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45/564

45 溶けていく時間

 バーの中を見回した。

 それなりに混雑してきて、さんざめいている。


 見知らぬ顔も多い。

 隆とした御仁もあれば、陰気な顔の者もいる。

 シュッとした美男美女もいるが、どちらかというと異形の顔を持つ者の方が多い。


 一つ目のミフューや蛙顔のボニボニ始め、タスマニアンデビルそっくりのアニマルフェイス、顔の左右がどこから見てもアンバランスな者、凍り付いたように表情を変えない者……。

 白銀の髪を持つ集団や小人の集団。

 肌の色も様々。

 その中を巨漢イエロータドが動き回っている。



 こういう雰囲気が好きだった。

 いろいろな人が混じり合ってそれぞれに楽しみ、バーのホール全体にエネルギーが満ち溢れている瞬間。

 熱を帯びた空気が徐々に溶けていっては、また熱くなっていくような大きな波長の時間。



 レイミの声も聞こえてくる。

 地球の思い出話。

 六百年以上前、まだマトになる前に南の島で過ごしたバカンスでの出来事。

 タイのサムイ島は、欧米人に人気のリゾートでね。長期滞在が一般的だったんだけど、私も半年は一歩も島から出なかったわ……。

 たくさん恋もしたけど、みんな忘れちゃった……。

 聞き役は武闘派を誇示しているかのようなスキンヘッドの男たち。


 イペはキャンティとゴーダら相手に静かに話し込んでいるが、どことなく浮かない顔。


 本当にパパも来ればいいのにな。



 と、ボニボニと目が合った。

 目を合わせたまま、ボニボニが立ち上がった。


 ジルが話題を転換してくれる。

 攻撃隊の女の子だけができる話題は中断。

 ボニボニが加わった。



「小耳に挟んだんだけど、あのロームスの意識、まだ体内に持っている人がいるみたいね」


 さすがはジル。

 そんな重い話題を平気で出してくる。

 ボニボニの眉間に一瞬、皺を寄せたが、ジルは意にも介さない。


 シルバックも、

「そんな湿っぽい話、ここでする? パーティなのよ」

 と言いつつも、やめさせようとしないばかりか、うんうんと頷いている。

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