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現状、成績を大幅に上げる方法は全くないのか?

 現状、学校や塾での教育効果は薄く、子どもの大幅な成績アップは望めない。

 現行法施行以前なら、「体罰」等を組み込んだ厳しい指導を行うことで、生徒に半強制的に実力をつけさせ、成績を伸ばすことは可能だったが、今はそれができなくなってしまったからだ。

 ちなみに、「集団指導塾ならだめでも、個別指導塾ならいいんじゃないか?」と考える方もいらっしゃるかもしれない。が、残念ながら、そこでも成績アップの可能性は薄い。

 多くの個別指導塾では、講師一人が一度に2~4人の生徒の指導を行う。複数人指導を行えば、その中に真面目で熱心だがストレス耐性が極端に低い生徒が混じる可能性が、常に生じるのだから、厳しい指導は行えない。

 ならば、一対一の個別指導を行っている塾ならば、と思われるかもしれないが、それでも厳しい指導ができる可能性はかなり低い。

 個別指導と銘打ってはいるものの、その指導が完全防音の個室で行われることはまずない。広い室内に申し訳程度の目隠しがされたブースがいくつも立ち並ぶ造りの教室での指導が普通だ。当然ブースでの指導の声は周囲に筒抜けであり、講師が声を荒げたり体罰を加えたりすれば、たちまち周囲のブースで指導中の生徒達に伝わってしまう。結果、集団指導塾と同じく、クレームにつながってしまう。

 また、個別指導塾は講師のギャラがかなり低く、集団指導塾の半分か、それ以下であることが多い。当然、そこで講師を務める者の大半は学生で、指導経験が浅く、効果的な指導がなされないことが多い。個別指導塾では基本的に「生徒の進度に合わせた、無理のないペースでの指導」が実施されるから、その手の経験不足な講師でも十分に務まるという側面はあるのだが、そうである以上、遅れがちだった苦手教科を克服し、集団塾へ通っていた時以上に成績を伸ばす、という可能性はやはり低くなる。

 個別指導塾は、あくまで集団指導についていけない子どもが、多少なりとも成績を上げ、周囲に極端に遅れることがないようにする、という目的で活用するのに向いた形態なのである。

「学校もダメ、集団指導の進学塾もダメ、個別指導塾もダメ。それじゃあ、ウチの子はどうあっても志望校に合格できないのでしょうか?志望校に合格できるならば、どんなに厳しい指導でも耐える覚悟はあります。もちろん、私たち保護者もその覚悟を後押しします。それでもダメなのでしょうか?」

などと訴える方もいらっしゃるかと思われる。

 こういった切羽詰まった悲痛な相談を受けた場合、多くの塾関係者は、「大丈夫ですよ、本人が真面目に努力すれば、いくらでも成績は伸ばせます。ぜひうちにお任せください」などとにっこり笑ってうなずきかけるだろう。

 だが、その「自信に満ちた」態度をうのみにしてはいけない。

 それまで学校や塾で成績が伸びなかった子どもが、いかに評判のよい塾であろうと、「うるさい生徒を厳しく指導できない」という点で、以前の塾と似たり寄ったりの学習環境しか用意できない以上、大幅に成績を伸ばせようはずがないのである。

 内実を晒すようで気が引けるが、塾関係者は、自分の教室の営業成績を上げるために「自信たっぷりである」ふりをしているに過ぎない。

 そして、塾に通ったことで偏差値が1,2も上がれば、「ほら、こんなに成績が上がりましたよ!」などと大げさに言い立てて保護者を安心させ、自分の塾へと通わせ続け、受験が間近に迫ってどうしようもなくなった頃になってはじめて、「今の段階でこの成績ならば、残念がら志望校には届きません。もっと早くからうちで勉強していてくれたら、間に合ったかもしれませんが、時間が足りませんでした」などと言い訳し、諦めさせればよいと、と思っている。

 塾関係者の大半は、「あなたの子ども」がどのような未来を迎えようと知ったことではなく、塾全体としてある程度の合格者実績を出せたらそれでよい、と思っているのである。

 そういった無責任な物言いをすることは、私にはできない。

 だから、「現在の状況下でもなんとか大幅に成績を伸ばす方法はないのか」という質問に対しては、「残念ながら、()()ありません。諦めた方がよいかと思います」と返答するしかない。

 我々は、現行法が施行され、「子殿の人権に配慮した教育」なるものが大手を振ってまかり通っている限り、多くの子どもたちの成績が伸び悩み、志望校に手が届かぬまま努力を水の泡にしていく様を、指をくわえてみているより他できないのである。

 ……という結論で終わるのであれば、「教育評論家」ならばともかく「現役講師」として、こういった文章を書く意味は、まったくなくなってしまう。

 敏感な方ならば気がついたかもしれない。私は、可能性が「ほぼない」と言っただけで、「完全にない」「可能性はゼロだ」とは言っていないのだ。

 かなり条件は厳しく、偶然に左右される上、確実に成績が上がるとは約束できない。しかも保護者の方には大きな負担を覚悟していただかなくてはならないが、それでもよければ、ほんのわずか、大幅に成績を上昇させる可能性がなくもないのである。

 具体的にいおう。

 プロの講師に個人教授、つまり家庭教師を依頼するのである。それも、派遣会社からの紹介ではなく、個人的に。

 プロ講師本人が個人で請け負った仕事であるならば、「思っていた指導と違う、いくら成績を上げるためとはいえ、アレはひどすぎる、二度とあんたには依頼しない」などというクレームは、その講師本人にのみ向けられ、派遣会社等に迷惑をかけることもない。最悪本人(と、もし存在するならばその家族)が路頭に迷うだけですむ。なので、講師本人がリスクを受け入れる覚悟さえすれば、厳しく指導することができる。生徒の勉強に対する態度から勉強法、問題に対する取り組み方まで介入し、大幅に成績を伸ばすことが可能になるのである。

 私事で恐縮だが、現にこの方法で、私は今まで、塾からさじを投げられていた生徒の成績を大幅に上昇させ、無事志望校に入学させた経験が幾度もある。

 たとえば、小学五年の10月時点で某有名進学塾主催の公開模試で国語の偏差値が31しかない生徒をお預かりしたのだが――ちなみに偏差値31というと、通常の公立小学校でもかなり成績が低い方のレベルになる――その生徒は1年2ヶ月で、国語の偏差値を20以上上昇させ、第一志望であった有名大学附属中学(系列校とは違い、生徒全員がその大学への入学を約束される中学である)に無事合格してくれた。

 また、某大学の附属小学校に通っていたのだが、そこの「優しい」教育方針から教師陣をまるでなめきり、自分の思うがまま、好き勝手なことばかりしていた「手に負えない問題児」を小学5年からお預かりし、2年間指導したところ、小学校6年受験時における学校通知表での国語評価は「1」であったにも関わらず、入試問題で長文記述を書かせることで有名な関西でも指折りの有名中学――いわゆるトップ校――に見事合格してくれた、という事例もある。

 目の覚めるような、奇跡的な成功例、と驚かれるかもしれない。が、ある程度の経験を積んだ教科専門のプロ家庭教師が体罰をも含む厳しい指導を行えば――他の学習塾等が軒並み「優しい指導」しかできないせいもあって――これくらいの逆転劇は、(簡単に、とはいわないが)可能なのである。

 このように書くと「すごい、これこそ求めていた先生だ。ぜひうちもお願いしたい」などと飛びつこうとなさる方もいらっしゃるかもしれない。

 が、ちょっと待っていただきたい。

 正直申し上げて、あまりこの方法を安易にお勧めするつもりは――少なくとも私には――ない。

 厳しい指導は成績上昇という点で絶大な効果を上げることが可能ではあるのだが、その分、代償も大きく、いくつもの難点があるのである。

 どんな難点か。



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