第8話 みなぎる関係
麗華と一緒に筋トレをするようになってから、ずいぶん時間が経った。
最初はダンジョンで偶然出会っただけの関係だった。それが今では、麗華が来る日を楽しみにし、彼女が来れば一緒にトレーニングをするのが当たり前になっていた。
筋トレのメニューも増えた。ダンベルプレスにブルガリアンスクワット、ダンベルデッドリフト。二人で記録をつけ、少しずつ成長していく。
もちろん、筋トレ以外の話をすることもある。
大学での出来事や、最近食べたもの。くだらない雑談で笑い合うことも増えた。
いつからだろう。
麗華が笑っていると、俺まで嬉しくなるようになったのは。
彼女と目が合うと、身体の奥から力がみなぎってくる。筋トレで追い込んだときとは違う、不思議な感覚だ。
麗華も同じだったのかもしれない。
トレーニング中に目が合うと、彼女は少し照れたように笑う。その笑顔を見るたび、俺の胸は妙に高鳴り、いつの間にか彼女のことばかり考えるようになっていた。
そして、その日もいつものように二人で筋トレをしていた。
「大樹さん」
「ん?」
「私……最近、ここに来るのが楽しみなんです」
「俺もだよ」
即答すると、麗華は少し驚いた顔をした。
「本当ですか?」
「ああ。麗華と一緒に筋トレするのは楽しいからな」
「それだけ、ですか?」
麗華の声が少し小さくなる。
俺は彼女の顔を見つめた。
……いや、違う。
筋トレが楽しい。それは間違いない。
でも、それだけじゃない。
麗華と会いたい。話したい。笑っていてほしい。
そう考えると、彼女と目が合うたびに身体の奥から力がみなぎってくる、その理由にもようやく気づいた気がした。
「麗華、好きだ!」
気づけば、俺はそう口にしていた。
「わ、私も!」
麗華は頬を赤くしながら、まっすぐに答えてくれた。
その言葉を聞いた瞬間、身体の奥から一気に力が湧き上がってくる。
今まで感じたことのないほどの高揚感だった。
「麗華! 好きだ! 俺は、麗華とみなぎりたい!」
「わ、私も大樹さんとならっ……!」
麗華の言葉を聞いた俺は、彼女をそっと抱き寄せた。彼女も俺の胸に身を寄せ、二人の距離は自然と縮まっていく。
俺たちは互いの気持ちを確かめ合い、そのまま身を寄せた。
トレーニングを終えた麗華は、汗ばんだ肌をほんのり赤く染めている。俺は彼女を、ダンベルを下ろすときのように丁寧に抱きしめた。
そして、気持ちが通じ合った俺たちは、身体の奥までみなぎったのだった。
――ピコン♡
「はぁ……はぁ……私、大樹さんとするのが初めてだったんです……筋トレも……」
「はぁ……はぁ……そうか、初めてだったのか……筋トレも」
「でも、凄い気持ちいいんですね……筋トレも……」
「ああ、凄い気持ちいいよな……筋トレ……」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
筋トレを一緒にするだけだった関係は、いつの間にか、それだけではなくなっていた。
麗華は俺にとって、そして俺も麗華にとって、欠かせない存在になっていたのだ。
*
それからすぐ、俺たちは一緒に暮らすことを決めた。
麗華は大学に通いながら生活費をやりくりしている。俺もアルバイト暮らしだ。
それなら、二人で暮らしたほうが家賃や生活費を抑えられる。
「大樹さんの部屋で、一緒に暮らすということですか?」
「ああ。俺の部屋は1Kだから広くはないけどな」
「私は構いません。むしろ、一緒にいられるなら嬉しいです」
「よし、決まりだな!」
こうして、俺たちは大樹の1Kの部屋で同居生活を始めることになった。
麗華との新しい生活。
そして、これからも続いていく筋トレ生活。
俺たちの関係は、また一歩先へと進んだのだった。
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ダンジョンでレッツ筋トレ!
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