33 ドトー! 何をしている!
「俺は何度も反芻したんだ。覚えてるぞ。こうだ!」
ドトー!
何をしている!
私はニューキーツ東部方面攻撃隊、ンドペキの配下!
ならびに、ニューキーツ長官、レイチェルのクローン、チョットマである!
レイチェルの命を、騎士団に伝える!
イエロータドが、暗記していたチョットマの演説を、声高らかに話し出した。
あの時のことが胸に蘇ってくる。
「だから、もういいって!」
「最後の締めはこうだ。よいか! これが貴様にとって、最後のチャンス! そう心得よ!」
「やめてよ! もう! それにしても、なんで急に私が!」
「急だからいいんだよ! 頭の中でこねくり回した挨拶より、思うことをスパッと言う、それでいいじゃないか!」
「ハア!」
イペと目が合った。
チョットマ、頑張って、と唇が動いた。
それを見たイエロータドが息巻く。
「イペ! それは失礼だぞ! チョットマは東部方面攻撃隊の一員。数多の修羅場を潜ってきたんだ! こんなちっぽけなボロボロバーの挨拶で、頑張って、はないぞ! それにこの姫君、かの有名なニューキーツの大賢人、イコマの娘なんだぞ!」
チョットマはポンと立ち上がった。
「そうか! じゃ、ここは一発」と、元気よく。
やるしかない。
飛び降りたはずみで、長い若草色の髪が、ゴーダの顔を撫でた。
「ごめんなさい」
「いや」
うっとりした顔を見せたゴーダにウインクして、チョットマはホール中央に進み出た。
「パパが大賢人? 初めて聞いたけど、面と向かって言わないでね。きっと、嫌がると思うから」と、言いながら。
「挨拶は短いのがいいっていうけど、私のはそうはいかないわ」
そんな言葉で、ヘルシード一周年の挨拶として、イエロータドとの出会いのシーンを語り始めたのだった。
あの日、バーであった出来事を。
そして、その後の物語を。




