新たなる脅威
「勇者様がお戻りだ!!」
「勇者様へ敬礼!!」
俺は、手を上げ敬礼を返した。
「気をつけっ!」
「異常はないか?」
「「ありません!!」」
彼らは、俺同様、魔力色検査で抜擢された高適性者で構成された特設部隊だ。
老若男女問わず、力のあるものが集まっている。
子供たちまで兵士になる現状……正直いい気分ではないが、世紀を重ねる度強さを増すと言う魔王に対抗するためには、仕方のないことだろう。
俺たち勇者パーティーは……魔王との決戦で最前線に立つ。
彼らに被害が及ばないよう、俺は強くならなければならない。
大昔、突如として出現した巨大魔物……
国々はそれに対抗すべく、同盟を組み、その魔物を巨大異常起源個体……略称MAOUと名付けた。
同盟の名は、「対魔王国際会議」となり、今も続いている。
魔王は……一世紀を周期に出現しているからだ。
魔王を討伐するため、国際会議が選んだ赤属性の最高適性者……それが勇者である俺だ。
俺なら聖者や賢者も勤まるだろうが……勇者になったのは勇者の人気が高いからだろう。
何せ、勇者は、魔王の一番近くで対峙する戦士なんだ。
それ故に、勇者の力を知らしめ、人々に安心をもたらす……と取り繕った力の誇示が行われている。
聖女と賢者の「保有国」も、それに負けじと聖女と賢者を送ってきた。
まあ、結果的には希望を与えられているし、二人がいれば俺としては好都合だ。
あのロックは……十分にダメージを与えられ、活動を停止したにも関わらず、結局消散しなかった。
あの死体は帝国の方で回収したが……何か突き止められたのだろうか。
もしかしたら……魔王に並ぶ人類への脅威になるかもしれない。
そんな、悪い予感がする。
***
俺は、謁見の間に入り、国王の前に跪いた。
「勇者ベック=ホワイト、ただいま帰還いたしました」
「面を上げよ」
「はっ」
「この度の魔物討伐、ご苦労だった」
「ありがたき幸せ……」
「そなたの討伐したロックについてだが……国際会議にも回付された」
……やはり。
「外見は紛れもない魔物のロックだが……解剖の結果、動物にも似た身体構造をしておった」
「あれは……半物質ではない。頭脳と筋肉を持つ……本物の動物といってよかろう」
「完全に物質化した……魔物ということでしょうか」
「その通りじゃ。発生原因は不明だが……世界的に似たような事例が報告されておる」
「我が国のセクミンでも……冒険者パーティーが討伐したハウンドが消散しなかったとの報告だ」
アーデズでも……!
「会議で定めた正式名称は、魔法的動物判定未知個体……略称MAJUUである」
魔獣……!
「全会議参加国は、魔獣の発生原因究明及び討伐のために、力を出し合うことを決意した」
「完全物質化された魔物……人造物である可能性はないでしょうか」
「……その可能性も排除できん」
「勇者ベックよ」
「はっ」
「今、人類に新たな脅威が訪れた」
「その力で……民を守らん」
「はっ、アーデズのため」
魔王を倒すだけが、勇者の使命じゃない。
人類の脅威を排除し続けなければ……人々や大切なものを守れないんだ。
あのロックは……確かに通常のロックよりも強かった。
……もっと力をつけなければ……!




