繋げる意思
メレルネ孤児院のみんなへ。
ハイン兄ちゃんだ。
みんな元気かな?
俺は元気にやってるよ。
冒険者の仕事にも慣れたし……
時々大変なこともあるけど、なんとかやっていけてる。
ちょっと変わった師匠もできて、修行もさせて貰ってるんだ。
村を出る前より、よっぽど強くなったと思う。
ところで、メレルネ村に魔獣は出てないかな?
ほら、新聞に載ってた強い魔物。
昔から魔物もよく出ないから心配は減るけど、もし何かあったら……
「連絡お願い、それじゃあまた……っと」
羊皮紙って結構値段するけど……たまには手紙くらい書いた方がいいな。
俺は手紙を封筒に入れ、出かける支度をした。
「よし……今日もやるか!」
***
あれから、訓練の頻度を少し下げることになった。
というのも、スライム討伐の依頼では生活費が稼げないからだ。
訓練して、次の日は金になる依頼。また訓練と繰り返し。
受付嬢さん、尚更困惑してたな……はは。
純黒魔術の訓練……なんていってもわからないだろうし、黙っておこう。
純黒魔術を覚えてから、小型の魔物くらいなら無理なく討伐できるようになった。
群れすぎると無理だけど……コボルトも単体ならなんとかなる。
あれから、魔獣とは出くわしていない。
ハウンドの魔獣一体であの苦戦ぶりなんだ……幸いっちゃ幸いだが。
とにかく、今は魔力の遠隔操作を覚えないと……
「ハイン、もう一回行くぞ」
「ああ、わかった」
体外排出……そして散らばるなと「考える」。
止まれ!!
「準備はいいか?」
「ああ、やってくれ」
スライムの投げ方だが……少し変えることにした。
俺とエラが横に並び、エラがスライムを投げる。
こうすればスライムに当てられることはない。
当てられても痛いって訳じゃないが……いい気分じゃないからな。
エラは、俺が魔力を集めたところにスライムを投げつけた。
さあ、どうだ?!
地に落ちたスライムは、身をよじり苦しむようにしていたが、結局消えることはなく、地をはいでいった。
「……また駄目か」
「いや、集中自体はできている。あともう少しだ」
「排出した魔力の分布は既に自然状態から外れている。つまり、ある程度お前の統制下にあるということだ」
「そうか……よし、次頼む!!」
俺は既に排出した魔力を操れている……
スライムが苦しみ出したのがその証拠だ。
虫の足……
排出。
体から引き離す。
それでもまだ、少しの間繋がってる。
全部……あの一点に行け!!
「ハイン?」
「聞こえてないな」
その時、目の前にスライム一匹が飛んでいくのが見えた。
操ってる魔力が取られる感覚と共に、俺は正気に戻った。
「……エラ?俺は、今……!」
「見ろ」
スライムは、さっきよりも大きく苦しみ出し、やがて消散した。
「できたな」
「やった……!」
「魔力と何かで繋がる感じがして、一点に向かって行かせたらできたぞ……!」
「ああ、それで合ってる」
「だが、集中力を使いすぎている。調節できるよう、訓練だな」
「確かに……繋げすぎた、のかもな」
「要領はわかったんだ、あとはすぐに覚えられるだろう」
「よし……って、そういえばこれまだ基礎だったよな……」
「ああ、集中力を取られすぎずに拡散を止められたら、次は思った場所に動かす」
「まだまだ道が遠いな……」
これが覚えられたら、一人でも魔獣の相手ができる。
なんか、モチベーションが湧いてきた。
「エラ、次頼む!」




