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024 萌え萌えマシマシ変態観光

 東京観光一日目、水曜日。

 昼飯はブッコロ以外抜く様に約束をしてから家を出て、講義を受けること三時間。

 放課後、大学を出た足そのまま、待ち合わせ場所である秋葉原の時間貸駐車場へ向かった。

 到着時刻は、午後一時。

 丁度、竜崎さんが運転しているであろう、自衛隊から借りた一般車が駐車した所だった。

 エンジンが切れるとすぐに、ダンジョンボス二人が車から降りて来た。

 次いで、竜崎さんとアメリアさんが下車。


【車って、ミーも運転出来たりするのか?】

【免許取るの無理だから、ゲームで我慢してオケ】


 ダンジョンボスは外出時、変装する決まりとなっている。

 ブッコロは、栗毛のウィッグをつけ、更にリボンでツインテールに結いつつの角隠し。

 瞳には碧のカラコン。

 テイムの首輪は、シックな色合いのストールで隠蔽。


【オウノウ。ギャルゲー以外にもゲームがあったのか】


 ニーチャは、反対に被ったキャップに髪の毛を仕舞い、瞳には茶色のカラコンを嵌めている。

 そして、テイムの首輪を覆い隠すスカーフを身につけている。

 着ている服も相まって、まるで男子小学生みたいだ。


「くっちゃべってねえで移動するぞ? まずは昼メシからだ」

「ヲヲ! 我まだ腹四分目!」

「ラーメン六杯も食べたのに?」


 苦笑する竜崎に先導してもらい、最初の目的地へ。


「お帰りなさいませ、ご主人様っ!」


 メイド喫茶に入ると、二人のなんちゃってメイドさんが、テンプレ挨拶と共に出迎えてくれた。


【ワッツ!? な、なな、なんだこの圧倒的歓迎されてる感は!? し、シロー! この人間たちは今なんて言ったんだ!?】

【んー……、主様のお帰り、お待ちしておりました、かな?】

【グレイト! ここをミーの別荘とする! 主と認めたのだから異論はあるまい!】

【あるわ馬鹿野郎】


 メイドさんに若干引いているアメリアさん、こういうのが好きなのか?と勘違いしているブッコロ、メイド服をブッコロに着せたい欲が出てきている竜崎と共に席に着く。

 ちなみに、店内の客は全員、自衛隊関係者だ。

 多めに三時間貸し切りにしてもらってるけど、中に人がいないとニーチャが違和感を持つかもしれないからな。


「おいしくなーれ、萌え萌えきゅんっ♡」

【ムーヴドッ! これが本場の萌え萌えキュンか! 流石本職、レジェンド並みにこなれている!】


 全員この店オススメのオムライスを頼み、ニーチャとブッコロだけハート型のケチャップにしてもらい、更に美味しくなる魔法をかけてもらった。


【コンプリート! メイド萌えを心から、いや、魂で理解したぞ!】


 メイドさんの絶対領域を凝視しながら叫びやがった!

 だから独学でそこまでたどり着いてんじゃねえよ!

 ご褒美といいメイドといい、理解が早すぎんだよお前!


「キョーシローのにも、美味しくなーれ、萌え萌えキュンッ♡」

「やめろ」

【ならミーはリアのに、「オイシクナーレ、萌え萌えキュン!」】

『死ね』

「ブッコロちゃん、私のにはしてくれないの?」

「とってもとってもおいしくなーれ、萌え萌え萌え萌えキュンキュンキュインッ♡」

「きゃーん♡ めっちゃおいしーいー♡」


 お願いですから、変にパワーアップさせないでくれません?


【これがチェキ文化。……素晴らしい】


 食事の後、ライブステージを鑑賞したり、ニーチャだけがメイドさんと写真を撮ったりしてから店を出た。

 現在時刻は午後三時。

 次の目的地は、コスプレ衣装販売店だ。


【ほらニーチャ、ブッコロに読んで貰ってる忍者漫画の主人公の衣装だぞ? こっちには侍漫画のもあるぞ?】

【ギミーザット! あまりにも欲しいが過ぎるぞ!?】


 ビル内の店舗なので、私服の自衛隊員が店外で待機しているし、おまけに、警備員協力の元、一般客の店舗の立ち入りを禁止してもらっている。

 という訳で、店内の客は俺たちだけだ。


『変な服ばっかりね。流石ヘンタイ大国ジャパン』


 否定しきれないんでやめて下さい。


「我はこのニチアサアニメの変身後の衣装がイイナ」

「そういやお前、録画してまで見てるもんな」


 ニーチャの為の観光だけど、ブッコロに買ってやらない理由はないか。

 …………あの、竜崎さん? メイド服のSサイズ探してますかもしかして?

 ブッコロに着せる気じゃないでしょうね?


「ニーチャのもブッコロのも、どっちもSサイズあるな、……これ買ってくか?」

「体格に合わせたサイズの微調整してもらえるみたいだし、せっかくだし頼みましょうよ」


 購入した忍者と侍とニチアサとメイドの服は後日、家に配送してくれるように手続きして、退店。

 時刻は午後四時半。

 次に向かったのは、フィギュアショップ。

 ここもビル内なので、自衛隊員と警備員の配置はコスプレ店の時と同様だ。


【ほら、このキャラ、お前知ってるだろ】


 これまたブッコロに読み聞かせられてある筈の、漫画のフィギュアを指差してやった。


【ホーリーシイイイイイイイイット!? ヒロインのあられもない姿をした人形だと!? は、はは、はずかし欲しい!】


 作中で一切描かれていない、夏仕様の水着姿にそこまで動揺するなや。

 …………パレオを下から覗こうとするな馬鹿野郎。


【……恥知らズ】


 まあまあまあまあ、言ってくれてやるなよブッコロ。

 コイツはモンスターといえども、結局のところ男なんだし。


『たかが人形の癖に、妙に値段高いわね。そもそも、誰が買うのこんなの?』


 アメリアさんの言う通り、ヘンタイ大国なんでね、はい、需要はあるんですよ、ええ、しっかりと、確実に。


「キョーシローは、我の水着姿で我慢できるよナ?」

「お前のはいらねえよ」

「ナシテ!?」


 ニーチャが一時間ほど悩みに悩みに悩み抜き、結局、水着姿のヒロインと、戦闘ポーズを取った格好良い主人公のフィギュアを買ってビルを出た。

 現在時刻は午後六時。

 徒歩で駐車場まで戻り、そこからは車に乗って次の目的地へ。


『トーキョー観光というより、ヘンタイ観光じゃなかった?』

『これもれっきとした東京観光ですんで』


 助手席に座るアメリアさんは顔だけ振り返らせ、後部座席の俺にジト目を向けて来た。

 いやいや、そうは言いますがね? 普通の東京観光なんてしたら、ニーチャの求めるニンジャ、サムライ、萌えから遠ざかるんですよ。

 だから、萌え萌え観光が一番適切なんですよ。

 これでいいんですよこれで。絶対に。


【ワッツイズディス!? これが、これがレジェンドがオススメしていた、憧れの――マシマシラーメン!?】


 マシマシラーメン本社。

 そこから徒歩五分の所にある、マシマシラーメン本店。

 店員姿のギヴが「ヘイお待ちどうっす」と言いながら、全員にラーメンを出していく。

 厨房の奥で腕を組んで見ているだけの狼会長は、ギヴの姿に満足そうに頷いている。

 勿論ここも、この時間は貸切だ。


【ボスとニーチャ・ンー様だけは豚骨で、全マシにしといたっす】


 俺らは、何も増してないマシマシラーメン味噌味。

 それでも十分量があるんだけどな。


「あまりにもあまりにもあまりにもウマシ! オカワリ!」

【早すぎるぞレジェンド!?】


 ラーメンそのものになれたのか、全マシのマシマシラーメンを、ものの二分で平らげやがった。

 無駄にタイム縮めてんじゃねえよこの野郎。


「オカワリ!」


 もう三杯目かよ、ほんとよく食うなお前は。


「オカワリ!」


 ……四杯目でも勢いが衰える事無く、ズビズバとラーメンを啜っているブッコロ。


「オカワリ!」


 …………五杯目か。

 ……まあ、とりあえず何も言わずにこのまま黙って見てみよう。

 なあに、全部経費だ心配ない。

 すんませんね統島さん。


「オカワリ!」


 ……。


「オカワリ!」


 …………。


「オカワリ!」


 ………………。


「オカワリ!」


 ……………………。


「オカワリ!」


 ……いつまで食ってんだよお前。


「オカワリ!」


 …………………………………………。


「オカワ…………アレ?」


 十二杯目の全マシマシマシラーメンに行こうとしたブッコロ。

 この馬鹿は、不思議そうなツラで俺をみつめながら、とんでもねえ事をほざきやがった。


「まだいってイイノ?」

「俺のツッコミ待ちかよてめえ!」

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