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逆ハーエンドの理由

私の名前はエイリア・シュルト・ルヴェール。

異世界ソフェルブランに転生してきた元女子高生である。


前世ではこの世界ソフェルブランを舞台にした乙女ゲームがあった。

タイトルは【イオリアーネの導き~学院は出会の一歩~】というセンスもクソもないものだった。


この事実に気付いたのは5歳の時。

私のことを溺愛してくれている父親が玩具として与えてくれた奴隷、シスが切っ掛けだった。

シスはイオリアーネ(ゲーム)で主人公のサポートをしてくれるお助けキャラで、通称攻略出来ないバグ。

私も前世では歯がゆい思いをしたものだ。


しかし攻略できない理由は割とすぐにわかった。

この時初めて私は異世界に来てしまったのだと実感したのだと思う。

シスは男の象徴が無かった。

去勢されていたのだ。


気づいたのはお風呂の時。

当たり前のように私の前で脱ぎ、私の世話をしようとしたシスの裸を見て知ったのだ。

彼は奴隷である意味を。


奴隷という存在に人権はないことをあれほどはっきりと感じたのは初めてだった。

もしかしてシスを攻略できるかもなんて浮かれた考えはすぐに無くなった。

シスの身体は前の持ち主によるものか、傷が沢山あった。

10歳程の子供の筈なのに余りに痛々しい傷跡に自分の愚かさを呪った。


乙女ゲーの世界とはいえ、ここは本当の世界なのだ。

乙女ゲーでは見せなかった汚い所があるのは解っていたつもりだったのに、到底理解していなかったのだ。


せめて男で、王太子のように力のある身分であったなら何とかすることが出来ただろう。

しかし私は女で、そこそこの地位しかなかった。


英語みたいであまり好きじゃなかった文字の勉強もしっかりするようになった。

シスと一緒じゃなきゃやだと泣いてごねたらシスも一緒に勉強することができた。

この世界がもしイオリアーネのままな部分があるならば、私は女でありながら大きなチャンスが来るかもしれない、そう思って勉強に励んだ。


そして、願いは叶った。


この国唯一のまともな学校である王学院への入学。


私はここで、必ず逆ハーエンドを掴み取ることを誓った。



逆ハーエンドとは何か。

イオリアーネでは攻略対象が5人居るのだがその5人全員と仲良くなるスーパービッチルートの事である。

5股をかけるというとんでもない悪女っぷりだが表面的には王太子と結婚して、他の攻略対象とは清い関係(ただし相手はこちらに恋愛感情を持っている)なので物理的なビッチではないとフォローしておく。


てはなぜ逆ハーエンドを狙うかという問題だが簡単、最も権力が得られるのがそのルートだからである。

攻略対象は王太子を初めとして、宰相の息子、軍務大臣の息子、王宮魔術顧問、隣国の次期王というそうそうたる顔ぶれである。

彼らは逆ハーエンドでは主人公の願いを何でも叶えてくれるのだ。


私は女であり血筋が無い。

しかし、王妃となればほぼ王と同等の権利が手にはいるのだ。

攻略対象には悪いと思う。しかし、私は決めたのだ。


この国の乙女ゲームという箱庭に合わせて歪められたら秩序を一度崩壊させると。


そのためならどんな悪女にでもなってやろう。


これこそが、私が逆ハーエンドを選んだ理由である。

本当は世紀末覇者みたいな主人公にするつもりだったけど失敗。

「私が王(法)になる!」みたいな血の気の多い主人公にしたかった。

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