やはり警察の連中だった。
「少しプライベートなことも含めてお聞きします」
「どうぞ」
レイミとは知り合いか。
知っています。
所属とか、そういったことです。
話すようになったのは、この分科会メンバーになってからです。
とはいえ、分科会は今日で二回目の開催ですし、会議の席以外で話したことはありません。




