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無彩の経路

「人間が使える魔法は赤、緑、青属性の三つ」


「理論上、魔力色にその三つ全ての成分を一切含まない000000…無彩魔力の持ち主は、魔力を魔法に変換することも、魔力を体外に排出することもできない」


「…まあ、それはお医者さんにも聞いたけど…」


「にも関わらずお前は健康に生きている」


「それが謎なんだよな…」


「そう、お前は謎だ」


「では何故生きているのか…」


「そもそも、人間は何故魔法が使えると思う?」


「…魔力があるから?」


「それは…体内の魔力を処理する代謝経路(メタボリック・パスウェイ)の存在だ」


「めた…なんだって…?」


「あ、それってもしかして身体の中の通路のことか?」


「…誰に教わったのかは知らないが、その捉え方で構わない」


ありがとうベック…!お陰で理解できた…!


「って何さらっと講義始めてんだ!!俺もう帰るからな?!」


「いいのか?」


「自分の身体のこと、知っておかなくて」


「えっ…」


確かに、俺は今まで自分の身体は他の人とは違うというのに、何も知らずに生きてきた。


それに…さっき言ってた「魔術」っていうのも気になる。


もしかしたら…強くなれる手がかりを探せるかも知れない。


俺は、黙って床に腰を下ろした。



「よし」


「赤、緑、青…それぞれの成分を含む魔力を処理するパスウェイを通した結果、それぞれの属性の魔法が使える」


「それぞれの色の成分が足りない、低彩度の魔力はパスウェイを通りづらく、魔力の消費速度が回復速度に追い付けず、魔力過剰になる。これが低適性症だ」


「…俺もそうだとしたら、生きてるはずがない…」


「そう、つまりお前は何らかの手段で魔力を体外に排出しているということだ」


?!


「考えられるのは…第4の、無彩魔力だけを処理するパスウェイの存在」


「黒属性魔法があるってことか!!!」


「違う!」


バターン~


「黒というのも少し気に入らない。正しくは無彩、あるいは純黒だ」


「…じゃあ、その純黒色魔力をどうやって…」


「違う」


「えっ?」


「純黒は色じゃない。色がないんだ」


「…」


「三原色のどれも一切含まない魔力…だから興味深いんだ」


「…そこ拘るんだな」


「…学者なもんでな」


「こほん…とにかく、お前はそのパスウェイを通して魔力を体外に排出している」


「…じゃあ魔法じゃないのか?」


「違う、魔法じゃない」


「純黒パスウェイは…他のパスウェイほど進化してないからな。魔力を魔法に変換することはできない」


「ほとんど使われてなくて、完全に退化もしてない、尾骨みたいなもんだと思えばいい」


「…なんか格好悪いな」


「…でも待てよ、ほとんど使われてないならなんでそんなのがあるんだ?」


「意外といい質問してくるんだな。ポイント高いぞ」


「なんだよ、ポイントって…」


「その答えは…正確には知らない。恐らく古代の人類は純黒魔力も使っていたんだろう」


「…」


「進化も退化も、種の生存が安定した時点で止まるからな…つまり、お前は古代の人類の魔力の扱い方をそのまま使えるってことだ」


「うん…ますます格好悪いな?!」


「まあ…年頃の男の子ならそういうことも気にするか~」


「あっ、」


「もう俺格好悪いでいいわ…」


「恥ずかしがることないのにな」


「で、本題はここからだ」


「有彩魔力を処理するパスウェイは魔法に特化しているが、無彩魔力はそうじゃない」


「退化が進んでいないから、魔力を魔法に変換せず、そのまま運用することができる」


…!


「じゃあ、俺がやったのは…!」


「体内の魔力を燃やしてエネルギー源にしたんだ。魔力量の調節はできてないせいで反動は大きかったみたいだがな」


…確かにそれなら全部辻褄が合う。


この人は…これを全部一人で…?


「純黒魔力の特性を活用すれば…他にもできることはあるだろう」


…!


「魔法ではなく魔力そのものを利用する技術…私はそれを『魔術(マジカル・アーツ)』と呼んでいる」


「それが魔術…!」


「私は…純黒魔力を使った魔術を研究している」


「それで、お前に魔術の実戦データを取ってほしい」


「…実験台になれっていうのはそういうことか?」


「そう、今より戦闘で使える手が増えるんだ、冒険者のお前にとっては悪い話じゃないだろう?」


俺は…強くなりたい。ベックを助けられるくらいに。


それができるなら…やり方や戦い方なんて関係ない。


「…わかった。実験でもなんでも手伝ってやる」


「魔術を…教えてくれ」

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