12 賢明な選択ね
「ええっ、それ取るの?」
衣料品のフロアを歩き回ること一時間。
「だめ?」
「それって必要?」
名残惜しく、チョットマはマリンブルーのつば付き帽子を棚に戻す。
「ここをどこだと思ってるのよ。地下二百メートル。帽子はいらないでしょ」
「ふう! 私の髪に似合うと思ったんだけどな!」
太陽を見たい。星空を見たい。
朝焼けも夕焼けも。
森の木々も、流れる雲も。
吹きすさぶ風も、降りしきる雪も。
そう思う気持ちは日増しに強くなっていくが、いかんともしがたい。
チョットマは大げさにため息をついた。
ここからいつ出ることができるのか、誰にもわからない。
だからこそ、レイチェルは物資のばら撒きはしない。
自分達には、まだほとんど何も生産することができないのだから。
「じゃ、これを」
「賢明な選択ね」
チョットマは白いフリルのついたレモン色のシャツを袋に押し込む。
イペが溜息をついた。
「さすがに気が滅入るわね。ここが寒いところじゃなかったからよかったものの。スミヨシファーム、調子はどうなのかしら」
宇宙船スミヨシはスミヨシファームと改名された。
キョー・マチボリー船長が中心となって、シップを生産基地に変えようとしている。
とりあえず、植物由来の食料品は何とか作れるようにはなり、量産体制を目指している。
しかしまだ、ハンカチ一枚、メモ用紙一枚作ることができない。
「後、三つ、どれにする?」
イペもサリも選び終わって、うろちょろするばかりのチョットマについてくる。
「じゃ、これ」
「いいわね。靴下三足セット」
「それからこっちも」
「その調子。おっ、かわいいね、それ。ブラペアショーツ二組セット」




