56 ボニボニにとって、初めての事件
ボニボニはどこまで話すつもりなのだろう。
捜査の常識では、警察が知りえたことをこんな風に話すことはない。
あるいは、すでに見当をつけているのだろうか。
その上で、何らかの証拠を今この場で得ようとしているのだろうか。
スミソと目が合った。
スミソは東部方面攻撃隊解体後、警察官として働いている。
ボニボニの後ろで、集まった者たちに目を向けている。
「さて、状況としては以上です。我々が把握していない事柄をこれから個別に伺います。お呼びいたしますので、それまでしばらくあちらの方でお待ちいただきます」
警察官に案内されて、コリネルスが待ってくれていた広場まで移動した。
石のベンチがそこここに配置されていて、他の場所に比べて少し明るい。
それぞれの場所に陣取って順番を待つのだが、イコマはなかなか呼ばれなかった。
先に事情聴取を終えたトゥルワドゥルーとイッジが通りかかって、無言で会釈して帰っていく。
入れ替わるようにしてイペがやってきた。警察官と話している。
スゥとンドペキが呼ばれた。
まだ呼ばれない。コリネルスもまだだ。
これでは、お誕生日会が遅くなってしまう。
イコマは少しいらいらしながらコリネルスと話をした。
「トゥルワドゥルーとイッジ、分科会のメンバーじゃないけど」
「ああ。イッジが」
「そうか。ボニボニの仕事ぶりを見ておこうってことかな」
イッジはパイサイドの社会では警察庁長官だった。その後継としてボニボニがユーペリオン警察署長を務めている。
幸いなことに、ここユーペリオンでは事件らしい事件はない。
いわば、ボニボニにとって、初めての事件。
「事情聴取を受ける側として」
「だな。トゥルワドゥルーはフィアンセに付いて来たんだろ」
次々に警察官に呼ばれ、だんだん残り少なくなっている。
イペももういないし、チョットマは呼ばれたものの、出てこない。
アヤとチョットマは別の分科会のメンバーだが、ボニボニは聞いておこうというつもりのようだ。
ンドペキとスゥは、お誕生日会の準備しておく、と帰っていった。
アヤはすぐに事情聴取を終えて出てきたが、付き合ってくれるようだ。




