思考する頭脳
「おい、新聞見たか?」
「いや、まだ見てないけど」
「なんか、強い魔物が出始めたってよ」
「げっ……上位種か?」
「いや、大きさは通常種と同じなんだけど、なんでも倒しても消えないらしい」
「なんだ……?それ……」
「なんか、魔物より強くて魔法も使うってよ……」
「嘘だろ……?!それもう天災じゃねぇか……」
「最近警備が厳しくなったのもそれのせいか……?」
「そうかもな……それと、見つけて報告するだけでも報償金が結構出るってよ」
「マジか……で、どうやって見分けるんだ?」
「知らん」
「なんだそれ」
***
「ついに発表されたか……」
「これって……この前のハウンドの話だよな」
「ああ、正式名称は魔獣に決まったらしい」
「魔獣……」
あれから、俺たちはなんとかしてハウンドの死体を持ち帰って報告したんだが……
異常状況ということで死体はギルドに引き取られ、あとから報償金が支払われた。
あんな「魔獣」が今世界中で出てるのか……
「やはりおかしい……」
「魔獣のことか?」
「ああ……発生原因が謎すぎる」
「この間お前がいってた生成力……っていうのが強くなったとか……?」
「いや……それにしては普通の魔物も前と同じくらい出ている」
「それにあの身体構造……自然発生したとは考えがたい」
「……じゃあ、もしかして人間が……?」
「その可能性もある。しかし……だとすると世界的な大組織……ともならないと無理だな」
「一体誰が何のために……」
「……とにかく、早く魔力を遠隔で操作できるようにならないとな……」
「ああ、そうだな。魔獣が魔法を使うのであれば……魔法の霧散は有効な対抗手段になる」
「それなんだけど……なんだって魔獣は魔法が使えるんだ?」
「現状でははっきりいえることはないが……」
「魔獣の体は、完全な物質で構成されている」
「完全に固まってなかったのが完全になった……って感じか」
「ああ、そうだ」
「それで……魔獣は本物の筋肉や頭脳を持っている。恐らく、魔法パスウェイも」
「でも、魔法ってパスウェイがあるからって使えるものなのか……?実際使えない人も多い……って、まさか!」
「誰かが教えた……となると説明がつくな」
……!
「魔獣の恐ろしいところは……身体能力よりもやはりその高い知能だな」
「危機への即刻的な反応と、魔法を理解し、適材適所に活用する能力……」
「それだけで、お前が一撃で倒せるハウンドでさえあんなに強くなるんだ」
確かに……今までの魔物の狩り方は、魔物の単純な反応を利用するのが多かった。
頭のいい魔獣が相手になると……やり方を一から立て直さないと……
「しかし……見た目は同じだもんな……どうやって見分ければいいんだ?」
「一つだけ思い付く方法はある」
「なんだ?それは……」
「純黒魔力への反応を確認するんだ」
「あっ、確かに……あのハウンドは全然反応しなかったな……」
「ああ、普通の魔物なら純黒魔力を取り込んで半物質の維持が阻害され、更に魔力を取り込むために凶暴になるだろうが……魔獣は完全な物質。魔力を直接取り込まない」
「なるほど……!って、それじゃあ普通の人はパッと見じゃわからないんじゃ……」
「そうだな」
「難しいな……」
この世界では……一体何が起こっているんだろう。
魔獣の対策には……ベックも取り組んでいるんだろうか。
ベックの力になるためには……
「よし、訓練頑張るか……!」




