1945年8月5日 樺太防衛戦 その4 暴走するバギー
この作品はフィクションです、実在の人物や団体などとは関係ありません
1945年8月5日、午後2時35分。樺太庁名好郡・内恵道路沿いの森林。
エゾマツの茂みに包まれた薄暗い木陰で、浩平のアバターはしゃがみ込み、ちひろの泥だらけの顔を真っ直ぐに見据えた。
ちひろの腕の中では、先ほど救い出された幼子が、恐怖のあまりしゃくり上げながらも、ちひろの温もりにしがみついていた。
遠く、間宮海峡の洋上から、低く濁った無数の重低音が断続的に風に乗って届いてくる。
空の化け物は、先ほど手動で粉砕した一機だけではない。
「ちひろ、よく聞いてくれ」
浩平の声は低く、しかし有無を言わせぬ切迫感を帯びていた。
「この空を飛んでいるソ連の飛行機は、あの一機だけじゃない。西海岸沿いの町――名好や恵須取へ向けて、何機もの攻撃機や戦闘機が向かっている。あいつらは、逃げ惑う一般の避難民や町の人たちを、機銃で無差別に狙い撃ちにしているんだ」
ちひろは息を呑み、小さな唇を震わせた。
「そんな……! 町の人たちまで……!?」
「ああ。だから、私は今すぐ他のソ連機をすべて叩き落とさなきゃならない。だが……この名好や恵須取の一帯は、まだ私の防空システムが届かない『空白地帯』なんだ」
浩平は立ち上がり、森の奥に控える佐久間軍曹と、震える避難民たちを見回した。
「ちひろ。君の安全が最優先だ。君を危険なままで市街地へ連れて行くわけにはいかない。……だから、私が今から一人で名好町へ突入する」
「えっ……!? 監視者様が、お一人で……!?」
「そうだ。私の指示が出るまで、君も、佐久間軍曹も、ここにいる人たちも、絶対にこの森から出ては駄目だ。身を低くして、息を潜めて待っていてほしい。いいな?」
ちひろは不安そうに眉を八の字にしたが、浩平の黒縁眼鏡の奥にある決死の光を見て、強く頷いた。
「はい……! 約束します! 監視者様も……どうか、どうかご無事で……!」
「大丈夫だ。私のこの体は……触覚はあっても、痛覚もなく死にはしないからな」
浩平は苦笑いを残し、即座にHMDをシースルーモードに変えて自室のPCモニターへと立ち戻った。
◇◇◇
同時刻。現代・2027年8月5日。浩平の自室。
HMDのシースルー越しに、浩平は激しくマウスを動かしてマップの座標を計測した。
現在地は、北の西柵丹村から南へ約15キロ地点。
目指す名好町の中心市街地までは、およそ12キロメートル。
(12キロ……! 徒歩なら二時間以上かかる! 今この瞬間にも、ソ連の戦闘機が名好の市街地や避難民の列に23ミリ機関砲を撃ち込んでるんだ。一分一秒を争うって時に、歩いてなんて行けるか!)
本来ならば、ちひろを乗せた軍用車で走れば三十分ほどで辿り着く。しかし、ちひろを危険に晒すことは絶対にできない。
かといって、FPVカメラによる移動や遠隔操作は「未踏エリアの不可視の壁」に弾かれて前進できない。
だが――以前、造兵廠で検証した通り、「浩平自身のアバター」であれば、未解放エリアであっても物理的に足を踏み入れることが可能なのだ。
問題は、移動手段であった。
ゲーム内ショップには厳格なフィルターが存在する。
『一般公道走行用の車両(自家用車、オートバイ、軽トラ等)』は、ナンバープレート登録や所有権情報の齟齬から、ショップで購入することができない。
しかし――広島の避難で使った空港用ランプバスのように、「公道を走らない前提の産業用・特殊用途車両」であれば、購入可能なのだ。
浩平の頭の回路が閃光のように繋がった。
「産業用……不整地運搬……そうだ、全地形対応車(ATV/四輪バギー)だッ!!」
浩平はショップ内の『産業・特殊用途用運搬車両、器具』カテゴリーを開き、検索窓に打ち込み、かねてよりカタログスペックを眺めていた一台のモンスターマシンを呼び出した。
【購入】
カワサキ BRUTE FORCE 750 4x4i EPS(北米仕様・産業用不整地ビークル)
価格: 1,630,000ゼニ
エンジン: 749cc V型2気筒 ガソリンエンジン
タンク容量: 19.0リットル
【インベントリ給油実行】
レギュラーガソリン 19.0L (150ゼニ × 19 = 2,850ゼニ)
ステータス: 満タン・即時始動可能
「購入完了! よし、バギーならバイク感覚で泥道だろうが時速100キロで突っ切れる!」
だが、次の瞬間、浩平は自室で頭を抱えた。
「しまっ……! 操作デバイスがないッ!!」
バギーはゲームの世界(樺太)に出現する。しかし、現実の六畳間の浩平の部屋には、VRのコントローラー二本しかないのだ。
両手で宙を掴んでエアー運転するなど、時速100キロの悪路では一瞬でコースアウトして転落死するのがオチであった。手元に確かな「ハンドルの反力」と「アクセルレバー」が必要だった。
「クソッ、あれを使うしかない!」
浩平は頭からHMDを引っぺがすと、靴下のままリビングへ駆け出した。
リビングの片隅に鎮座していたのは、浩平が趣味で購入した本格派のマウンテンバイク(MTB)と、室内トレーニング用の固定ローラー台であった。
「うおおおおおっ!!」
38歳のデスクワーク系エンジニアとは思えない火事場の馬鹿力で、総重量二十数キロの金属フレームとローラー台を抱え上げ、自室へ引きずり込む。床にドンッと設置し、サドルに飛び乗って再びHMDを被った。
現実のMTBのフラットバーハンドルを両手で力任せに握りしめる。
ゲーム内のバギーの操作系は、右手の親指で押し込む「サムスロットル(レバー式アクセル)」。それは、現実のMTBの右ハンドルにある「リア変速機の押し込みレバー」の位置と、奇跡的に一致していた。
「トラッカー同期……完了! エンジン始動ッ!」
ブルルルルルッ! ドルンッ、ドロロロロロロロロロロロロ……ッッ!!
内恵道路の森の木陰に、750ccのVツインエンジンの獰猛な排気音が爆裂した。
◇◇◇
内恵道路を暴走
◇◇◇
午後2時40分。樺太・内恵道路。
「ひっ……!? な、何だあの乗り物は!?」
森の中から飛び出してきた異形の鉄馬に、木陰に隠れていた佐久間軍曹が腰を抜かした。
キャビンも屋根もない、漆黒とライムグリーンの極太パイプフレーム。人間の胴体ほどもある巨大なブロックパターンのバルーンタイヤを四輪に履かせた、昭和二十年の人間には到底理解不能な近未来の車両。
その上に跨っているのは、深緑の将官服の前をはだけさせ、眼鏡の奥で血走った目を剥き出しにした浩平であった。
急造のゆえ、ヘルメットなど被っている暇はなかった。
「佐久間軍曹、ちひろを頼むぞッ!!」
浩平は右親指でレバーを全力で押し込んだ。
バババババババババッッ!!!!
泥炭の湿った砂利を四輪で豪快に掻き毟り、バギーはロケットのように急発進した。
ゼロ発進からわずか数秒で、スピードメーターの針が時速80キロ、90キロを突破し、時速100キロの大台へと張り付く。
「うおおおおおおおおっ!!」
強烈な突風でVRの視野が引き裂いていく。
現実の浩平は風を感じなくでも、アバターのボサボサの黒髪が激しく逆立ち、何とか高速行進の中で視野を保ち、眼鏡が吹き飛ばされないように耐える。
現実世界の部屋で、浩平はMTBのハンドルを握りしめ、固定ローラー台の上で激しく前傾姿勢を取っていた。ゲーム内の路面ギャップに合わせてサドルから腰を浮かせ、膝でサスペンションのように衝撃をいなす。
ハンドルから振動が伝わらなくでも、レーシングゲームを慣れている浩平にとってはさほど問題になっていない。
◇◇◇
道路上の避難民の大半は、先ほどのソ連機の掃射を恐れて森の中へ退避していた。
しかし、数キロ疾走したカーブの先で、道路脇の泥だらけの草むらに、足を撃ち抜かれて呻いている初老の男性と、その手を握りしめて泣き叫ぶ家族の姿が視界をよぎった。
(……っ!? 負傷者……!)
反射的にブレーキレバーに指がかかりかけた。
インベントリを開けば、包帯も、消毒薬も、痛み止めのロキソニンもいくらでもある。止まって手当てをしてやりたいという本能的な叫びが、浩平の胸を締め付けた。
だが――。
(ダメだ……! 止まっちゃいけない! 今ここで止まって一人を介抱している間に、名好の町で何十人、何百人の命が機銃で薙ぎ払われるんだ! 優先すべきは、町全体の対空防衛対策だッ!!)
「すまない……っ!!」
浩平は奥歯が砕けんばかりに噛みしめ、血を流す避難民を一瞥したまま、容赦なくスロットルを全開に保ち続けた。
理系エンジニアとしての冷徹な「コスト評価」と「局所的最適解」。その残酷な正しさが、浩平の胸を鉛のように重く苛む。
上空から、再びキィィィンと甲高いジェット音に似た過給器の唸りが響いてきた。
旋回してきたソ連の戦闘機が、内恵道路を時速100キロで爆走する謎の四輪車両を発見したのか、高度を下げて機首をこちらへ向けてくる気配があった。
「撃てるもんなら撃ってみろよッ! こっちはただのポリゴンなんだよ!!死んだら100万ゼニを払って※復活するだけさ!」
※補足:浩平のアバターはゲーム内ショップで100万円で売っている、最大保有数は1体に限られるか、壊れた場合の再度購入は可能
浩平は空を一瞥すらしなかった。
生身の人間なら恐怖で足が竦む局面。だが、浩平にとってこの肉体は、自室のPCと繋がった「遠隔端末」に過ぎない。吹き飛ばされようが頭を撃ち抜かれようが、死ぬのはゲーム内のデータだけだ。
恐れるものなど何一つない。浩平は泥飛沫を全身に浴びながら、前方のカーブをカウンターステアを当ててドリフト気味に駆け抜けた。
疾走すること、約十分。
視界の先、針葉樹林の切れ目から、オホーツクの海と、製紙工場の高い煙突、そして密集する日本家屋の瓦屋根が飛び込んできた。
西海岸の炭鉱とパルプの街――名好町の市街地の境界であった。
「頼む……! 頼むから反応してくれッ!!」
浩平は叫びながら、バギーごと町境の標識を突破し、市街地の砂利道へと滑り込んだ。
その刹那。
ピロリロリロリロリンッ――!!!!
浩平の網膜の真ん中に、これまでで最も眩いエメラルドグリーンのシステムダイアログが、大音響とともに弾け飛んだ。
【新エリア解放通知】
アバター(浩平)の直接進入・座標確認に伴い、
以下のエリアが探索・介入可能領域として新たに解放されました。
・樺太『名好郡名好町』広域(市街地・港湾・山林全域)
「来たあああああああああっっ!!!!」
ハンドルから右手を離し、浩平は空へ向けて拳を突き上げた。
賭けは勝ったのだ。システムの穴を突き、生身のアバターによる強行突破が、前線を一気に十数キロ南へと押し広げた瞬間であった。
◇◇◇
粉砕された魔の手
◇◇◇
「絶対防空スクリプト、エリア指定『名好町全域』――即時実行ッッ!!」
浩平がエンターキーをたたき、ゲーム内コンソールで待機していたPython迎撃コードスクリプトを走らせた。
同時刻。名好町市街地上空・高度千五百メートル。
名好の街は、地獄の業火に包まれようとしていた。
街の上空を獰猛に旋回していたのは、ソ連空軍第9空軍所属のYak-9戦闘機二機と、低空から製紙工場へロケット弾を撃ち込もうとしていたIl-2対地攻撃機一機の計三機。
さらに、沖合の洋上から市街地へ向けて侵入しようとしていた護衛のYak-9が三機――先ほど内恵道路で浩平の手動氷塊によって粉砕された一機を除き、計五機の敵機が、逃げ惑う市民の頭上を我が物顔で旋回していた。
「ハハハ! 逃げ惑うジャップどもを見ろ! ネズミのように右往左往しているぞ!」
Yak-9の編隊長が、無線越しに下卑た笑い声を上げた。
「古屯の連中は何を怯えていたんだ? 秘密兵器などどこにもないではないか! 機銃掃射で街の目抜き通りを掃除してやる、全機、突撃――」
その言葉が、パイロットの喉から発せられた最後の音声となった。
名好町全域の空が、一瞬だけ氷点下の青白い光に包まれた。
ドバァッッッ!!!!
編隊長のYak-9の真下わずか十メートルの虚空。
突如として出現した五百リットルの巨大な直方体の氷塊が、第一宇宙速度をも超える秒速八千五百メートル(マッハ25)の超高速ベクトルをもって、垂直に機体を突き抜けた。
衝撃波が音速を置き去りにした。
全幅十メートルの戦闘機は、火災を起こす間すらなく、まるで巨大な油圧プレス機に叩きつけられた卵殻のように、数万個の欠片へ分解・爆散した。
「な……ッ!?」
右翼を飛んでいた僚機のパイロットが、目を剥いて操縦桿を引き絞ろうとした。
だが、遅すぎた。
ドパァッ! カァァァンッ!! ドバババッッ!!
名好の空の四箇所で、ほぼ同時に、目に見えない神の鉄槌が炸裂した。
低空を飛んでいたIl-2の重装甲も、洋上から滑空してきた二機のYak-9も、すべてが北緯五十度の爆撃機たちと寸分違わぬ末路を辿り、空中で紙吹雪となって飛散した。
黒煙すら立ち上らない。
ただ、真夏の強烈な日差しを浴びて、空からキラキラと虹色に光る無数の氷の粉末と、細かく砕け散った銀色の金属片の雨が、名好の青空から降り注いできただけであった。
地上で頭を抱えてうずくまっていた名好町の警察官や住民たちが、恐る恐る顔を上げた。
「……え……?」
「い、今……何が起きたんだ……?」
つい数秒前まで、頭上で耳を聾する爆音を響かせ、死の恐怖を撒き散らしていた四機のソ連軍機が、跡形もなく、雲散霧消していたのだ。
「消えた……? 敵の飛行機が、木っ端微塵に砕け散ったぞ……!?」
「神風だ……! 天罰が下ったんだッ!!」
歓声とも悲鳴ともつかないどよめきが、名好の街を津波のように駆け抜けていった。
◇◇◇
街外れの空き地にバギーを滑り込ませ、エンジンを切った浩平は、シートの上で深く、長い息を吐き出した。
全身の筋肉が激しく軋み、冷や汗が軍服の背中をぐっしょりと濡らしていた。
モニター越しに確認した迎撃ログには、完璧な戦果が刻まれていた。
【名好町広域・防空迎撃ログ】
撃墜数:Yak-9×3、Il-2×1(名好町領空内侵入機 全目標消滅)
【1945-08-05 14:33:18 : KILL 攻撃機 at [49°36'15"N, 142°11'08"E] | pilots=Mikhailov.I | altitude=450m】
【1945-08-05 14:50:42 : KILL 戦闘機 at [49°29'48"N, 142°06'22"E] | pilots=Vasiliev.B | altitude=1500m】
【1945-08-05 14:50:43 : KILL 攻撃機 at [49°30'05"N, 142°06'45"E] | pilots=Fyodorov.K | altitude=650m】
【1945-08-05 14:50:44 : KILL 戦闘機 at [49°29'41"N, 142°06'38"E] | pilots=Semenov.E | altitude=1480m】
【1945-08-05 14:50:45 : KILL 戦闘機 at [49°30'22"N, 142°04'55"E] | pilots=Tarasov.D | altitude=1850m】
浩平は空を見上げた。
澄み切ったオホーツクの青空から、冷たい風はふわりとアバターの頬に触れていった。
「……よし。これで名好は、絶対に落ちない」
1945年8月5日、午後2時55分。
浩平はハンドルに突っ伏し、荒い呼吸を整えながら、
待たせているちひろへ、そして古屯で戦況を見守る誠一郎へ向けて、勝利や安全確保の知らせを打電した
『誠一郎へ
ちひろの安全は確保されました。現在、彼女と佐久間軍曹がいる名好町周辺は
絶対防空圏に入り、上空からの空襲はもう二度と起きない。
とは言え、私の配慮不足で一時的に彼女を危険な目に遭わせてしまったことを深く謝罪する。
すまなかった。
以後、恵須取町への移動は私が安全を確保次第、彼女を移動させる。
――監視者 浩平』
『ちひろへ
現在、名好町全域の安全は確保され、上空の敵機5機はすべて無力化した。
私はこれから一足早く恵須取町へ向かう。現在時刻をもって、名好町市街地まで移動してほしい。
※道中、機銃掃射で負傷した避難民の姿が見られた。もし可能なら、手形を使って助けてやってほしい。
――監視者 浩平』
◇◇◇
同時刻。樺太・古屯主陣地。
「……ッ!!」
掩体壕の土嚢の陰で、泥だらけのタブレットを握りしめていた橘誠一郎は、画面に浮かび上がった文字を読んだ瞬間、ふっと全身の力が抜け、膝を突いた。
「橘少佐! 奥方は……!?」
傍らで固唾を呑んでいた小林与喜三連隊長が身を乗り出す。
「無事です……! 監視者浩平殿が自ら駆けつけ、ちひろを救い出してくださいました……! 名好町の敵機五機も、すべて撃破されたとのことです!」
「おお……! おお、そうかッ!!」
小林大佐が我がことのように破顔し、誠一郎の肩を力任せに叩いた。
誠一郎は軍帽の鍔に手を当て、そっと目を閉じた。
画面の向こうで「私の配慮不足だった、すまなかった」と本気で頭を下げている現代の青年の姿が、目に浮かぶようであった。
(浩平殿……。謝らねばならぬのは、妹一人を護りきれず、貴方に泥を被らせてしまったこの私の方です……。かたじけありません……!)
誠一郎の瞳から、一筋の熱い涙がこぼれ落ち、北の泥炭地に吸い込まれていった。
◇◇◇
同時刻。内恵道路・名好町北方の森林。
「……よかったぁ……!」
薄暗い森の木陰で、ちひろはタブレットを胸に強く抱きしめ、へたり込むように息を吐いた。
隣で小銃を構えていた佐久間軍曹が、目を丸くして尋ねる。
「奥様、監視者様からの通信ですか……?」
「はい! 名好町の空の敵機は、全部撃ち落としてくださったそうです! 市街地まで進んでよいと……!」
ちひろは顔を上げ、浩平からのメッセージの末尾をじっと見つめた。
『道中、負傷した避難民が見られた。助けてやってほしい』
ちひろの瞳に、迷いの色はなかった。
先ほど Il-2 の掃射を受け、血だまりの中で呻いていた二人の男性の姿が、鮮明に焼き付いている。
「佐久間軍曹さん、車を出してください! 名好へ向かいます! ……そして、途中で倒れている怪我人の方たちを、一人残らず助け起こして手当てします!」
「はっ! 直ちにお供いたします!」
軍用車のエンジンが力強く唸りを上げ、ちひろたちは慈悲の物資を抱えて再び走り出した。
【現在のクレジット残額:4,035,455,230ゼニ】
【ゲーム内で関わった人数:約671,000人 [new]沿線避難民の潜在的救助+1000人】
お待たせしました
次の話は、明日に投稿できると思います




