第11話 財宝の換金
「ところで、大樹さん」
ステータス画面を満足げに見ていた俺に、麗華が声をかけてきた。
「ん?」
「これまでにも、魔獣を倒したことがあるんですか?」
「ああ。何体か倒したぞ」
「えっ? 何体もですか!?」
麗華が驚いた顔をする。
「倒した魔獣はどうしたんですか?」
「邪魔だったから、そこの奥に押し込んでおいた」
「……え?」
俺は筋トレルームのさらに奥を指さした。
そこには、これまで俺が筋トレ中に倒した魔獣の素材や魔石が、まとめて置かれていた。
もちろん、整理していたわけではない。トレーニングの邪魔にならないよう、倒すたびに適当に奥へ運んでいただけだ。
「ちょ、ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「いいぞ。好きに見てくれ」
麗華は奥へ進むと、積み重なった素材を一つずつ確認し始めた。
「こ、これは……!」
「どうした?」
「大樹さん、これ全部、魔獣の素材ですよね?」
「ああ。筋トレの邪魔だったからな」
「この魔石も、この素材も……かなり高価なものですよ!」
麗華は素材を手に取っては、真剣な表情でその価値を見極めていく。
どうやら、俺が何気なく倒していた魔獣の素材は、どれも高値で取引されるものだったらしい。
「これだけの量があれば、かなりの金額になると思います」
「本当か!?」
「はい。政府の買い取り窓口に持っていきましょう。きちんと鑑定してもらえば、まとまったお金になりますよ」
「おお! それはいいな!」
こうして俺たちは、筋トレルームの奥に溜め込んでいた魔獣の素材と魔石を換金することにした。
*
後日、俺たちは政府の買い取り窓口へ大量の素材を持ち込んだ。
職員たちは次々と運び込まれる魔石や素材を見て、驚きを隠せない様子だった。
鑑定には時間がかかったものの、すべての査定が終わると、俺はまとまった金額を受け取ることができた。
「す、すごい金額ですね……!」
麗華が提示された金額を見て、目を丸くする。
「ああ! これだけあれば、いろいろ買えるな!」
「大樹さんは、このお金をどう使うんですか?」
「そうだな。まずは新しいトレーニング器具を揃えたい。ベンチプレス台にバーベル、プレートも必要だ。それにプロテインもまとめ買いしたいな!」
「ふふっ、大樹さんらしいですね。でも、それだけ買っても、まだかなり余るんじゃないですか?」
「そうだな。だったら、残りは麗華が使っていいぞ」
「えっ? そ、そんなの駄目です!」
麗華は慌てて首を横に振った。
「これは大樹さんが手に入れたお金です。私が使うわけにはいきません」
「いいじゃないか。俺たち一緒に住んでるし、もう夫婦みたいなものだろ?」
「ふ、夫婦……?」
麗華の頬がみるみる赤くなる。その言葉を口にした途端、彼女は少しうつむき、恥ずかしそうに俺の顔を見上げた。
「じゃ、じゃあ……私は、大樹さんのお嫁さんになってもいいってことですね?」
「ん? 何を当然のことを言ってるんだ?」
俺は不思議そうに麗華を見た。
麗華は一瞬きょとんとしたあと、顔をぱっと輝かせた。
「……はいっ!」
その表情を見ていると、こちらまで嬉しくなってくる。
「よし! 今日は焼肉でも食べに行くか!」
「焼肉ですか?」
「ああ! せっかく大金が手に入ったんだ。たまには豪勢にいこう!」
「いいですね!」
「それで、プロテインで乾杯しよう!」
「ふふっ。焼肉のあとにプロテインで乾杯なんて、大樹さんらしいです」
「筋トレ好きの俺たちにはぴったりだろ?」
「はい! ぜひ一緒に乾杯しましょう!」
こうして俺たちは、二人で焼肉を食べに行くことにした。
これからも一緒に暮らして、一緒に筋トレをしていく。
そして、いつか本当の夫婦になる。
俺たちの新しい生活は、まだ始まったばかりだ。
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