44 さすが、いいこと言うじゃない
「トゥルワドゥルーはパリサイドだからね」
パリサイドはレイチェルに対して、特別な思いはない。
現時点ではユーペリオンの長官であり、自分の上司であるという認識はもちろんあるが、攻撃隊の面々が抱いている信頼感や親しみとは大きな差がある。
むしろベータディメンジョンから帰って来なかったパリサイド市長アイーナや、その娘、イッジの方が人気が高いともいえた。
「でもさぁ、トゥルワドゥルー、どんな用があって、シェルタに?」
「さあね。第一、本当に彼があそこに出入りしているのかどうか」
シルバックは、自分で言いだしておきながら、話の先はないようだ。
「それに、トゥルワドゥルーを見かけた人も怪しいもんだね。そいつもシェルタに近づいていたんだから」
「警察の誰かかな。見回りとかで」
「さあ」
「いい加減なんだから」
「だから誰にも言わないでね」
「うん。でも、少し注意しておいた方がいいのかも」
ジルが背筋がわななくほど心が揺さぶられる真剣な眼差しを作ってみせた。
「そう。それを言いたかったのよ」
と、シルバックが身を乗り出す。
「ねえ、思わない? 攻撃隊は解散したけど、本当に、いよいよのとき、って言うべきかな。いざというとき、レイチェルを守れるのは私達だけじゃないかって」
フフフ。
チョットマは思わず、笑みがこぼれた。
「何がおかしいのよ」
「おかしくはないよ。さすがシルバック、いいこと言うじゃない、って思っただけ」
「姫にお褒めいただいて、たいへんな光栄に存じます」
「そういう茶化し方をするところも嫌いなんだな」
「ということで、攻撃隊のみんなに、シェルタを守る、特にトゥルワドゥルーに注意。て伝えておこうと思うんだけど」
「賛成!」
「いいね。先にスジーウォンとンドペキとコリネルスに話しておかないとね!」
「もちろん!」




