39 職場の噂話
「何を言い出すのかと思ったら」
「彼女に言い寄ってる男、たくさんいるらしいよ」
「ふうん」
「食料局には、ろくな男がいないものね」
「だから、なんなのよ」
「だいたい、食料局っていう組織名自体がダサいし」
「だから!」
ジルが不愉快そうな顏を作った。
この作られた表情がジルの真骨頂。
女でさえも、魅入られてしまう。それほどかわいいのだ。
ピンク色のショートカット。瞳もピンク。
小さな顔に小さな唇。きれいな桃色で艶々。
黒い服を好んで着るが、今日も黒いドレス姿。
ジルはきっと、あの資材庫で、Tシャツ一枚より重要だと判断したのだろう。
「対抗心があるかなって」
「誰が?」
「ジルが、よ。私は悔しいよ。あなたじゃなく、レイミばかりもてるのは」
「フフフ」
チョットマは思わず笑ってしまった。
「なにがおかしいのよ」
「だってさ」
以前は、攻撃隊の中で、シルバックが同じような対抗心をむき出しにしていたのだ。
ジルに対して、チョットマに対して。
ジルには美貌の面で、チョットマには人気の面で。
人気という意味では、ジルもチョットマに対抗心を燃やしていたものだ。
チョットマとシルバックはずっと前に打ち解けあっていたが、ジルを含めた三人でこんなふうに話せるようになったのは、ほんの半年ほど前のこと。
「シルバックのそういうところが嫌いなんだな」
ジルがにこりとして言う。
「嫌いで結構。どんな面においても常に二番手三番手だったシルバーコレクターの気持ちなんて、分らないでしょ」
「そう? この三人でシルバックが一番ってこともあるじゃない」
「ないよ。そんなもの!」
「あるって」
「ない!」
「攻撃力」
「はあ! 今や、何の役にもたたない」
「それから、竹を割ったような性格」
「は! それ、まさか褒めてるつもり?」




