104 巨体が小刻みに震えている
その理由はすぐに分かった。
ボニボニが取り調べ室から出てきた。
スジーウォン隊が去ったことを確かめて、改めてイコマに礼を言った。
警察署に居残っているのは、イコマとチョットマ、そしてコリネルスだけだった。
それ以外は、用水路のお地蔵様作戦に展開している。
ユウやンドペキ、スゥやスジーウォンもそれぞれの役割に、あるいは仕事に散っていった。
「チョットマ、来てくれないか」
ボニボニに、警察署の奥、ひとつの部屋の前に案内された。
覗き窓から見ると、中にスミソがいる。
そして捕えられた女。
「警官の中に女性が一人しかいない。悪いがこいつを見張っていてくれないか」
要するに、監視役を頼まれたわけだ。
「スミソは中身は男だが、見かけは女だから問題ないだろう」
「承知しました」
中に入ると、スミソが振り返り、チラリと笑みを見せた。
女は身長百五十センチほどで、かなり小さめ。
キラキラしたドレス姿で、多くの装身具を身につけている。
避難所に全く似つかわしくない。
美しい顔をしているが、苦悩に歪み、時折唇を震わせて、何か言おうとするが、声にならないようだ。
「言いたいことがあるなら、今のうちに言っておけ。街の裁判官を立ち会わせる」
ボニボニが声をかけるが、かすかに顔を上げては唸り声を上げ、縛り付けられた椅子から立ち上がろうともがく。
「あそこは立ち入り禁止だ。それを知らなかったとは言わせないぞ。それにお前、身に着けているそれは何だ。レイチェルから貰ったわけじゃあるまい」
女は口をバクバクさせているが、相変わらず出てくるのは唸り声だけ。
ボニボニはおろか、誰に対しても目を合わせようとしない。
首元に小さな切り傷が見えた。とうに乾いていて、血の流れた跡が黒い線を描いていた。
「俺は紳士的に取り調べをしたい。しかし無言を貫かれても、困るんだ。え、どうなんだ。話す気はないのか」
ボニボニの巨体が小刻みに震えている。
「もう一度聞く。名を何という」




