014 フゥワッフゥワッダンスとギヴの修業成果
時は遡り、先月。
六月最後の週末。
一週間前にコンプラ研修を暫定的に終えたブッコロは、マシマシラーメン本社の一室でダンスレッスンを受けていた。
「フゥワッフゥワッノ♪ フゥワッフゥワッノ♪ フゥワッデ♪ フゥワッフゥワッノ♪ フゥワッフゥワッノ♪ フゥワッフッフゥウウウウウウウウーッッッッ♪」
「さーすがブッコロちゅわわわわぁああ~ん! エックセレントよっほほほお~ん!」
フワフワ言いながら踊り切ったジャージ姿のブッコロに対し、ダンスレッスンの男の先生は、身体を何度もくねらせながら大きな拍手をした。
「全て、トロピカル先生のご指導のおタマモノでございヤス!」
「あんららららら~! やあだぁあ~! ブッコロちゅわんってばウルトラメロメロズッキュンキュ~ン♡」
コンプラ研修からダンスレッスンに内容が変わったものの、曜日は固定で昼間に行われている。
その為、大学がある俺や会社員の霧夢さんが来る事はほとんど無い。
だが今日は週末で、もともと必修科目ひとつしか講義を取ってなかった。
それが突如休講になってしまったもんで、ブッコロに「暇なら来るべきデハ?」とどこか寂しそうな目をされたんで、しぶしぶ見学に来たって訳だ。
「目の前で踊られて改めて思うんですけど、なんでダンスレッスンを?」
パイプ椅子を並べて一緒に座って見学している竜崎さんは、今更?とばかりに苦笑い。
「狼会長が言うには、そのうち必要になる筈だから、らしいわよ?」
「破門しても、まだなんかに使うのは確定なんですね」
「ブッコロちゃん、数字持ってるもの。手放す訳ないでしょ?」
最初にあげた動画は千二百万再生され、ラーメン修行動画は八百万再生までいった。
まあ、金になるなら使い倒したいのは当然か。
「うーっす。ボス、ラーメン出来たっすよ。味見するすか?」
「スルスルー!」
隣で狼会長とラーメン修行動画の撮影していたギヴが現れたので、ダンスレッスンはこれにて終了。
ブッコロは即座に着替えて隣の部屋へ。
「…………エ? ……フゥーハハハハハハハ!」
出されたラーメンを一口食ったブッコロが、ドヤ顔でギヴにウィンク。
「いくら我でも騙されないゾ? これギヴじゃなくてハゲシファー作ったロ? 初めて食べたマシマシラーメンとおんなじ味だしナ! めっちゃバレバレー!」
狼会長は満足そうな表情で、顎に手を当てて頷いた。
「ふむ、ブッコロの舌でワシのと勘違いするレベルか。なら次の修行は、実店舗での実務じゃの」
「っすね」
お目々を激しくパチクリしながら、普通に会話を続ける二人を見つめるブッコロ。
「じゃあボス、もうオレのラーメンは商品レベルなんで、今後食う時は金払ってくれっす!」
「…………ドッキリじゃないノ?」
つるつるラーメンを啜り続けるブッコロ。
「あ、すんません。支払いの事はボスじゃなくて狂四郎さんか崩子さんに言うべきっしたね」
「我のみで構わんガ!?」
ボスとしてのプライドがそうさせるのか、割と自分の首を自分で絞めそうな発言をした。
「そうは言っても、実際払うのはボスじゃないすよね?」
「グ、グヌヌヌヌッ! ダンジョンボスを舐めるナ! 我だって少しは、少しハ……」
少しは持ってるぞと言いたいんだろう。
確かにお前には、竜崎さんに減点されまくって目減りしまくりの、政府から支給されてる月々のラーメン代と、今迄の動画出演料があるな。
全部、漫画(電子書籍)とゲームとサブスクとゲーム機等購入用貯蓄に消えてるみたいだけど。
「オレ、修行終わったら屋台引く事が決まってるんすよね」
「屋台ヲ!?」
ラーメン屋台を開くモンスターは初耳だわ。法的な問題はクリアしてるのか?
……狼会長がそこらへんについて何も突っ込まないから、まあ大丈夫なんだろう。
「色々決まったら教えるんで、来るならちゃんとそこの財布連れてきて下さいね」
財布言うな。
「こ、こここここここ、これ、我、マジ舐められてネ?」
わなわなと身体を震えさせているブッコロ。
まあ、舐められてるだろうな。
多分、俺と出会う前からずっと。
「ギヴのラーメンくらい、我の稼ぎで食いに行ってヤル! 一人デ!」
「定期収入ないクセにすか?」
「ア゛ル゛モ゛ン゛ッ゙!」
嘘吐かないでくださいよーwwwwと、アホ面で煽られ、「ムッキー!」するブッコロであった。




