今後の計画
『対魔王国際会議魔獣対策会合』
「各国の報告書を纏めたところ……魔獣の出現率が最も高かったのはクリフトンでございます」
「そうでございますな……特に、アイラズー地方で……」
「アイラズーですか……魔物の出現率はさほど高くなかったはずですが……」
「魔物が何らかの変異を起こし、魔獣が自然発生したのだとすれば……考え得るのは環境の違い……」
「魔物の発生に関しては未だ未解明の部分が多い分、確答は難しいでしょう」
「自然発生ではないとするなら……」
「……」
「魔物を基盤とした高度な緑属性魔法による生体兵器の作成、及びテロ行為か……」
「しかし、だとすれば一体何が狙いで……?」
「クリフトン公」
「……アイラズーには調査隊を派遣する所存でございます」
「クリフトンの次はフェリケーヌ、そしてアーデズ……」
「アーデズ……!」
「勇者の保有国では……」
「アーデズ国王、今回の事態……勇者の出動を願えるでしょうか」
「……必要になれば、そうせざるを得なくなりますな。しかし、慎重にならなければ……」
「……」
「しかし、どちらも魔物の出現率と比例しない……」
「アーデズでも、初の発見は元々中小型魔物の出現率の高いセクミンでしたが……それ以降は比例していませんな……」
「しかし……魔獣の登場で『団結』は成し遂げられている。そろそろ『あの事実』を発表してもよい頃合いでは?」
「早計はお控え願いたい。反発を買うことは間違いないでしょう」
「それに……たった今魔獣が人工物である可能性の話をしたばかりです。魔獣がいなくなれば……結局同じことの繰り返しにしかならない。むしろことが更にややこしくなることでしょう」
「それはそうと、具体的な魔獣の対策ですが……」
「まず、各地の討伐署に魔獣の特徴の教育を命じ……戦法を見出させる。更に、足りない人力については冒険者に魔獣の討伐資格を与えるという手も……」
「冒険者ですか……そういえば、セクミンのハウンドを討伐したのは二人組の冒険者パーティーでしたね」
「あれは……異例ですな。小型の魔獣とは言えども、魔獣の討伐は容易ではない。迂闊に真似せぬよう注意しなければ……」
***
「第1小隊、異常無し!」
「第2小隊、欠員一名、欠員内容負傷1!」
「第3小隊、欠員三名、欠員内容——」
「皆のもの!伝達事項がある!」
「はっ!」
「全員、今世界的に発生している魔獣については知っているな?」
「はっ!」
「魔獣は魔物に似ているが、魔物より遥かに変則的で素早い反応を見せる」
「そして……個体差はあれど赤属性や青属性の魔法を使う個体も報告されている」
「後程、小隊ごとに現在確認された魔獣に関する教育が行われる。いいな?」
「はっ!」
「セクミンのハウンドを討伐したのが二人組の冒険者パーティーとのことで気を抜いている人員もいるだろうが……実戦では油断が命取りになる」
「非専門家が討伐に成功したとは言え、魔獣は確かな脅威だ」
「魔物以上の脅威と見なして当たるよう!」
「はっ!」
「魔獣か……ちょっと不安だな」
「魔法使うってことは対人訓練とかするのかな~」
「あの鬼教官には当たりたくねぇな~」
「マジで、魔獣よりあいつの方がこえぇ……」
「危険手当増えないかな~」
「危険手当も何も死んだら元も子もないだろ」
「確かに」
「ははは」
「しかしよ……いざ魔獣が出て倒せませんでしたーってなったら俺たちが笑い者だぜ……」
「えっ」
「だってよ……言われるに決まってんだろ?冒険者だって狩ってるのに討伐官が何してんだーとか、税金返せとか……」
「俺たちが皆助けてるってのによ……よくわかりもしない奴らがよぉく言うよな~」
「そりゃ気にしすぎじゃねぇか……?」
「もう……あの冒険者って奴の顔が見てぇ~」
「いや、そいつは悪くないだろ……」
***
「次行くぞ」
「ああ」
エラは、スライムをバラバラに並べ出した。
4体……よし、行くぞ!
まずは、4体分の魔力を「引き離す」……
そして、散らばらないようにしっかり「掴む」!!
まずはあそこ。そこで曲がってあそこ……
行け!!
魔力が、統制を離れるのを感じる。
スライムに十分に「取られたら」……次に向かわせる。
1、2、3、4!
どうだ!
スライムたちは、体をよじり出しては順番に消散していった。
「よし!!やっとできた!!」
「ここまで3ヶ月……案外早かったな」
「早いのかはわからないけど……これで『移動』も成功だな!」
「そうだな」
これで二つ目の魔術も、なんとか覚えられた。
俺が冒険者を辞めるときが……近づいてきてるのかも知れない。




