22 アンドロ達の次元、もはや行き来はできない
そして、タァーレルはアンドロ。
大昔、使役のために作られた人造人間。
人造人間とはいえ、見かけはまったく普通の人。
体の組成が少々異なるが、それは元はと言えばベータディメンジョンで暮らしてくための仕組み。
感情の起伏が乏しく、嘘をついたりするのが苦手。人に仕えるために生み出された人として、今もその名残はある。
風貌はアンドロらしく、さして特徴はなく、端正な顔立ち。
ただこのアンドロ、少し違うところがあるとすれば、特別に長身。髪を肩まで伸ばし、後ろで束ねている。
つまり、少々珍しく、髪型で自己主張している。
チョットマ自身、アンドロに対して差別的な意識は全く持っていない。
レイチェルのSPだったハワードはじめ、アンジェリナやセオジュン、ニニは今もまだ友人だったと思っている。
人を愛する感情や友情を持ちたいと願っていたアンドロ達。
ニューキーツの街がそんなアンドロ達によって占拠されたのはほんの二年前。
あの騒動は太陽フレアの襲撃によってうやむやにはなったが、人が使役するための人間という枷は完全に取り払われた。
少なくとも、ニューキーツでは。
長官レイチェルが治めるこの街では。
ただその数も、極端に減った。
幾千人かは、アンドロ達の次元、すなわちベータディメンジョンに残っているだろうが、もはや行き来はできない。
「タァーレルかあ」
タァーレルなら。
アンドロらしく、真面目で誠実な振る舞い。
キャンティと。
と言いかけてやめた。
そんな憶測を口にしたところで意味はない。
話も弾まない。
第一、本人たちに失礼。




