第5話 まずは筋トレをしよう(ぷるん、ぷるん)
「……なるほど。なかなか大変な状況なんだな」
俺は麗華の話を聞き、腕を組んだ。
彼女の実家は、以前は会社を経営していたらしい。しかし、その会社が倒産し、両親は自己破産。今は二人とも、一から生活を立て直している最中だという。
当然、麗華への仕送りもなくなった。
「それで、生活費や学費を自分で稼がなければならなくなったんです」
麗華は膝の上で両手を握りしめた。
「でも、大学は辞めたくなくて……。今住んでいる部屋も、できればそのまま住み続けたいと思っています」
「家賃、高いのか?」
「……はい」
麗華は小さくうなずいた。
実家が裕福だった頃と同じ家賃の部屋。今の彼女には、明らかに身の丈に合わない出費らしい。
それでも、これまでの生活を手放す決心がつかなかったのだろう。
大学を続けたい。今の部屋にも住み続けたい。そのために、ダンジョンで稼ごうと考えた。
けれど、彼女はダンジョンについて何も知らない。
モンスターがどれほど危険なのか。魔石や素材がどれほどの値段で売れるのか。自分がどこまでやれるのか。
何もわからないまま、ここまで来たのだ。
「……正直、少し焦っていたんだと思います」
麗華は困ったように笑った。
「ここで稼げれば、今までどおりの生活を続けられるかもしれないって。でも、実際に入ってみたら、何をすればいいのかもわからなくて……」
「そうか」
俺はうなずいた。
事情はわかった。
ただ、だからといって、いきなりダンジョンの攻略を始めるのはどうかと思う。
モンスターと戦うにしても、まずは自分の身体を思いどおりに動かせなければ話にならない。
それに、俺の知る限り、筋トレは大抵の問題に対して有効だ。
少なくとも、筋トレ後の筋肉痛を愛おしく思わない奴はいないはずだ。
「よし。じゃあ、まずは筋トレをしよう」
「……え?」
麗華が目を丸くした。
「き、筋トレですか?」
「そう。いきなりモンスターと戦うのは危ないだろ。まずは身体を動かすことに慣れよう」
「でも、私、お金を稼ぎに来たんですけど……」
「わかってる。だからこそ、無茶をして怪我をしたら元も子もないだろ?」
俺は壁際に置いてあるダンベルを指さした。
「大丈夫。最初は軽いものから始める。今日は身体を動かす練習だと思えばいい」
麗華はダンベルと俺の顔を交互に見た。
どうやら、ダンジョンに来て最初にすることが筋トレだとは、思ってもいなかったらしい。
まあ、普通はそうだろう。
だが、ここは俺の筋トレ空間だ。
誰かにトレーニングを教えるのも、悪くない。
「じゃあ、始めようか。まずは準備運動からだ」
◇
「それじゃあ、腕を大きく回してみよう」
「こ、こうですか?」
「そうそう。反動をつけすぎないようにな」
俺は麗華の動きを見ながら、準備運動を指導した。
いきなり重いものを持たせるつもりはない。まずは関節を動かし、身体を温める。動的ストレッチを中心に、腕や肩、脚を順番に動かしていく。
麗華は運動に慣れていないらしく、最初はぎこちなかった。
腕を回せば肩に力が入り、脚を動かせばバランスを崩しかける。
「無理に大きく動かさなくていい。できる範囲で、ゆっくりやろう」
「は、はい!」
麗華は真剣な表情でうなずいた。そのたびに、長い黒髪がさらりと揺れる。
そして、腕を振ったり、身体をひねったりするたびに――。
ぷるん、ぷるん。
麗華の豊かな胸が、実に見事に揺れていた。
眼福だ。
長い黒髪に整った顔立ち。すらりとした身体つきなのに、女性らしい柔らかな曲線もしっかり備えている。特に胸の存在感は圧倒的だった。
素晴らしい。
俺は麗華の胸を存分に堪能しながら、同時に動きに問題がないかも確認する。
「次は脚を前後に振ってみよう。身体がぐらつくなら、壁に手をついてもいいぞ」
「こ、こうでしょうか?」
「そう。いい感じだ」
麗華が動くたび、胸がぷるんと揺れる。
うん、今日もいい日だ。
もちろん、指導に手を抜くつもりはない。せっかく筋トレをするのだから、正しい動きを覚えてもらいたい。
それに、エロを楽しむことと、筋トレを真面目に教えることは別に矛盾しない。それも俺の流儀だった。
「次は反対側の脚もやってみよう」
「は、はい!」
俺は麗華の動きを確認しながら、必要なところだけ声をかけた。
「はあっ……。思っていたより、難しいですね」
「普段、あまり運動しないのか?」
「はい。大学でも、体育の授業はほとんどありませんでしたから」
「なら、最初はこんなものだよ。焦らずやればいい」
準備運動が終わる頃には、麗華の頬はほんのり赤くなっていた。呼吸も少しだけ速くなっている。
だが、途中で投げ出すことはなかった。
「よし、準備運動はこれで終わり。次は軽いダンベルを使ってみよう」
「まだあるんですか……?」
「もちろん。今のは準備だからな」
麗華は一瞬だけ遠い目をした。しかし、すぐに気を取り直してうなずいた。
「……わかりました。お願いします」
俺は軽いダンベルを二つ手渡した。
「まずは、無理なく持ち上げられる重さでやってみよう。重さを競う必要はないからな」
「はい」
麗華は両手でダンベルを握った。
俺がダンベルプレスの動きを見せると、彼女もそれを真似する。最初は腕の動きがぎこちなかったが、何度か繰り返すうちに、少しずつフォームが整ってきた。
「そうそう。肘の位置はそのまま。勢いをつけずに、ゆっくり下ろして」
「こ、こうですか?」
「ああ、そうだ。そこからゆっくり持ち上げてみよう」
「んっ……!」
麗華は小さく声を漏らしながら、ダンベルを持ち上げた。
「そうそう。いい感じだ。下ろすときも力を抜かずに。ゆっくりめに」
「んんっ……!」
ダンベルが豊満な胸にわずかに触れるところまで下ろされた。
「こ、こうですか?」
「うん。今のはよかった」
麗華は真剣そのものだった。
ダンベルを持ち上げるたびに、「んっ……」「あっ……!」と、力の入った声がこぼれる。慣れない運動に苦戦しているのだろう。額には汗が浮かび、呼吸も少しずつ荒くなっていた。
エロいな。眼福だ。
だが、眼福を楽しむことと、筋トレを真面目に教えることは別に矛盾しない。それも俺の流儀だった。
彼女は動きを止めなかった。
「あと少しだ。無理はしなくていいから、フォームを崩さないようにな」
「は、はいっ……!」
麗華は最後までダンベルを持ち上げ、ゆっくりと元の位置に戻した。
「よし、そこまで。頑張ったな」
「はぁ……はぁ……。けっこう、きついですね……」
「初めてだからな。疲れているのはわかるし、適度に休憩を挟みながら進めよう」
筋トレは根性だけで乗り切るものではない。適切な負荷と休息が大切なのだ。
「少し休もうか」
「……はい。ありがとうございます」
麗華はダンベルを置き、胸に手を当てながら息を整えた。
「運動って、こんなに疲れるんですね……」
「慣れないうちはな。でも、続けていけば少しずつ楽になる」
「そうなんですね」
彼女は自分の手を見つめた。
それから、もう一度ダンベルを手に取る。
「……もう少し、頑張ってみます」
「いい心がけだ! もう一セット行ってみよう!」
「はい!!」
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麗華とレッツ筋トレ!
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