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12 三個かあ
いつの時代の人々が遺してくれたのか知らないが、痒いところにも手が届く品揃え。
今、ユーペリオンで暮らす一万五千人が、これに頼って暮らしている。
イペも懐かしいのか、棚に所狭しと積まれた化粧道具に目を細めた。
「昔は豊かだったんだね」
避難生活のために、というには贅沢すぎる物資も数多い。
身の回りの品もそうだが、産業用に使う資材も備蓄され、その種類は千差万別。
さすがに貴金属の類はないが、最低限の生活に必要な食糧、飲料はじめ、衣類、日用品や事務用品、各種工具なども様々に取り揃えられている。
ちょっとしたおしゃれ用品や装身具、スポーツ用品やボードゲームなどの遊び道具まであった。
長官であるレイチェルは、それらの持ち出しに厳しい統制を敷いている。
例えば、衣類は年に一度の誕生日に、ひとり十点までというように。
今日は、チョットマとサリ、そしてイペの誕生日。
「さあ、そろそろ選びましょう」
イペが、いつまでも化粧品のコーナーを離れないチョットマの腕を引っ張った。
「今日は衣類の日。向こうよ」
「帰りにまた見に来る」
「そんなに興味ある?」
「当然じゃない」
「でも、こういうものは持ち出しできないわ。レイチェルは厳しいから。化粧品はきっと今年のクリスマスね。ひとり三個まで、って感じじゃない?」
「三個かあ」




