54 詐欺師呼ばわり
「レイミにどんな噂が?」
イコマは話を元に戻した。
「詐欺師呼ばわりする者がいる。それだけのこと。詳しいことはまだ」
レイミとその人物の間に何があったのか、聞いてもいないし、まだ調べてもいないという。
「根拠ってのも、怪しいものさ。きっと」
美貌に対する単なる妬みや嫉妬ではないか、とコリネルスは暗にそう言うのだった。
「暗いね、この辺り」
ユウがぽつりと言う。
確かに、殺人の現場にうってつけと言えるかもしれない。
オップラーガーデンの中でもこの辺りは延々と暗がりが続き、身を隠す岩陰は無数にある。
激しく流れる地下水系の音が周囲に木霊している。
もちろん、夜、人通りはない。
もし通りがかる者があるとすれば、人目を忍ぶ二人連れだけだろう。
ただ、抱き合うために、わざわざこんな奥地まで来ることは稀ではないか。
不穏すぎる。
しかも、現場とされているところは、グロットと呼ばれるひときわ暗い洞穴。
岩がせり出して、その中に細い抜け道が数十メートル続いている。
その中程に、径が少し広がりを持っている場所がある。
径は水系に近づくように湾曲し、そこに小さな岩山。
これも通り抜けていける。
フェアリーリングというかわいらしい名前が付けられているが、レイミはまさしくその中に倒れていたらしい。
人が集まっていた。
イコマ達の到着を待っていたボニボニが、
「では、簡単な状況の説明をさせてもらいます」
と、その大目玉で一同の顔を見回した。
警察官の他には、二十人ばかり。
タァーレル、ゴーダ、トゥルワドゥルー、イッジ、他……。
「会議に出ておられた皆さん全員に集まってもらいたかったのですが、お揃いになるのを待っていれば時間ばかり過ぎてしまいます。まずは今おられる方だけで……」
ボニボニは一同に集まるよう促し、自分はその前に立った。
一人一人と目を合わせ、ゆっくりとした口調で話し出した。




