11 睫毛カーラー
一週間ほど前。
「タイミング、よかったね」
チョットマとイペとサリの三人は、地下避難フロア、ユーペリオンの最奥部のさらに奥、資材庫をうろついていた。
許可がなければ入れないエリア。
いくつもの巨大な洞穴には、天井から鍾乳石が無数に垂れ下がっている。
資材庫エリアの洞穴はすべて合わせると、サッカースタジアム六十個分はゆうにあるだろう。
そこに、先人たちが残してくれたざまざまな備蓄物資が大量に積み上げられてある。
いわば、超巨大なタイムカプセル。
「明日のパーティ、おしゃれしていけるね」
「だめよ、チョットマ。目先のことだけ考えちゃ」
たしなめられても、明日は待ちに待ったパーティ。
チョットマは期待で胸が膨らむのを抑えきれなかった。
何しろ、楽しみのなさすぎる避難所暮らし。着の身着のままで、暗い地底の岩の隙間をうろつくだけの毎日。
そこに舞い込んだ一通の招待状。
その書状には、イエロータドのバーで、仲良くなった人々が集う会と記されてあった。
一周年記念だという。
「本当に必要と思うものを選ぶのよ」
「分ってるって」
「分ってないわよ。なに、それ」
イペがチョットマが手に取った物を棚に戻すと、
「さあ、行くわよ」と、せかす。
それでもチョットマは、別の品物に手を伸ばす。
「これって、なにするもの?」
「睫毛カーラーね。睫毛をこうやって、カールさせるのよ」
「イペみたいに?」
イペの右瞼の上には葉っぱのような痣があって、それを素敵で長くて濃い睫毛が隠している。
「じゃ、これは?」
「お肌の油分を拭き取る紙」
「これは?」
「爪にきれいな光沢を付ける液ね」
「へえ。いろいろあるんだ」
「そうね。ここへ来ると、先人の偉大さに感服するわね」




