25 年寄り蛙に負けるもんか!
ユーペリオン警察署長、ボニボニ。
追い抜きざまに、「さあ、早く行こうぜ!」と、ニカッと笑った。
サリにも同じように笑いかけて、「急がなくていいのか!」と、脅すように言う。
「急いでますって!」
「そんなら、競争するか」
「署長! ずるいですよ!」
ボニボニはフル装備ではないものの、警察官の装束を身に着けていた。
当然、警察官にのみ許されている浮遊走行装置を装着しているはずだ。移動スピードで敵うはずがない。
元々パリサイドは、その肉体をもってすれば、そのような補助装置は必要なかった。
だが、人間の体に戻って、地球人類が持っていた数々の技術を取り入れることにしたのだ。
といっても、今このユーペリオンでは生産することができない。
東部方面攻撃隊が所有していた装具を譲り受けたのだ。
「クェ、ケッケッ、ケッケッ」
笑い声を残してボニボニは、あっという間に遠ざかっていく。老人のくせに。
浮遊走行装置の使い方に慣れていないのか、上下動が激しい。
通路の天井に頭を打ちそうだ。
風貌も笑い方も蛙に似ているからそう見えるのかもしれないが、どことなく蛙が跳ねていくように見える。
「そのブーツ、お気に召していただいて、光栄です!」
チョットマは恩着せがましく、遠ざかっていく巨大蛙の背中に投げかけた。
そして、
「年寄り蛙に負けるもんか! 行くよ!」とサリの背を叩いた。
「よし!」
イエロータドが経営する街唯一のバー・ヘルシード。
少々広い穴倉を改造した店である。
改造といっても、床に木の板を敷いて雰囲気を出し、ボトルラックなどを造り付けただけで、まさしく洞窟バーの趣。
もうすぐそこ。
二人はボニボニを追って、駆けだした。




