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104/564

104 巨体が小刻みに震えている

 その理由はすぐに分かった。


 ボニボニが取り調べ室から出てきた。

 スジーウォン隊が去ったことを確かめて、改めてイコマに礼を言った。


 警察署に居残っているのは、イコマとチョットマ、そしてコリネルスだけだった。

 それ以外は、用水路のお地蔵様作戦に展開している。

 ユウやンドペキ、スゥやスジーウォンもそれぞれの役割に、あるいは仕事に散っていった。



「チョットマ、来てくれないか」


 ボニボニに、警察署の奥、ひとつの部屋の前に案内された。

 覗き窓から見ると、中にスミソがいる。

 そして捕えられた女。


「警官の中に女性が一人しかいない。悪いがこいつを見張っていてくれないか」

 要するに、監視役を頼まれたわけだ。


「スミソは中身は男だが、見かけは女だから問題ないだろう」

「承知しました」


 中に入ると、スミソが振り返り、チラリと笑みを見せた。



 女は身長百五十センチほどで、かなり小さめ。

 キラキラしたドレス姿で、多くの装身具を身につけている。

 避難所に全く似つかわしくない。

 美しい顔をしているが、苦悩に歪み、時折唇を震わせて、何か言おうとするが、声にならないようだ。



「言いたいことがあるなら、今のうちに言っておけ。街の裁判官を立ち会わせる」


 ボニボニが声をかけるが、かすかに顔を上げては唸り声を上げ、縛り付けられた椅子から立ち上がろうともがく。


「あそこは立ち入り禁止だ。それを知らなかったとは言わせないぞ。それにお前、身に着けているそれは何だ。レイチェルから貰ったわけじゃあるまい」



 女は口をバクバクさせているが、相変わらず出てくるのは唸り声だけ。

 ボニボニはおろか、誰に対しても目を合わせようとしない。


 首元に小さな切り傷が見えた。とうに乾いていて、血の流れた跡が黒い線を描いていた。


「俺は紳士的に取り調べをしたい。しかし無言を貫かれても、困るんだ。え、どうなんだ。話す気はないのか」


 ボニボニの巨体が小刻みに震えている。


「もう一度聞く。名を何という」

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