1945年8月5日 最果ての氷の城
この作品はフィクションです、実在の人物や団体などとは関係ありません
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北緯五十度の国境線
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現代・2027年8月5日、午前10時40分。浩平の自室。
PCモニターの横に置かれたHTC VIVE Pro 2のHMDから、ファンのかすかな排気音が漏れていた。
長時間のVR没入と相模造兵廠での極度の緊張から解放され、冷たい麦茶を一気に飲み干した浩平の視界に、眩いポップアップウィンドウが飛び込んできた。
【新エリア解放通知】
キーパーソン(橘誠一郎)の北上移動に伴い、
以下のエリアが探索・介入可能領域として新たに解放されました。
・樺太『上敷香』広域
・樺太『気屯』広域
・樺太『古屯』広域
※北緯五十度・日ソ国境線までのFPVカメラ移動、およびゲーム内スクリプトの実行が可能です。
「よっしゃあ……! 来たッ!」
浩平はキーボードの前で思わず両拳を突き上げた。
これで、長年日本軍がソ連と睨み合ってきた最前線――北緯五十度線の国境線そのものに、浩平の「手」が直接届くようになったのだ。
同時刻、1945年8月5日、午前10時40分。樺太鉄道・気屯駅。
キィィィィィッ……ガタタン!
蒸気機関車が長い制動音を響かせ、樺太東線の最北端の終着駅である気屯駅のプラットホームへと滑り込んだ。
客車のドアが開くや否や、橘誠一郎と小林与喜三連隊長はステップを飛び降りた。
構内には、すでに小林大佐の命を受けた幌付きの軍用車(くろがね四起)が、アイドリングの排気音を立てて待機していた。
「橘少佐、乗れッ! ここから先は鉄路はない! 国境の古屯主陣地まで、軍用道路を一気に飛ばすぞ!」
「ハッ!」
二人が飛び乗ると同時に、軍用車は四輪を激しく空転させ、泥炭地の悪路を砂煙混じりの泥飛沫を上げて発進した。
幌越しに見える景色は、背の低いダケカンバとハイマツが点在する荒涼たる平原。オホーツクからの冷風が容赦なく吹き抜け、遠く北の地平線には、日本防衛の最前線である古屯の掩体壕群が黒々とした影を落としていた。
その頃、西海岸の恵須取へ向かったちひろを乗せた軍用車は、未舗装の険しい山越えルート「内恵道路」の泥道を、揺られながら懸命に進んでいた。全行程で約六時間。彼女が恵須取へ到達し、西海岸全域のマップが解放されるまでには、まだ十分な時間が必要であった。
◇◇◇
一方、自室の浩平は、直前の三十分間をある「プログラムの開発」に費やしていた。
先ほど十条と相模の造兵廠から、大量の小銃、弾薬、迫撃砲、そして三十両もの中戦車を回収した。しかし、それらはあくまで「最後の防壁」に過ぎない。
「重火器や戦車を配備しても、撃ち合えば必ず人が死ぬ。日本兵だけじゃない、突撃してくるソ連の歩兵だって死ぬんだ。一番理想的なのは……そもそも物理的に進軍できない絶対の障害物を築くことだ」
空からの爆撃は、後ほど解放される迎撃スクリプトで無力化できる。
問題は、陸上を地響きを立てて押し寄せてくる赤軍の機甲師団――T-34戦車と数万の歩兵であった。
最初、浩平はゲーム内ショップから海上輸送用の「20フィート鋼鉄コンテナ」を大量購入し、国境線に長城のように積み上げる案を検討した。
しかし、中古コンテナであっても一基あたり30万ゼニ。国境の数十キロを埋め尽くせば、いくら四十億ゼニの残高があっても一瞬で破産してしまう。
帝都の空襲の「瓦礫の山」を転送してバリケードにする案も考えたが、瓦礫の中には未だ収容されていない無数の遺骨が眠っており、何よりゲームシステム上の「所有権」の判定が曖昧でエラーを吐き出すリスクが高すぎた。
「安くて、頑丈で、誰の所有物でもない障害物……」
浩平が辿り着いた究極の解答は、『氷』であった。
ゲーム内のインベントリ仕様には、奇妙な特性があった。
あらゆる容器アイテムは、インベントリ内で『注水』アイコンをクリックすれば、無料(0ゼニ)で清水を満タンにできる。
そして、アイテムの温度設定スライダーをマイナス十度に設定すれば、内部の水は瞬時に巨大な氷塊へと氷結する。
さらに、ゲームの基本機能である『包装解除』を実行すると――外装の容器だけがインベントリに回収され、中身の純粋な直方体の氷塊だけがその場に残るのだ。
もちろん、回収された容器は何度でもノーコストで再利用できる。
2Lのペットボトル容器でこの一連の操作をやると、2Lの氷が得られる
500Lのウォータータンクでは500Lの氷、これでも立派な障害物だがやや丸みを帯びた形で積み上げにくい
そして浩平は考えた
一番大きいな四角い容器で氷を量産すれば、氷の壁となり、ソ連の地上部隊を一時的に凌ぐ事ができる
その答えは、20ftコンテナの注水、製氷、包装解除、転送と積み上げという一連の操作を自動化するスクリプトだ
「20フィートコンテナ(長さ約6m、幅約2.4m、高さ約2.6m)に注水し、急速冷凍して、ガワ(鋼鉄コンテナ)だけをスポンと脱がせば……約37トンの巨大な氷のブロックがタダで手に入る……!」
浩平はまず中古の20ftコンテナを100基追加購入、これはほんのわずかな先行投資であった
【支出:中古20ftコンテナ 300,000ゼニ x 100 = 30,000,000ゼニ】
そのあと、浩平はこの一連のプロセスを自動ループさせるスクリプトを組み上げた。
「樺太の八月の平均気温は日中でも十五度前後。体積が数十万トンにもなる巨大な氷の塊なら、数日やそこらじゃ絶対に溶けきらない! たとえソ連軍が榴弾砲で撃ち込んできたって、氷が砕けてより登りにくい不規則な氷山になるだけだ!」
浩平は完成したスクリプトを抱え、解放されたばかりのマップの北端――北緯五十度線へとFPVカメラを移動させた。
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最果ての氷の城
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午前10時50分。北緯五十度線・日ソ国境地帯。
上空からのFPVカメラ視界。
画面の中央、北緯五十度のラインには、現実の地図のような赤線が引かれているわけではない。
ただ、平坦な泥炭湿原と針葉樹林の中に、南北に走る一本の軍用道路(中知床〜敷香を結ぶ大動脈)を挟み、日本側の国境警備隊の陣地と、数百メートル離れたソ連側の「ハンダサ警備要塞」のトーチカ群が、不気味な静寂を保ったまま対峙していた。
浩平がカメラを北へ進めようとすると、画面に【未解放エリア:これより先へは進入できません】という不可視の壁が立ちはだかり、前進を弾かれた。東西への水平移動だけは可能である。
「なるほど……この見えないシステムの壁こそが、国境線そのものなんだな」
境界線の直下には、民間人の姿は一切ない。
南北の陣地も、数十分後に迫る嵐の前の静けさに包まれ、兵士たちは塹壕の奥深くに身を潜めていた。
「よし……巻き込まれる人間は誰もいないな。やるぞ!」
浩平はゲーム内のコンソールを開き、スクリプトの引数を打ち込んだ。
長さ: 500メートル
奥行き(幅): 50メートル
高さ: 30メートル(およそ十階建てビルに相当)
必要氷塊(コンテナ氷): 82個 × 20個 × 11個 = 18,040個
「スクリプト実行――配置!!」
エンターキーをッターン!と叩き込んだ。
◇◇◇
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!
北緯五十度のツンドラの大地が、激震に見舞われた。
日本側の国境警備隊の第一線塹壕で、息を潜めていた歩兵小隊の兵士たちが、一斉にヘルメットを押さえて悲鳴を上げた。
「じ、地震かッ!?」
「いや、見ろ! 前方だ! 前方を見ろッ!!」
小銃を構えた兵士が、ガタガタと震える指で国境線を指差した。
そこには――この世の光景とは思えない『氷の城壁』が、一瞬にして天を衝くようにそそり立っていた。
青白く透き通る、巨大な氷の直方体。
それが整然と、圧倒的な質量をもって積み重なり、幅五十メートル、高さ三十メートル、長さ五百メートルに及ぶ透き通るエメラルドグリーンの巨大な防壁となって、軍用道路を完全に寸断していたのだ。
真夏の生温かい湿原の空気に触れた氷壁の表面から、凄まじい量の冷気と白い霧が滝のように地表へと雪崩れ落ち、一帯の気温が一瞬で氷点近くまで急降下していく。
「な……なんだあれはッ!?」
「氷……!? 氷の山だ! ソ連軍の新兵器か!? 小隊長殿、小隊長殿ーッ!!」
塹壕の中は蜂の巣をつついたような大パニックに陥った。
しかし、浩平の手は止まらなかった。
「五百メートルじゃ全然足りない! 道路を塞いだだけじゃ、戦車は平原を迂回してくる!」
東西を見渡せば、西にはなだらかな泥炭の丘陵地帯、東には幌内川の湿地帯が広がっている。ソ連の第79狙撃師団と第214戦車旅団が進軍し得る侵攻正面は、東西合わせて約30キロメートルに及んでいた。
「自動生成ループ、60回連続実行! 山の谷間にも全部叩き込め!」
浩平はスクリプトのパラメータを書き換え、東西の座標へ向けて容赦なくエンターキーを連打した。
ズドドドドドドドッ!! ズザザザザザザザッッ!!
天地を揺るがす地響きが、30キロの国境線全域に木霊した。
何十万個ものコンテナ大の氷塊が、虚空から滝のように降り注ぎ、積み重なっていく。
山沿い急斜面では最上段の氷塊がガラガラと崩落して巨大な氷の雪崩となり、戦車の登攀を阻む天然の氷の斜面を形成した。
東の幌内川には、何万トンもの氷がドロドロと川床を埋め尽くし、川そのものを強固な氷河の天然ダムへと変貌させた。
さらに、歩兵が身を隠して浸透してきそうな山あいの獣道や渓谷の隙間には、浩平が無造作に数万個のコンテナ氷塊を投げ込み、完全に物理的な封鎖を完成させた。
わずか10分足らずの間に、北緯五十度の国境線上に現出したのは――。
総延長30キロ、高さ30メートル、幅30メートル、推定総重量数千万トンに及ぶ、前代未聞の『氷の長城』であった。
◇◇◇
同時刻。北緯五十度線北側・ソ連軍ハンダサ警備要塞。
「……し、司令官……あれを……」
監視塔にいたソ連国境警備隊の兵士が、双眼鏡を取り落とし、腰を抜かして床にへたり込んだ。
要塞司令官の少佐が血相を変えて望遠鏡を覗き込んだ瞬間、その顎がガクガクと震え、パイプが口からポロリと落下した。
「……Господи……(神よ……)」
望遠鏡の視界を埋め尽くしていたのは、日本軍のトーチカでもなければ、対戦車壕でもなかった。
真夏の太陽を浴びてキラキラとプリズムのように輝き、白煙のような冷気をもくもくと噴き上げる、天を塞ぐ巨大な氷の山脈であった。
「な……何が起きたのだ!? 竜巻か!? 自然現象か!? なぜ平原に突如として氷山が出現する!?」
要塞の地下に集結し、正午の侵攻命令を待っていたソ連軍第214戦車旅団の将校たちも、外の異常事態に気付いて飛び出してきた。
彼らの自慢のT-34中戦車の主砲も、50メートルの厚さを持つ氷の断崖絶壁の前では、ただの豆鉄砲に過ぎなかった。キャタピラで登ることなど到底不可能な、完全の物理的防壁。
「し、司令部へ打電しろ! ハバロフスクの極東軍総司令部へ至急報だ!
『国境線全域において、正体不明の超巨大氷壁が出現され! 道路および平原は完全封鎖され、戦車部隊の前進は物理的に不可能! 繰り返す、戦車の前進は不可能!!』」
ソ連側の前線基地は、未だかつて人類が経験したことのない超常の悪夢を前に、完全な恐慌状態へと叩き落とされていた。
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宣戦布告
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午前11時10分。樺太・古屯主陣地。
泥を跳ね上げて疾走してきた軍用車が、第88師団歩兵第125連隊第2大隊が守備する古屯主陣地の指揮所前へと急停車した。
車から飛び降りた小林与喜三連隊長と橘誠一郎は、陣地内の異様な空気に即座に気付いた。
迎撃態勢を整えているはずの兵士たちが、誰一人として南の陣地を向いていない。全員が小銃を握りしめたまま、北の空――国境線の方向を凝視し、幽霊でも見たかのように青ざめて立ち尽くしていたのだ。
「連隊長ッ! 連隊長閣下でありますかッ!?」
土嚢の陰から、顔を泥だらけにした第2大隊長が、軍帽を吹き飛ばしながら転がるように駆け寄ってきた。
小林大佐がその胸倉を掴み上げた。
「何を狼狽えておるか! 敵の砲撃でも始まったのか!?」
「ち、違います! 砲撃ではありません!」
大隊長は狂乱したように北を指差した。
「こ、氷です! 国境線に……氷の城が出現しましたッ!!」
「……は?」
小林大佐が眉をひそめた。
「何を馬鹿なことを申すか! 暑さで頭が湧いたのか!」
「本当なのです! 見てください、あの北の空を! 突如として轟音が鳴り響いたかと思うと、天を塞ぐほどの氷の山が……国境線30キロにわたって連なり、道路も川もすべて塞いでしまったのであります!!」
小林大佐は半信半疑のまま、指揮所の望楼へと駆け上がり、双眼鏡を目に当てた。
そして――息が止まった。
レンズの向こう、陽炎が揺らめくツンドラの地平線に、白銀とエメラルドグリーンに輝く長大な氷の壁が、神々の城壁のように横たわっていた。吹き寄せてくる風は、真夏とは思えないほど冷涼で、肌を刺すような冷気を含んでいた。
「ば……馬鹿な……。あ、あれが……氷だと……?」
小林大佐の手から力が抜け、双眼鏡が胸元へぶら下がった。
大佐はゆっくりと振り返り、階段の下で静かに佇む橘誠一郎を見下ろした。
今朝、敷香の倉庫で、虚空から数十万発の弾薬と数百挺の小銃を取り出してみせた青年将校。
誠一郎は、驚く様子もなく、ただ静かに北の氷壁を見据えていた。
「橘少佐……。ま、まさか……これも、あの監視者殿の……?」
誠一郎は軍帽に手を当て、力強く頷いた。
「ええ。監視者浩平殿が、帝国の兵士を一人も死なせないために……そして赤軍の侵略を無血で阻むために築いてくださった、『絶対の防壁』にございます」
小林大佐は膝の震えを止めることができなかった。
神だ。やはり、あの監視者とやらは、生身の人間などではなく、天から遣わされた神に違いない。叩き上げの歴戦の将の心から、軍人としての傲慢は完全に削ぎ落とされ、ただただ純粋な畏敬の念だけが胸を満たしていた。
だが、その奇蹟の余韻に浸る暇すら、歴史は与えてくれなかった。
ジリリリリリリリリリリッッ!!!!
指揮所の奥で、通信機が一斉にけたたましい警報音を鳴り響かせた。
暗号兵がヘッドホンを投げ捨て、血相を変えて叫んだ。
「通信傍受! モスクワ放送およびハバロフスク極東軍無線局より、緊急公電を傍受いたしました!」
小林大佐と誠一郎が通信室へと飛び込む。
「内容は!?」
暗号兵は震える手で受信紙を掲げ、悲鳴のような声を絞り出した。
「ソビエト連邦外務人民委員部より、大日本帝国政府へ通告……!
『ソビエト連邦は、本日八月五日をもって日ソ中立条約を破棄し、大日本帝国に対し、正式に宣戦を布告する』……!
ソ連が……宣戦布告いたしましたッ!!」
室内の空気が一瞬で凍りついた。
史実の八月八日深夜を3日も前倒し、日本のポツダム宣言受諾の電報を察知したスターリンが放った、火事場泥棒の電撃戦通告。
正午の玉音放送まで、あと――五十分。
国境線を阻む氷の長城を前に、激昂するソ連赤軍と、天の監視者・浩平による、歴史の因果を懸けた北辺の死闘が、いま幕を開けようとしていた。
【現在のクレジット残額:4,137,648,080ゼニ】
【ゲーム内で関わった人数:約670,000人 + 樺太介入 約35,000人】(総計:約705,000人)
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合算人数の詳細内訳(計35,000人)
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一、日本軍将兵(第88師団・国境守備隊):計22,300人
・古屯要塞・国境線での戦死回避:約1,500人
・直接戦闘による戦傷回避:約2,500人
・シベリア強制抑留および極寒労働被害の完全回避:約18,300人
(※本来なら武装解除されソ連領へ連行、うち約2,000名が抑留中に衰弱死するはずだった将兵全員の人生を改変)
二、日本側民間人(南樺太住民・避難民):計8,050人
・地上戦巻き添え・避難行での衰弱死・集団自決の防止:約2,000人
・三船殉難事件(留萌沖での疎開船雷撃・砲撃)沈没死の回避:約1,700人
・市街地砲撃・空襲等による重軽傷被害の回避:約3,000人
・終戦後の警察官・行政職員・民間指導層に対するソ連側強制連行・抑留の回避:約1,350人
三、ソ連赤軍 地上部隊(第79狙撃師団・第214戦車旅団等):計4,500人
・氷壁による進軍不能に伴う、要塞突撃での戦死回避:約1,200人
・トーチカからの十字砲火・地雷による負傷回避:約3,300人
(※敵兵であっても、無謀な肉弾攻撃による流血そのものを物理的に未然消滅)
四、ソ連軍 航空部隊(北方航空隊):計150人
・浩平の防空スクリプト(高速射出氷塊)による被撃墜・戦死・脱出不時着パイロット:約150人
(※爆撃機・攻撃機・護衛戦闘機数十機の搭乗員)
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合算総計:35,000人
(内訳計算:22,300 + 8,050 + 4,500 + 150 = 35,000人)
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お待たせいたしました!
今回は少し短めのお話となりますが、本来は前のエピソードと合わせて一本にする予定だったものを、展開の区切りの都合で分割いたしました。ご了承いただけますと幸いです。
この世界における1945年8月5日は、ある意味で「最大の山場」と目されていた8月6日(広島原爆投下予定日)以上に、息もつかせぬ熾烈な戦いが繰り広げられる一日となります。
ポツダム宣言受諾の打電から、帝都での兵器回収、浩平のアバター降臨、樺太マップの解放、そして国境線に突如出現した「氷の城」――そこへ突きつけられた、ソビエト連邦による電撃的な宣戦布告。
実は、この「樺太」という舞台に踏み込んで以来、私自身「この作品において、ソ連という存在をどう描くべきか」をずっと悩み続けてきました。
読者の皆様からの反応を見ても、赤軍に対する印象は決して良いものではありませんし、近年のロシアによるウクライナ侵攻に対しても、私個人として強い憤りと嫌悪感を抱かずにはいられません。
冷酷、残虐、あるいは「蛮族」といったイメージや、戦後の引き揚げ体験などで語られる「時計すら読めない兵士が手首ごと奪い去っていった」といった過酷な証言など、読者の皆様からも様々なご意見をいただきました。
私個人の受けた印象を率直に申し上げるなら、当時のソ連軍・ロシア軍の構造とは、
『狡猾に立ち回る聡明な権力者と、自他の命をあまりにも粗末に扱う一般兵士』
という歪んだ構図に見えて仕方がありません(もちろん、一個人の知識から来る偏見が含まれていることは否めませんが)。
第二次世界大戦におけるアメリカには、彼らなりに信じ込んだ「大義」があり、兵士たちもそれを背負って戦っていました。その背後に国家の覇権や利権、政治的野心が渦巻いていたとしても、少なくとも前線の一兵卒が泥を啜る理由にはなっていました。
しかし、あの瞬間に火事場泥棒のように雪崩れ込んできたソ連に、一体どのような「大義」があったというのでしょうか。南樺太が彼らの固有領土だったのか? 北海道やアイヌをはじめとする先住民族が、ソ連の一部だったのか?
弱肉強食が世界の掟だったこの時代、侵略や植民地支配が世界中に満ちていたことは事実です。当時の大日本帝国が大きな過ちを犯したこともまた、紛れもない事実です。日本はすべての外地領土を失い、政治と軍隊を根本から解体・改革するという重い代償を払って、反省の時代へと入っていくべきでした。
「かつて侵略を行った日本が、いざ攻め込まれたからといって、被害者の顔をしていいのか?」
これは、私自身が執筆しながら何度も自らに突きつけてきた、非常に重い問いです。
そして、現時点で私が辿り着いた答えは、
「過ちを犯した者には相応の責任を負わせ、その上で、新しい世界においては『公平と信義』を貫くべきだ」
というものでした。
過去に侵略した地域や戦争の被害者に対しては責任を果たす。しかし同時に、講和の隙を突いて理不尽に自国の領土と同胞を蹂躙しにきたソ連に対しては、人々の命と生活を守るために毅然として自衛の戦いを挑む――。
この二つは決して矛盾するものではなく、どちらも人間として譲ってはならない筋道だと信じています。
これこそが、この物語を通じて私が描きたい「答え」です。
北の果てで始まった運命の防衛戦、そして目前に迫る8月6日の行方を、どうか最後まで見届けていただければ幸いです!




